2014-06-28 松尾芳郎
図:(Sukhoi) スホーイPAK-FA/T-50ステルス戦闘機の試作機のうちの1機「T-50-5」が、着陸時に発火、胴体上部が中央から後部にかけ焼損した。
事故が起きたのは去る6月10日、PAK-FA/T-50型機の飛行試験用5機の内の1機「T50-5」号機が、飛行を終えモスクワ郊外にあるジューコフスキー(Zhukovsky)空軍基地に着陸した直後のことである。
スホーイ社の話では、着陸滑走中に右エンジンの空気取入れ口付近から煙が出始め、直ぐに火炎に変ったと云う。
幸いにも火災は直ぐに消し止められたので、現在修復に取りかかっており、T-50全体の試験プログラムには殆ど影響はない、と発表している。
スホーイの親会社ユナイテッド・エアクラフト社のM.ポゴシアン(Mikhail Pogosyan)会長が事故前の6月5日にフライトグローバル誌に語った所によれば、「PAK-FA/T-50の試験は極めて順調、全て予定通りに進行中で、5機の試作機でプログラムを消化し2015年にはロシア空軍の証明を取得し、2016年から引渡しを始めたい」。
昨年末迄に、PAK-FA/T-50の性能確認は完了し、すでに今年初めから、飛行試験は搭載するアビオニクスの試験を主とする第二段階に入り、ロシア空軍と共同で実施中である。
最終組立ては、シベリア極東のアムール川沿いコムソモリスク(Komsomolsk)にあるKnAAPO工場で行う予定で、すでに準備は完了している。従って空軍の型式証明を取得後、直ちに量産を開始出来る状態にある、と云っている。
図:(Sukhoi) PAK-FA/T-50ステルス戦闘機を下から見たところ。米国のF-22に匹敵するステルス性を備え、全重量の25%、表面面積の70%は複合材製、重量換算で75%はチタン合金。胴体中央には主兵装庫、両翼付根先端部には副兵倉庫があり、各種ミサイル、精密誘導爆弾を搭載する。アビオニクスはAESAレーダーを中心に最新の多機能統合型電子システムを備える。エンジンは、AL-41F1推力93.1kN. 21,000lbs(ドライ)147kN.33,000lbs(アフトバーナ時)、推力偏向式を2基。最大離陸重量35㌧、最大速度マッハ2。完成すれば極めて強力な戦闘機になることは間違いない。
–以上−
本稿作成の参考にした記事は以下の通り。
Golden Eagles News “Mixed fortunes for Russian fighters” by Craig Hoyle on 12 June, 2014 in Defence with a ‘C’
Flightglobal 10 Jun 2014, “Fire damages PAK-FA prototype on landing” by Dominic Perry