ボーイング、B787-10型機の最終組み立て専用ラインをサウスカロライナ州に併設。"ドリームライナー"製造はエバレット工場と完全な2本建て。


2014年7月31日(JST.09:50)                     Aaron Terruli ボーイングが設計を急ぐ胴体最長型、B787-10シリーズの最終組み立専用ラインをサウスカロナイナ州ノース・チャールストン工場に併設する事が決まった。『ドリームライナー』ファミリー製造は、エバレット工場(ワシントン州シアトル郊外)との2本建て体制となる。同型機の生産ピッチを上げ、市場の需要に即応する生産システム強化と、『A350XWBプラスA330neo』で 対抗するエアバスの787型競争戦略に勝ち抜くボーイング魂の発露が窺える。ボーイングのB787担当責任者、ラリー・ロフティス副社長が今回の決定を7月30日、公表した。 787_10_med [(Boeing)エバレットで最終設計段階に入ったB787胴体最長型、-10シリーズ] ボーイングは、B787-8、-9シリーズとも、現在エバレット、ノースチャールストンの2工場で最終組み立て作業を行っている。ノースチャールストン工場開設は既存の生産設備だけで賄えぬ需要に対応、同時に労働賃金を抑えられるメリットもあった。ボーイングがB787製造を契機に進出を決断した。 K65649i_med [(Boeing)ノースチャールストン工場から初進空したB787-8型機] K63553-03_med [(Boeing)民間旅客機製造で世界最大の拠点、エバレット工場] ロフティス副社長によると、ノースチャールストン工場で-10シリーズ型機の最終組立てが始まるのは2017年。B787最終組み立てラインはエバレット工場(生産ライン2ライン)と完全な2本建て体制が確立する。ノースチャールストン工場の生産ラインは1ラインだ。ボーイングはこれでB787型機の更なる受注獲得と製造スピード加速の基盤が整う。ノースチャールストン工場でのB787型機生産機数は、2016年に月産5機(現在、3機)、10年以内に同7機に引き上げられる。-10シリーズは、胴体がB787派生型、第一弾、-9シリーズより胴体中央部を中心に5.5㍍延伸の設計となる。ノースチャールストン工場からエバレットへの胴体部分輸送手段が確保が悩みの種だった。これでエバレット工場はB787型-8、-9中心の生産に集中出来、生産効率が向上する。 この結果、B787型機の生産は向こう10年以内に、14機の量産体制が実現する。製造開始が計画より3年遅延した事で、省エネ広胴型機(客室の2通路設計)市場を掌握する当初のもくろみがエアバスの対抗機、A350XWB型機の追撃とA330neoの製造決定で少なからず影響を受けている。ノースチャールストン工場がエバレット工場と肩を組む事で、B787型機の真価を発揮出来るとボーイングは期待する。 K66032-01_med [(Boeing )生産ラインがフル稼働しているエバレット工場B787型機最終組み立てライン] 787-8, 787-9 and 787-10 Artwork [(Boeing)ボーイングの双発ジェット機生産ラインアップ完成で向こう20年間、36,770機の新造機需要に対応] ボーイングによると-10シリーズの確定発注は6社、132機。客室の収容能力増大と省エネ性能の改善でこの先新規受注が着実に伸びると予測される。 Larry Loftis [(Boeing)B787型機担当のボーイング民間航空機、ラリー・ロフティス副社長]