2014年7月30日(JST.23:10) Aaron Terruli
『アジア・太平洋地区でのパイロット、整備士の人材確保が一段と逼迫する』ーボーイングは7月30日、向こう20年間、航空界が直面する人材確保の見通しをまとめ、公表した。『パイロット、整備士等、航空界が必要とする人材需求の将来像、2014年版』で同社が指摘した。20年後の2033年迄に新たに供給が求められるのはパイロットが533,000人、整備分野の技術者が584,000人に達すると推計した。世界経済で存在感が顕著となる一方のアジア・太平洋地区での需要増が際立つ。こうした課題を解決するには単独の国家、企業だけでは手におえないスケールで、一刻も早い国際規模での共同、連合組織立ち上げが求められるとしている。
ボーイングは、一足早く飛行訓練施設の地球規模での展開に着手。今後とも急速な航空産業の成長が予測される中国で人材養成の施設拡充に力を注いでいる。
[(Boeing)上海に開設したパイロット養成のフライト・シュミレーター]
[(Boeing)上海に開設したボーイングの運航関連人材養成センター]
ボーイングの予測では地域別の2033年迄に養成が必要な人材は、パイロットが533,000人。内訳はアジア・太平洋地域が216,000人で断然トップ。次いで欧州が94,000人、北米が88,000人、中東が55,000人、中南米が45,000人、ロシア・CISが18,000人、アフリカが17,000人ーの新規需要がある。一方、整備を中心にした技術者は584,000人の新規養成が求められるという。地区別内訳は、アジア・太平洋が224,000人、北米が109,000人、欧州が102,000人、中東が62,000人、中南米が44,000人、ロシア・CISが24,000人、アフリカが19,000人と見積もっている。
2014年の予測は2013年版より、パイロットが7%、整備士等の5%とそれぞれ前年より上方修正した。航空界の成長が予想をこえて力強いためだ。
とりわけアジア・太平洋地域は中国、インドの膨大な人口を抱え、経済成長も高度成長のペースが落ちる兆しは無い。域内や他地域との乗客、貨物の流動は20年先迄、加速する傾向と分析される。
アジア・太平洋地域を先頭に人材需要に応じる基盤整備は待った無し。単独では難しすぎる課題で、航空先進国の欧米と手を組んだ国際コンソーシアムがぜひとも必要になってくる。民間に任せず政府、行政当局も二人三脚でソリューションを出さねばならない。
ボーイングの予測では、こうした膨大な航空界の人材需要に応えるためパイロットは27,000人、整備分野の技術者は29,000人、毎年養成しなければとても間に合わないと見ている。