B787サプライ・チェーン専用巨人機、目的空港16㌔先、誤着陸


2013-11-23     マーク・デブリン(フロリダ州マイアミ)

B787型機のサプライ・チェーン維持、運営に欠かせぬ大型部品専用巨人輸送機が11月20日夕、米中西部カンザス州で目的空港から16㌔外れた小型機空港に誤着陸した。最小限の燃料で機体重量を落とし翌日再離陸に成功、予定した空港に約30分後に到着した。GPSの誘導下でなぜ乗員が着陸後まで誤着陸に気付かなかったか等、FAA(米連邦航空局)で調査を始めた。

誤着陸騒ぎの主役は日本等からB787型機の主翼等大型構造部品輸送専用に開発したB747『ドリィーム・リフター』。B747型機を完全2階建て構造に改修。日、伊などB787サプライ・チェーンの円滑な運営に不可欠の空輸手段となっている。

地元の『ウィチタ・イーグル』等によると誤着陸の舞台となったのはカンザ州の小型機専用空港、市営ジャバラ空港。滑走路の長さは1,860㍍。重量貨物を積載したB747『ドリィーム・リフター』が安全着陸するには短すぎる。

着陸予定空港は南方の米空軍マッコーネル空軍基地の3,000㍍級滑走路。同基地管制塔も一時、該当機の行方を見失った。乗員との交信回復で、機体が市営ジャバラ空港に誤着陸した事実をつかんだ。

翌日、マッコーネル基地への半時間の飛行に必要な最小限の航空燃料に絞り、市営ジャバラ空港からの再離陸に成功した。空港周辺は初めて目にした巨人貨物機を見ようと多数の野次馬が押し寄せたという。

航空関係者は 1)滑走路着陸方位確認はパイロットの基本操作 2)地上のレーダー誘導以上にGPS航法は精度が高く、目的空港の緯度、経度インプットが正確であれば誤差は数十㌢以下 3)マッコーネル基地の管制塔が航路逸脱に気づなかった理由ーなど疑問が多い。

B747『ドリィーム・リフター』現在、4機が運用中。誤着陸機はアトラス航空が委託運航していた。

K63873_med

 

[(Boeing)B787型機サプライ・チェーンを支える747型機特別改修機、ドリーム・リフター]