露戦略爆撃機、日本列島接近でスクランブル


2013-10-21   小河正義

10月21日ロシア機

図:(防衛省)10月21日ロシア戦略爆撃機Tu-95 2機編隊が北海道、本州の領空に接近飛行をした経路。飛行の目的は我国の防空レーダー網と防空対応体制をチェックするためらしい。政治経済では微笑を振り撒き、我国の経済力を利用しようとしているが、衣の下からは鎧が透けて見える。油断は禁物。

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図:(防衛省)我国領空に接近飛行をしたロシア戦略爆撃機Tu-95の近接撮影。全長50mを超え全備重量188㌧の巨体、エンジンは軸馬力15,000HPのターボプロップ4基で、写真で判るように2重反転プロペラを装備している。海軍用の長距離洋上哨戒機Tu-142も殆ど同じで外見はあまり変らない。

露戦略爆撃機の編隊が10月21日、北海道から本州の日本海側沿いを中心に接近し、航空自衛隊のF-15要撃戦闘機が相次いで緊急発進した。ラブロフ外相の日本訪問が来月に予定され、領土問題を含め日露関係の新たな前進を期待する向きもあるが、同日の爆撃機接近飛行はクレムリンの対日姿勢が甘くない事を浮き彫りにした。

防衛省統合幕僚監部は10月21日夜、露戦略爆撃機の2機編隊が日本列島に接近飛行したのを受け、千歳、小松等から待機中のF-15要撃戦闘機を相次いで緊急発進させたと発表した。領空侵犯には至らなかったという。

同日午前、北海道の北部航空方面隊の防空レーダーが太平洋東方から北海道方向へ西進する国籍不明機のエコーを発見した。ADIZ(防空識別圏)越えは必至で直ちに千歳基地から待機中のF-15要撃戦闘機2機へスクランブル(緊急発進)を命じた。パイロットの目視確認で該当機は露空軍所属、戦略爆撃機トゥポレフTu-95『ベア』2機編隊と判明した。露空軍爆撃機はその後、北方4島のうち国後島付近等北海道東方沿いにオホーツク海を北西方向に飛行。宗谷海峡を回り込み、日本海側を北海道西方から島根県沖合い迄を本州沿いに南下飛行した。千歳の他、三沢、小松基地から要撃戦闘機のスクランブルを余儀なくされた。隠岐島付近で旋回飛行を試みている。

最近、この空域で露軍機の飛行が活発で、在京国際軍事筋は米軍の弾道ミサイル警戒監視レーダーへの性能チェックの可能性が考えられるという。東京五輪招致で、プーチン大統領が支持票とりまとめで貢献したとの政府筋の見解が先頃流れた。しかし安倍政権が目指す日露平和条約締結、北方領土交渉前進のプロセスは、外交当局が分析するほど簡単ではない事を今回の露空軍の行動は示唆している。”霞ヶ関外交”は過去、半世紀以上、常にモスクワのタフさに振り回されているだけだ。

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