2013-11-24 航空評論家 小河正義
中国が強引に設定した尖閣列島上空を含む、新防空識別圏で11月23日午後、複数の電子偵察機が、直ちに行動を開始、航空自衛隊のF-15要撃戦闘機がスクランブル(緊急発進)した。防衛省統合幕僚監部が24日までに発表した。
統合幕僚監部によると11月23日、昼から午後にかけ南西諸島の我が国防空識別圏に国籍不明機が別個に接近するのを航空自衛隊南西航空混成団の防空レーダー等が探知、那覇基地から複数のF-15要撃戦闘機がスクランブル(緊急発進)した。
パイロットの目視確認と、ビデオ映像で該当国籍不明機は中国空軍所属の電子偵察機で1機は旧ソ連製トゥポレフTu-154型3発ジェット機で機体底部に電子情報収集ポッドを装着した偵察機と識別。別の1機は旧ソ連開発アントノフAn-12、4発ターボプロップ貨物機を基に偵察機能を持たせたY-8型機と判明した。垂直尾翼付け根付近に特殊アンテナが見られる。
防空レーダーの記録等と照合した結果、Y-8型機東シナ上空を東進。日本の防空識別圏に進入後、コノ字型の飛行後、大陸方面へ帰投した。
一方、高性能のTu-154型機は東シナ海上空を南西諸島西方沿いに南下、一時、尖閣列島北、40㌔まで接近。その後、大陸方面へ引き返したという。2機とも領空侵犯はなかった。
中国国防部は11月23日、午前10時を機し、尖閣列島の上空を含む南西諸島西方の広大な空域を中国の新規防空識別圏(ADIZ)に設定したと内外に通告。該当空域を航行する航空機の事前位置通報を要求する暴挙に出た。直後の電子偵察機出動について在京国際軍事筋は、今後戦術をエスカレートさせ、最新の戦闘機でスクランブルした航空自衛隊機とつばぜり合いを演じる可能性が高まったと見る。
中国が機数で優勢な戦闘機を一気に出動させる”飽和攻撃”に出た場合、那覇基地のF-15要撃戦闘機2個飛行隊で間に合うだろうか。国家安全保障会議の議論を待たずF-15機の緊急輸入など要撃戦闘機の増勢で、安倍内閣は領空、領土死守のため行動を起こす必要がある。いったん、中国の手に落ちればすべては回復は不可能。歴史に屈辱的事実が残る。情勢は独立国家の主権確保とと無法国家への断固たる姿勢を明確にすべき時期にさしかかっている。
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