投稿者: 松尾 芳郎

ファンボロー、RIAT、オシュコシュ、3航空ショーの話題

2024年7月は、英国でファンボロー航空ショーと王立国際軍事航空ショー[RIAT]、および米国でEAAエア・ベンチャー・オシュコシュ・ショーが開催された。それぞれのショーで話題となった事例を紹介する。米航空宇宙誌「エビエーション・ウイーク」が2024年7月29日-8月11日号で「エア・ショー・ウイーク(Air Show Week)」として特集した記事をベースにして解説を試みた。

三菱電機、レイセオンと共同で[SPY-6]レーダーを米海軍に供給

三菱電機は米国のレイセオン(RTX )と、米海軍向けSPY-6(V)レーダー部品を供給する契約を締結した。これで三菱電機は米海軍向け装備品のサプライチェーンに参入することになる。三菱電機はこれまでも多くの分野でレイセオンと協力関係にあったが、今回の契約でさらに発展することになる。
(Mitsubishi Electric has engaged with Raytheon, an RTX business unit, to supply components for the SPY-6(V) radar for U.S. Navy vessels. The contract between two will enable Mitsubishi to begin preparations for making SPY-6(V) components to supply the U.S. Navy. Mitsubishi will participate in the U.S. Navy’s equipment supply chain business in the future.)

日本、対空ミサイル[AMRAAM]の国内生産と、BMDミサイル[PAC-3]の対米輸出を決定

日米両国政府は7月28日、中距離空対空ミサイルAIM-120 AMRAAM (アムラーム)の日本国内生産の開始と、すでに国産化している弾道ミサイル迎撃ミサイルPAC-3の対米輸出について、合意に達したと発表した。
(Japan will produce munitions supplies, under agreement with the United States to co-produce AMRAAM anti-air-missiles and PAC-3 BMD missiles, the two countries announced July 28.)

令和6年7月、我国周辺での中露両軍および北朝鮮の活動と我国/同盟諸国の対応

令和6年7月、我国周辺における中露両軍および北朝鮮の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し各方面から多くの発表があった。今月の注目すべきニュースは次の通り。
(Military threats from Chinese, Russian Forces and North Korean are tensed up in July 2024. Japan and Allies conducted multiple large scale exercises for retaliation. Following are main issues. )

日航・松尾ファイル』の出版(中) 事故調が捜査をミスリードした

本校は木村良一氏の寄稿です。 日航ジャンボ機墜落事故が8月12日、40年目の節目を迎える。墜落現場の御巣鷹の尾根(群馬県上野村)では遺族による慰霊登山が始まり、11日の夕方に灯籠流し、12日の昼には昇魂之碑の前でシャボン玉を飛ばし、安全の鐘を鳴らして航空関係者とともに空の安全への誓いを新たにする。長い歳月が流れて遺族の高齢化が進み、亡くなる関係者も多い。しかし、空の安全は次の世代にしっかりと引き継がれている。

 この夏も、墜落事故を取材してきたジャーナリストの1人として犠牲者520人の冥福を祈りたい。

ファンボロー航空ショウ、日英伊共同開発機[GCAP]の現況

ファンボロー航空ショウで展示された3カ国共同開発の次世代戦闘機「GCAP (Global Combat Air Program /グローバル戦闘機計画)」のモックアップは、ショウの目玉的な存在。2035年配備を目指している。英国およびイタリアは2003年から配備しているユーロファイター・タイフーン(英国/160機、イタリア/120機) の後継機、また日本は2000年から配備されているF-2戦闘機・91機の後継機となる。2022年12月の3カ国首脳会談で[GCAP]を推進する政府間機関を設立することを決めている。
(A repeat star of the Farnborough air show 2024 is in new-look image, the three-nation Global Combat Air Program (GCAP) is continues its progress towards service entry by 2035. It will replace UK and Italy Air force’s Eurofighter Typhoon, has been service since 2003, and Japan’s F-2 Fighter jet, service since 2000. The three nation’s summit has agreed to start up the development office (GIGO )at December 2022.)

沖縄駐留の米海兵隊、新型の水陸両用戦闘車(ACV)を受領

沖縄に駐留する米第3海兵遠征軍(III Marine Expeditionary Force)は新型の水陸両用戦闘車(ACV=Amphibious Combat Vehicles) を那覇軍港で受領した(6月29日)。この戦闘車(ACV)は8輪式装甲車で、1972年から使用してきた侵攻用水陸両用車「AAV」(Assault Amphibious Vehicle)の更新となる。
(The US Marine Corps’ III Marine Expeditionary Force received a shipment of Amphibious Combat Vehicles(ACVs) at Naha Military port on June 29, 2024. The ACV is an 8-wheeled armored personnel carrier newly designed to replace existing Marine Corps’ fleet of Assault Amphibious Vehicles(AAV), which has been in service since 1972.)

アメリカン航空、ゼロアビア製・水素燃料動力機「ZA2000RJ」100機の購入覚書を交付

アメリカン航空は7月2日、クリーン航空機開発の先駆者「ゼロアビア」が作る水素電動エンジン付きリージョナル旅客機100機を購入するため、「ゼロアビア」に購入覚書(conditional purchase agreement)を交付した、と発表した。
(American Airlines announced July 2, 2024, it has entered into a conditional purchase agreement with clean aviation innovator ZeroAvia for 100 hydrogen -electric engines to power regional jet with zero emissions.)

令和6年6月、我国周辺での中露両軍および北朝鮮の活動と我国/同盟諸国の対応

令和6年6月、我国周辺における中露両軍および北朝鮮の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し各方面から多くの発表があった。今月の注目すべきニュースは次の通り。
(Military threats from Chinese, Russian Forces and North Korean are tensed up in June 2024. Japan and Allies conducted multiple large scale exercises for retaliation. Following are main issues. )

『日航・松尾ファイル』の出版(上)ー書き下ろしたその意味を伝えたいー

本稿は木村良一氏の寄稿です。日航ジャンボ機墜落事故を扱ったノンフィクションを出版した。1985(昭和60)年8月12日、日航機が御巣鷹の尾根に墜落して520人が亡くなったあの航空事故である。この夏40年目の節目を迎える。なぜ、航空史上最悪の事故は起きたのか。上・中・下の3回に分け、拙著の内容を紹介しながら事故の真相に迫る。