空自、早期警戒管制機E-767 AWACSの性能向上改修を決定


2013-10-19  松尾芳郎

空自E-767

図:(航空自衛隊)早期警戒管制機E-767 AWACS、2000年から4機で運用を開始、これまでに性能向上改修は5回行なわれたが、今回の改修は最大規模。完了すれば米空軍E-3Gブロック40/45と同等の性能になる。最大離陸重量38.5㌧、航続距離10,000km、航続時間12時間、空中給油は、基本装置は取付け済みで改修可能。

空自E-767と富士山

図:(航空自衛隊)富士山上空を飛ぶE-767 AWACS。機体形状は767-200ERと同じだが窓はない。上部のロートドーム(rotodome)は直径9.1m(30ft)、厚さ1.8m(6ft)、警戒監視中は毎分6回転している。内部にはAN/APY-2レーダーアンテナ、敵味方識別装置(IFF)アンテナを収納。胴体上下には多数のUHFおよびVHF通信用アンテナが見える。尾部のこぶ状突起フェアリング内には統合戦術情報システム(JTIDS=Joint Tactical Information Distribution System)用アンテナがあり、本文にあるリンク16通信システムを装備済みのF-15Jとの情報連携を可能にしている。

エンジンはGE CF6-80C2B6FA、推力61,500lbsを2基、ジェネレータはオリジナルの90KVA 2基ではなく150KVA型に換装し、レーダー等の大電力消費に対応。

E-767の室内

図:(航空自衛隊)E-767の室内は、707を基本とする米空軍E-3に比べ床面積で1.5倍、容積で2.1倍あり居住性に勝る。レーダー情報は、E-3ブロック30/35と同じIBM製CC-2Eコンピュータで処理されて14台のパネルに表示される。

これ等の機器操作員としてミッションクルー10〜16名が搭乗する。

 

去る10月13日版Defense Industry Daily紙によると、米国政府国防安全協力局(DSCA=Defense Security Cooperation Agency)は9月26日に「日本政府から4機のE-767 AWACSの近代化改修に関する輸出承認の要請を受理した」と発表した。

内容は、任務演算能力向上(MCU=Mission computing Upgrade)に拘るもので、敵のレーダーと通信発信源の捕捉と位置を特定できる「電子式位置検索システム(ESM=Electronic Support Measure System)」 4基と、「次世代型敵味方識別装置[AN/UPX-40](NGIFF=Next Generation Identify Friens or Foe)」システム8基、「[AN/APX-119] IFFトランスポンダー」8基、これにプラス米政府とメーカーの支援を要請する、というものである。推定費用は総額で9億5000万㌦(約950億円)。

この改修が完了すれば、我が航空自衛隊のE-767 AWACSは米空軍のAWACS E-3Gブロック40/45と同等の性能を持つことになる。改修はシアトル(Seattle, WA)にあるボーイング統合防衛システム(Boeing Integrated Defense Systems)社が主契約となり実施することになる。改修作業、試験、技術支援、それから8年間にわたる日本での訓練が、この契約に含まれる。

E-767 AWACSは、米空軍の早期警戒管制機E-3 AWACSのシステムをボーイング767-200ERに搭載した航空自衛隊用の早期警戒管制機で、1998年から引渡しが始まり、2000年から4機で運用を開始した。平均単価は550億円と云われている。導入以来、2005年、2006年、2007年、2009年、2010年と毎年のように性能向上の改修が行なわれてきた。レーダー探知能力、識別能力が改善され、別途実施中のF-15Jの近代化改修でリンク16戦術通信システムを搭載した機体との連携運用が可能になった。これで低空を飛来する敵巡航ミサイルの迎撃も可能となる。

E-767の早期空中警戒システムは米空軍のE-3と同じで、ノースロップグラマン製のAN/APY-2レーダーシステムが中心。これはSバンドを使うフェイズドアレイ形式の3次元レーダーで、目標の位置、距離、高度、を同時に把握でき、捕捉した目標の移動速度も検知できる。自機から距離400km以上の範囲を、面積にして50万km2を360度全周にわたって10秒毎に探索でき、複数の目標を同時に追跡できる。このレーダーは、高周波パルス(PFR=high pulse repetition frequency)+ドップラー波形式のビームを出し、状況に応じて6種類のモードを使い分けしながら照射する。これで低空や高空から接近する高速の目標や、海面の波などで生じるクラッターに紛れて侵入する水上目標を捕捉する。アンテナはサイドローブが極めて低く、どんな地形を照射している場合でも所定の性能を発揮できる。

米空軍のE-3 AWACSはボーイング707を基本にして改造した機体で、1977年から1992年まで合計68機が作られた。1機辺りの価格は2億7000万㌦と云われ、米空軍はこの内32機を運用し、NATOが18機、フランスが4機、イギリスが7機、サウジアラビアが5機、それぞれ導入している。

米空軍E-3G

図:(Wikipedia)米空軍のE-3G AWACS。E-3 AWACSはセンチュリー(Sentry)と呼ばれ、2009年から改修がスタートしE-3Gブロック40/45に生まれ変わりつつある。フライトクルー4名、ミッションクルー13〜19名が搭乗、最大離陸重量34.7㌧、航続距離7,400km、航続時間8時間、空中給油付き、エンジンはP&W TF33-PW-100A推力21,500lbs x 4基。

 

最初の生産型機はE-3Aで、P&W TF33エンジンを装備しAN/APY-1レーダー付きで24機が作られたが、後にE-3Bに改修された。E-3C型はAN/APY-2レーダー付きで、電子装備が改良され10機が作られた。E-3DはE-3Cをイギリス空軍向けにした機体で、GE CFM-56を装備。同様のフランス空軍用はE-3Fと呼ばれている。最新型は米空軍のE-3Gブロック40/45である。

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