B787駐機中に火災発生(第1報)


−無人のエチオピア航空機がロンドン・ヒースロー空港で−

作成:2013-07-13 小河正義/松尾芳郎

駐機中のエチオピア航空787型機が、ロンドン・ヒースロー空港で7月12日午後(現地時間)火災を起こした、とBBC放送等有力メデイアが一斉に報じた。それによると、垂直尾翼付根前方の胴体外板に数メートルにわたり焼け焦げの跡が見える。事態を重く見た米国FAA(連邦航空局)、NTSB(国家運輸安全委員会)は現地に調査官を派遣しイギリス航空当局の原因調査に協力する。

別件だが、同日米国オーランド(Orlando, FL)に向かった英トムソン航空の同型機が、大西洋上シャノン西方700kmの洋上でトラブルを発生、マンチェスター空港に引き返した。未確認情報では、電気系統の問題でラバトリー2ヶ所が故障したと云う。このこともあり787型機の安全性に再び注目が集まっている。

BBC等の情報を総合するとエチオピア航空787の火災発生は12日午後4時36分で、空港消防隊の化学消防車など10台以上が出動し消火に当たった。ビデオで見ると、機体の周辺に大量の泡沫消化剤が散布されているのが判る。クローズアップ映像では、垂直尾翼付根前方の外板上に長さ数メートルの焼損した個所が見て取れる。機体の塗装が白色のため焼け焦げた箇所ははっきり判る。

同機は4時間半後にエチオピア・アジスアベバに出発する予定で、8時間前からそこに駐機中、機内には乗員、乗客は居らず無人状態だった。これまでの情報では、火災発生場所は問題のあったリチウムイオン(Li-Ion)電池の設置場所からはかなり離れている。

787型機では、今年1月7日JAL/ボストン空港駐機中、同16日ANA/愛媛県東部を飛行中、高松へ緊急着陸、と2件のリチウムイオン(Li-Ion)電池の焼損や火災事故が起きた。このためFAAは787の飛行停止措置を指令、世界各地での運航が約4ヶ月に渡って停止した。その後5月になって、ボーイングがLi-Ion電池本体とその周辺構造の改良措置を決定したのを受けて、順次飛行再開に漕ぎ着けたところだ。今後の調査で出火原因とLi-Ion電池の間で新たな因果関係が出てくると、航空界は厳しい判断を迫られることになる。

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図:(Boeing)787型機の電気系統概念図。

右上から「前部電気装備品室(Forward electrical equipment bay)」、「可変周波数スターター・発電器、各エンジンに2個装備(Variable-frequency starter generators, two par engine)」、「後部電気装備品室Aft electrical equipment bay」」、「遠隔電力配電盤(Remote power distribution units)2ヶ所に矢印」。

右下から「APUスターター・発電器(Auxiliary power unit starter generators)」、「外部動力接続部(External power receptacles)2ヶ所に矢印」、「電力負荷(Electrical loads)白色点線で示す」。

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図:(Boeing)787型機に使われているリチウムイオン(Li-Ion)電池の搭載個所。

左側コクピット後方床下の「前部電気装備品室(Forward electrical equipment bay)」にある『メインバッテリー(main buttery)』と、主翼付根の床下にある「後部電気装備品室(Aft electrical equipment bay)」内にある『APUバッテリー』の2つである。

今年1月7日ボストン空港駐機中のJAL機の発火事故は「後部電気装備品室内」の『APUバッテリー』で発生。1月16日飛行中のANA機が発煙のため岡山空港への緊急着陸した件は「前部電気装備品室」にある『メインバッテリー(main buttery)』の焼損が原因だった。

−以上−