2013-12-19 航空評論家、小河正義
図(防衛省):12月19日に日本列島を一周したロシア海軍の偵察/哨戒/爆撃機Tu-142 2機編隊の飛行経路。12月5日のTu-95 2機による我国レーダー網の反応探知飛行に続く海軍による示威飛行だ。
図(防衛省):12月19日、我国周回飛行を行なった露海軍の偵察/哨戒/爆撃機Tu-142 2機のうちの1機。Tu-142は、同月5日に日本海で我国のレーダー基地反応を探る飛行を行なった露空軍のTu-95爆撃機の海軍型機である。
防衛省統合幕僚監部は12月19日、露偵察機の編隊が日本列島周辺を一周飛行したのを受け航空自衛隊F-15型機等が相次いでスクランブルを余儀なくされたと発表した。
それによると、12月19日、午前、国籍不明機が北海道・礼文島北方から防空識別圏に接近するのを北部航空方面隊の防空レーダーが捉えた。千歳基地から待機中のF-15要撃戦闘機が発進、国籍不明機が露海軍の海上偵察兼対潜哨戒機、トゥポレフTu-142『ベアF/J』2機編隊と確認した。露機はその後、日本海を日本列島沿いに南下、南西諸島付近でUターン。機首を太平洋上空に変針、日本列島沿いに北上。サハリン方面へ向かった。
この間、航空自衛隊は領空侵犯阻止と警戒のため、次々と要撃戦闘機のスクランブルに追い込まれた。領空侵犯は発生しなかったが、飛行ルートは民間航空路と交差飛行の安全確保から由々しき行動だ。露機による日本列島一周偵察飛行は冷戦時のソビエト軍機の常套手段。最近の同様なケースは3月だった。
東京の国際軍事情報筋は露軍機の今回の飛行の意図を測りかねている。来年早々には日露外相会議、安倍総理のソチ五輪期間中の訪露とプーチン大統領との首脳会談が予定されている。露側がこうした日露和解のムードを敢えて逆なでするのか。北方領土問題での厳しい姿勢を改めてのぞかせたといえそうだ。
[(航空自衛隊)日本列島一周威力偵察飛行の露海軍偵察/哨戒/爆撃機、トゥポレフTu142″ベアF/J編隊の航跡]
[(航空自衛隊)日本列島一周の威力偵察飛行を敢行した露海偵察/哨戒/爆撃軍の偵察機、トゥポレフTu142″ベアF/J”]