建設的野党とは何なのか?<その1>


014-04-07   元・国務大臣秘書官 鳥居徹夫

 安倍総理が「建設的野党との協議」を表明したのは、1月24日の衆議院本会議の所信表明である。

はて、一体どこが建設的野党で、そうでない野党はどこなのか?

 折りしもトルコとアラブ首長国連邦(UAE)への原発輸出を可能とする原子力協定の承認案は、4月4日の衆院本会議で採決され、与党や民主党などの賛成多数で可決された。

 ところが民主党は菅元首相ら8人が欠席・棄権した。これは所属議員の約15%にあたる。

また橋下大阪市長の出直し選挙、みんなの党の渡辺代表(当時)の8億円のウラ融資疑惑などもある。あらためて責任野党とは何なのか? 等について、断続的にレポートする。

■□招かれざる元大臣

 東京都第7区(中野区、渋谷区)選出の長妻昭議員は、「消えた年金問題」や「居酒屋タクシー」など税金の無駄遣い追及で、霞ヶ関批判のヒーローとして脚光を浴びた。

また2009年の総選挙で、政権交代となり民主党政権を誕生させた立役者であり、厚生労働大臣を経験した。知名度もあり、近年は選挙運動らしい運動も行わず、小選挙区で議席を獲得していた。

それまで地域のイベントにも招待されても顔も出さなかったことも多かった。

ところが今年(2014年)の正月は、長妻昭議員は行政関係や福祉・消防関係団体、さらには町内会など地域の賀詞交歓会に、招待もされないのに押しかけている。

着席式のイベントでは、事務局があわてて席を作るという光景もみられた。まさに「招かれざる元大臣」である。

■□非公認で当選の都議に、長妻氏のイジメ

一昨年(2012年)の総選挙で、大惨敗した民主党は政権を失った。大勝した自民党が、政権を奪還したのである。

長妻氏は、民主党が大逆風の中、元首相の菅直人や現代表の海江田万里が、小選挙区で議席を失い比例復活という厳しい選挙の中でも、小選挙区で当選を果たしていた。

繰り返すが、選挙後の昨年 (2013年)正月も、地域のイベントにもほとんど顔も出さなかった。ところが今年は、招待もされないのに押しかけているのである。

昨夏は、東京都議会議員選挙と参議院選挙があり、いずれも民主党は惨敗した。

長妻氏が総支部長をつとめる東京第7区総支部は、東京都議会議員選挙の渋谷区選挙区(定数2)に、現職都議で民主党渋谷区支部の大津ひろ子支部長を公認しなかったのである。

大津都議は、渋谷区支部から第7区総支部に公認申請を出していたが、長妻氏はタナざらしにし、別の渋谷区議を公認候補にした。しかもその区議は、民主党渋谷区支部から申請の手続きがされていないにもかかわらず、である。

6月の都議選の結果は、民主党非公認の現職の大津ひろ子都議が4選を果たし、長妻氏や東京都第7区が推した民主党公認候補は惨敗を喫した。

当選した大津ひろ子都議は、民主党から非公認でありながらも、民主党渋谷区支部の支部長である。

ところが、昨年12月に民主党の東京都連は「渋谷区支部について、現支部長が資格要件を欠いている状況に鑑み、組織規則などに照らし現状では解散手続きに入るように当該支部と協議すること」などを了承させた。長妻氏らの働きかけが功を奏したのである。

ところが民主党組織規則(第18条-2)は、「行政区支部の代表者は、党籍を有する都道府県議会議員が務める」となっており、「現支部長が資格要件を欠いている状況」との指摘は当たらない。東京都連が「当該支部との協議」を求めた東京都連の常任幹事会報告は「現支部長が資格要件」が理由であり、それ以外の理由はないのである。

そのため第7区総支部(長妻昭総支部長)は今年3月に、4名の渋谷区議からの提案という形で「渋谷区支部の解散」を東京都連に上申することを決定したが、東京都連はウンザリである。これらの経過は、当然のこととして長妻氏や民主党への不信となって返ってきている。

■□都議会議員を2期で追放していた長妻昭氏

長妻氏は、自分を支援していた地方議員が、自分の脅威となることに脅えているようである。中野区選出の都議会議員は、すべて2期で追放されている。

渋谷区の大津都議は、3期までは民主党公認であったが、4期目は非公認とされ刺客に新人(渋谷区議)をぶつけられた。

大津都議の3期目の都議選は、2009年の総選挙の直前に行われた。

長妻氏としても、自分の総選挙の体制づくりもあり、3期目に挑戦する大津都議の力を借りたいと思っていたことは想像に難くない。その後の2012年の総選挙でも、大津都議らの奮闘により、長妻氏は小選挙区で当選した。

ところが、都議選が近づく頃から長妻氏は、現職の大津都議の切り捨てに転じた。非公認とし、刺客を立てたが返り討ちにあった。

長妻氏が国会議員の議席を得てから、中野区では、現職の樋口裕子都議は刺客を建てられ落選した。そして次の都議選に、樋口氏は民主党公認を申請したが、長妻氏らは無視した。

樋口議員の後に2期つとめた吉田康一郎都議も、3期目は長妻氏の承諾が得られなかった。その結果「維新の会」からの出馬となった。

このように長妻王朝のやり方は、まさに北朝鮮そのものであり、都民・区民の心は離れていくばかりである。

何やら、側近の張成沢(チョン・ソンタク)を粛清した金正恩(キム・ジョンウン)総書記を彷彿させる。

建設的野党とは何なのかを問うとき、風だのみの「民主党」、の実態は、本当にお寒い限りである。とりわけ地方では、国会議員の独善が優先するケースも多いと言われる。

今年3月6日に東京都議会の本会議で、その大津ひろ子都議が代表質問に立った。

一人会派の枠である。質問が終わると民主党席から拍手が起こり、自民党席から「民主党は公認しなかったのだろ」「民主党に戻るなよ」とのヤジがあり、異様な活況であった。

–以上−