エアバス旅客機40機、世界第2位のデルタ航空が発注


 

—デルタ航空のエアバス機発注でライバル、ボーイング衝撃ー

2013-09-05 小河正義

2013-09-07 Revised

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図:(AIRBUS提供)デルタ航空マーク入りのA321の完成予想図。アラバマ州モバイルのエアバス新工場で生産される。

ビデオ映像:(AIRBUS提供)

デルタ航空、エアバスは9月4日、広胴旅客機A-330型10機を含む40機の確定発注で合意したと公表した。デルタ航空は経年機体の更新に取組み中で、今後、エアバス製旅客機の導入が急増しそうだ。

ノースウエスト航空と合併後、新生デルタ航空がエアバス機の導入を決定したのは今回が初めて。土壇場まで売り込みで激戦を続けて来たライバル、ボーイング社の衝撃は大。次世代旅客機B787『ドリームライナー』の運航トラブル問題で株主からジェームス・マクナーニ会長の指導力に不満と批判が寄せられた経緯がある。デルタ航空をめぐる売り込み敗退でボ社首脳陣への批判が再燃するかもしれない。

エアバス、デルタ航空の公式発表によるとデルタ航空が今回確定発注したのは2通路の広胴旅客機、A330-300型機、10機と単通路、狭胴型旅客機、A321ceo型機、30機。搭載するエンジンはA330がGE製のCF6-80E1、A321はCFMインターナショナル、CFM56-5B。引き渡し開始はA330型機が2015年初期から、A321型機は2016年。エアバスが公表している価格リストだと、A330型機が2億3,940万ドル。A321は1億730万ドル。単純計算だと契約総額は56億ドル。しかしボーイングも含め航空業界は大量一括発注の場合、相当な値引きが慣習だ。

デルタ航空は創業から80年以上の米航空界の名門。2008年秋、ノースウェスト航空と合併。ジョージア州アトランタのハーツフィールド-ジャクソン・アトランタ空港を最大の拠点にし1日、5,000便を運航。保有機数は712機で従業員8万人を数える。目下世界第2位の航空会社。成田空港をアジア路線のハブ空港にし、羽田への国際線本格就航を目指している。

エアバス製旅客機購入は併合した旧ノースウェスト航空がA320、A330型機を導入以来、実に20年ぶりだ。今回デルタが発注した機体のうちA321型機はエアバスが米国内で初めて建設中の最終組み立てライン(アラバマ州、モバイル)で製造が決まっている。

米南部の雇用創出にも繋がり、ボ社を退けたデルタ航空の決定にワシントンの議会や地方政府から反発は全くない。

ボーイングはデルタ航空とは事実上独占状態で旅客機を売り込んできた。同航空は南米路線の活況等でこのところ収支が好転。機体の平均年齢が20年に迫っているボーイング747、757、マクダネルダグラスMD-80/90、エアバスA320型等数百機の機体更新計画が待ち構えている。

エアバスとの売り込み競争で初戦段階で、敗北を喫した訳で民間航空機部門のセールス体制立て直しがボ社に取って急務だ。3年遅れで市場に送り出したボーイングの戦略機材、B787型機が一時運航停止を含む不運に見舞われたこともデルタ航空の機種選定に影響を及ぼした可能性は否定出来ない。欧米の有力航空会社は今後、使用機材1社に限定せずダブルトラック化が常識となりそうだ。