化学兵器使用報復で29日、対シリア空爆
—欧米連合軍周辺に海軍機動部隊など配備完了—
2013-08-28 ジョン・ボスニッチ(ベオグラード)、小河正義
欧米連合軍がシリアに対し、国内反体制派に対する化学兵器使用への制裁として巡航ミサイル等で空爆に踏み切る。米オバマ大統領の決断を待って8月29日(現地時間)、戦端を開くことが確実な情勢だ。ロシア、中国は対シリア軍事制裁に反発しているが、欧米連合軍の圧倒的戦力に傍観しかなさそう。
イスラエルの有力紙、『ハーレッツ』は欧米連合軍の対シリア制裁攻撃のシナリオを最新の電子版で詳細を伝えている。それによると攻撃目標はシリア・アサド大統領体制の最大の支えと成っているシリア陸軍第4師団と共和国防衛隊。何れも化学兵器使用に関与した可能性がCIA等の分析で浮かび上がっている。兵器庫を含めこれらの部隊に対し巡航ミサイルでの奇襲攻撃が最有力。発射基地は東地中海に展開中の米第6艦隊ミサイル駆逐艦(4隻)に加え潜航中の攻撃型原子力潜水艦も加わると指摘している。英海軍の原潜も動員されよう。仏海軍も原子力空母『シャルル・ドゴール』が中核の機動部隊が関与すると見られる。
攻撃目標には首都、ダマスカスのアサド大統領が執務する大統領官邸や一般住宅地域は避け軍事目標に限定。その中には首都防衛の対空ミサイル基地一掃も含まれそうだ。このため、米空軍は破壊力に優れた対地攻撃爆弾を搭載するステルス戦略爆撃機『B2(スピリット)』を投入しそうだ。対シリア爆撃は”短期決戦”で2日間にしぼる。
ロシアは欧米連合軍の対シリア軍事制裁に強く反発しているが、シリア在住自国民保護で特別救援機を派遣する等,シリアへの軍事支援の動きは全くない。問題はイランの動向。米国はイランのシリア支援の軍事行動を牽制すべく原子力空母『ハリー・トルーマン』、『ステニス』の2隻を紅海,アラビア海にそれぞれ派遣し封じ込めを狙っている。