中国、2機種目のステルス戦闘機[J-31]が出現


–ますます拡大する彼我の軍事力格差に危機感が–

2013-10-02  松尾芳郎

 

J-31  -1

図:(Chinese Military Review)瀋陽航空機[J-31]「ファルコン・イーグル」。2103年2月に初飛行した第五世代ステルス戦闘機。大きさ、全備重量などは不明だが、外見はF-35に似ている。

J-31 -2

図:(Chinese Military Review)[J-31]は中国が[JF-17]戦闘機用にロシアから購入したクリモフ(Klimov)RD-93エンジン(A/B時推力18,000lbs)を2基搭載している。RD-93はMiG-29Mなどに使われているRD-33と基本的に同じエンジン。開発中の中国Guizhou航空機製WS-13(A/B時推力19,000lbs)が完成すれば換装される予定。

 

近着の[Golden Eagles News] /2013-10-01、 [WantChinaTimes.com]台湾/ 2013-09-25、[China Military News]などが相次いで伝えるところによると、中国では、成都航空機で作られた第五世代戦闘機J-20の初飛行(2011-11-01)に続いて、2機種目となる瀋陽航空機が開発中の[J-31]戦闘機が2013年2月から試験飛行を開始したと云う。[J-31]は昨年11月の広東航空ショウで“先進型戦闘機”として4分の1サイズの模型が展示され、去る9月25日の北京国際航空展示会でも類似の模型が公開されたので、西側でその存在が噂されていた。

[J-31]はF-60あるいはJ-21、ファルコン・イーグルなどと呼ばれ、昨年来の模型展示に続いて、2013-08-19にはGlobal Times(環球時報)に試験飛行の写真が掲載され、その姿が公になった。

中国国営の複数の通信社は、[J-31]の将来について次ぎのように報じている。すなわち、現在空母遼寧で訓練中の瀋陽航空機製の[J-15]戦闘攻撃機の後継に使われる、また、米国の第5世代戦闘機F-35に匹敵する性能を持つので輸出市場で競合することになる。しかし、一部の軍高官は[J-31]を空母に搭載する予定はない、と否定しているので真相はわからない。

J-15遼寧艦上

図:(Chinese Military Review)空母「遼寧」艦上で離発着訓練を繰り返す瀋陽航空機製[J-15]「フライング・シャーク」、先月には最大離陸重量30㌧での発艦に成功したと云う。[J-15]はロシアの[Su-33]艦上戦闘機をウクライナ経由で入手、これを基に製造しているためロシア側の不興を買っている。

 

[J-31]は単価をかなり安くできるので、[JF-17]を中国と共同開発したパキスタンを始め、イランなどへの輸出でF-35よりも優位に立てそうだと見られている。

 

中国は年間国防費として公式発表で我国防衛費の2倍を上回る約10兆円、実際は研究開発費や輸入品などは含まれておらずこれ等を併せた総額は、欧米軍事筋の推定では20兆円に達すると云われている。この潤沢な年間予算にものを言わせ、中国軍は空軍のみならず海軍陸軍の装備の近代化を進めている。この[J-31]が配備につく数年後には、中国軍の体制は飛躍的に強化され日本の防衛力との格差はますます大きく広がりそうだ。安倍政権の対応を切に望みたい。

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