−試験飛行中の新型機CSeries [CS-100]の就航は、予定から1年遅れの2015年第2四半期に、また[CS-300]はその6ヶ月後に延期される−
2014-02-09 松尾芳郎
図:(Bombardier Aerospace)昨年(2013-09-16)に初飛行したボンバルデイアCSeries [CS-100]1号機FTV-1。[CS-100]は、標準型客席数は32㌅ピッチで110席。機体全長は35m、翼幅は35.1m、最大離陸重量は59㌧、航続距離約5,500km、エンジンはPW1500G推力21,000lbs(93.4N)を2基。客室幅は3.7mでA320と同じで、ボーイング737系列機の3.54mより大きい。確定受注198機を含みオプション等合計で445機の注文がある。
図:(Bombardier Aerospace)カナダ・モントリオール近郊のミラベル(Mirabel)空港内の工場で最終組立中の[CS-100]型機。胴体は中国AVIC傘下の瀋陽航空機で、また主翼など他の大部分は英国北アイルランドにあるボンバルデイア社のベルファスト(Belfast)工場で作られる。
ボンバルデイア社は今年1月16日に、CSeries[CS-100]初号機の引渡しを現在の予定から1年延期し、2015年第2四半期にすると発表した。この結果、大型の[CS-300]機も6ヶ月遅れの2015年末か2016年初めの就航となる。
[CS-100]の初号機FTV1は、2012年12月の初飛行を予定していたが、組立ての遅れなどで2013年9月16日にずれ込んだ。そしてその後飛行試験に参加した2号機FTV2(2014-01-03)を含む飛行試験の結果から、型式証明取得に予想より時間が掛かると判ったため、引渡し予定を改訂した、と云う。同社の話によると、飛行試験はこれまで20回行なわれ飛行時間は250時間を超えており、予定通りフライバイワイヤ・システムを使って飛行し、所期の性能が得られている。3号機FTV3は2月には完成し試験飛行に加わる予定。
CSeries機は100席から149席の市場を狙い最新の技術を組込んだ狭胴型機で、110席級の[CS-100]に続いて135席級の[CS-300]が開発中である。CSeries は737NGやA320ceoの最少モデルなどとほぼ同じサイズ。使用材料は複合材を多用し全体の46%を占め、アルミ−リチウムが24%となっている。さらに次世代型エンジンPW1500を搭載するなどで、同じ区間を飛行する場合、同クラスの在来型機に比べ燃費は20%ほど少ない。
エンジン以外の主なサプライヤーは次ぎの通り。
・瀋陽航空機(Shenyang Aricraft)・・・中央胴体(機首、尾部を除く)
・アレニア航空機(Alenia Aeronautica)・・・水平/垂直尾翼
・フォッカーエルモ(Fokker Elmo)・・・ワイヤリング
・C&Dゾデイアック(C&D Zodiac)・・・客室内装
・パーカーハニフィン(Parker Hannifin)・・・操縦系統、燃料系統、油圧系統
・リビエール航空宇宙(Liebherr-Aerospace)・・・エアマネジメント・システム
・グッドリッチ(Goodrich)・・・フラップ/スラット駆動装置、エンジンナセル
・ロックウエルコリンズ(Rockwell Collins)・・・アビオニクス(Pro Line Fusion)
(この中には三菱MRJの協力企業でもある「パーカーハニフィン」「グッドリッチ」「ロックウエルコリンズ」の名がある)
ボンバルデイア社の発表によると、CSeriesは17社から198機の確定受注(CS-100が63機とCS-300が135機)、およびオプション等247機、合計445機の受注がある。主なカストマーは、ルフトハンザがCS-100を30機+オプション30機、リパブリック航空がCS-300を40機+オプション40機、イリューシンファイナンスがCS-300を32機+オプション10機、などとなっている。CS-100のエアライン就航はスエーデンのマルモ航空(Malmo Aviation)で始まる予定。
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