中国、極秘裏に『ASAT( 対衛星破壊兵器)』実験を実施。弾道ミサイル迎撃実験だけ公表。


2014年7月26日(JST.16:10)                            Aaron Terruli

中国が極秘裏に『ASAT(対衛星破壊兵器)』の実験を実施した事が明らかになった。米国務省のハリー・ハーフ報道官が7月25日、発表した。中国は弾道ミサイル迎撃実験の実行については、国防部が積極的に発表している。米国はASAT実験は国際情勢を不安定にするとして、北京に自制を求めた。

ASAT実験が行われたのは7月23日。国防部を含め、中国政府、新華社などマスメディアは”黙り戦術”を決め込んだまま。中国のASATシステムの開発が明らかになったのは2007年。自国のの気象衛星が標的だった。実験後、多数の破片が宇宙空間に拡散、衛星を軍事通信網、偵察衛星ネットワーク運営維持に活用する米国を驚かせた。宇宙空間の利用に脅威を与え、新たな戦場に変えると米国が激しく反発した。

多数の”宇宙ゴミ”が運用中の衛星と衝突、機能停止に陥った事例や、スペースシャトル、ISS(国際共同宇宙船)の障害になる事態も起きている。

中国はその後、衛星破壊を伴う実験は今回も含め自粛。『非破壊実験』方式で2回、実行した事が米国の宇宙空間探知ネットワークで突き止められた。

中国は弾道ミサイル迎撃実験の背後で、同時にASAT実験を行うのが通例。

中国人民解放軍は7月15日から8月半ばにかけて、実弾射撃への安全措置として中国東部の主要空港12ヶ所の発着を四分の一規制する手段に出た。多客シーズンで外国人を含め利用者への迷惑等お構いなし。

タイミングからすると、『ASAT、弾道ミサイル迎撃実験が重複した』(航空、軍事ジャーナリスト)。

中国との安全保障分野での信頼性醸成は元々、無理とみた方が懸命だ。

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[(NASA)地上から2,000㌔圏内の宇宙空間に散乱する”宇宙ゴミ”]

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[(NASA)”宇宙ゴミ”の怖さを示すスペースシャトル、STS-7の船体に残る衝突痕]