ボーイング、民間機の好調が第2四半期の業績支える。防衛部門は国防総省の予算削減が響く


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[(Boeing)会長兼CEO昇格が近い”ボーイングの顔”デニス・ミュレンバーガー社長兼COO]

ボーイングは7月23日、2014年第2四半期の業績を発表した。それによると、売り上げが220億4,500万㌦で利益は16億5,300万㌦、対前年同期比52%増だった。B787型機の増産効果が立役者。民間機部門の売り上げは143億400万㌦。対前年同期比5%増。これに対し、軍用機等防衛部門全体で売り上げは77億4,700万㌦に留まった。対前年同期比5%減。利益も5億8,200万㌦と対前年同期比25%減だった。国防予算へ大鉈がふるわれたあおり。

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[(Boeing)シカゴのボーイング本社]

ボーイングによると期間中の民間機引き渡し数は181機,対前年同期比7パーセント増。半期ベースで342機、対前年同期比12%増だった。

引き渡し数増の”牽引車”はB787『ドリームライナー』の増産体制の定着。30機と対前年同期比14機増だった。”打ち出の小槌”と評判のB777型機も24機(前年同期、23機)と好調だった。減産体制のB747型機は2機で前年同期の4機減。ライバルのエアバスA380型機との差が開く一方。生産継続のための梃入れが急務と言える。

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[(Boeing)増産体制が安定化に向かうB787型機最終組み立てライン]

一方、防衛部門は、今後の厳しい国防費削減を反映した。中核の軍用機部門で明瞭。ボーイングの発表では期間中の売り上げは77億4,700万㌦で対前年比5%減。半期ベースでも153億8,000万㌦と6パーセント減。利益も5億8,200万㌦で第2四半期比較で25%減。半期ベースで13億6,000万㌦と15%減。戦闘機需要の先細りで、海外市場の積極的開拓、売り込みが不可欠。

軍用機の期間中の実績はF/A18『スーパー・ホーネット』、「グラウラー』が合計12機(前年12機)。F15『イーグル』が4機(同0)。C17『グローブマスターⅢ』大型輸送機が2機(同3機)。P8『ポセイドン』対潜哨戒機が2機(同3機)。AEW&C早期警戒管制機1機(同0)。ヘリコプター部門はCH47『チヌーク』が15機(同8機)。AH64『アパッチ』が9機(同3機)。衛星関係ではサテライトが2基(同0)。

ボーイングの業績を支える民間機部門もエアバスとの競合が激化する一方で、”オンリー・ワン”の機種開発を求める声も少なくない。ミュレンバーガー次期会長兼CEO候補の経営の舵取りは難しい。