米海軍、次世代対潜哨戒機(ボーイングP-8A)実戦配備間近


2013-11-01    マーク・デブリン(米フロリダ州マイアミ)

米海軍の次世代対潜哨戒機、ボーイングP−8A”ポセイドン”の実戦配備が間近だ。高速、高々度などジェット機の特性と母体となるハイテク旅客機の輸送能力を生かし、ロッキードP3C”オライオン”時代と一線を画する『ハンター・キラー』新時代をもたらす。中国海軍の太平洋進出が本格化する中で、米海軍にとって重要な助ッ人となろう。安全保障分野で米国との同盟強化を明確にした日本も、純国産の4発ジェット対潜哨戒機、P–1Aの実戦配備準備中。日米が対潜哨戒活動分野の新型ジェット機導入で共同歩調を取る事は中国海軍、復権を目指す露海軍への抑止力になる。

ボーイング社は、10月25日、12機目のP-8A”ポセイドン”を米海軍へ納入した。同機はシアトル郊外のボーイング・フィールドから南部フロリダ州ジャクソンビル海軍航空基地へ向かった。ここでP-8Aの本格実戦配備に備え、パイロットなど運航乗員、メカニックを中心にした地上要員の訓練が佳境を迎えている。数ヶ月以内に実戦配備開始が可能となるという。

P-8A”ポセイドン”は米海軍の対潜哨戒活動の主力機だった、ロッキードP3C”オライオン”の後継機として2005年導入が決まった。機体は中型ジェット旅客機としてベストセラーのボーイングB737型機のハイテク機種、NGシリーズの-800型。主翼は同-900型から転用した。操縦室のデジタル設計や、改良進化した広い胴体内部、飛行性能に秀でた最新の主翼などアナログ時代のデザインとターボプロップエンジンが支えたP3C型機とは技術格差が歴然。加えて、装備するレーダー、各種探知センサー、ネットワーク中心の通信設備、攻撃用搭載兵器の多角化など21世紀の海上、海中作戦に対応が可能。

ジェット機特有の高速、高高度飛行は原子力潜水艦の探索、攻撃の選択幅を飛躍的に拡大しそうである。米海軍は同型機を最終的に117機購入。太平洋、大西洋、インド洋等七つの海で空中パトロールのの主役に育てる。中国は42年間、秘密のベールで包まれた原潜部隊を敢えて公開力を誇示したが、P-8A”ポセイドン”時代の到来は中国海軍に手強い相手となる。プーチン政権がもくろむ冷戦時代と同様な外洋海軍(オーシャンネービー)復活の野望の抑止力なろう。

海上自衛隊は日米のインター・オペラビリティの基本原則堅持の戦略で国産の4発ジェット対潜哨戒機、P-1A開発で米国の理解を得た。川崎重工が主契約社だ。目下、神奈川県厚木基地で最終運用評価中で、間もなく第一線配備が可能となる。

P-8A型機は海外の注目度が高くインド海軍はP-8I型のインド仕様に改修、21億ドルをかけ合計8機を導入する。露製のトゥポレフTu-142M型機使用にピリオドを打つ。豪州海軍も購入へ動き出した。

P-8A”ポセイドン”は全長:39.47㍍、全幅:37.64㍍、高さ:12.83㍍。巡航速度:789㌔。最高高度:12,496㍍。行動半径:2,200㌔。乗員数:パイロット2人を含む9人。エンジンはCFMインターナショナルのCFM56-7ターボファン2基。レーダー、センサーなど各種搭載電子機器はノースロップ・グラマン、レイシオン、GEエビアーション、BAEシステムズが担当した。攻撃要兵器はハープーン対艦ミサイル、魚雷など。