ロールアウト直前の三菱 MRJ、3号機の最終組立も開始


2014-10-17  松尾芳郎

本稿は、「三菱MRJ、間もなくロールアウト式典、3号機の組立ても始まる」2014-10-14作成版の改訂記事である。

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図:(三菱航空機)右にあるのが来る10月18日にロールアウトするMRJ90初号機「JA21MJ」。左には2号機「JA22MJ」の胴体、主翼が取付け位置にセットされている。奥に見えるのは未塗装の3号機の胴体部分。

MRJ90長大な主翼

図:(三菱航空機)同じくMRJ90初号機、右翼に登録記号「JA21MJ」が記入済み。アスペクト比の大きい主翼が判る。

 

明日のロールアウトを前に三菱MRJ初号機「JA21M」は、この9月末までに構造の最終組立てが完了している。

胴体の中央翼に左右の主翼を取付ける作業は4月に始まり、6月17日に完了。P&W製PW1200エンジンの取付けは7月初めまでに実施。そして2015年6月の初飛行に向けて9月から各システムの機能試験が始まっており、先週からは電源系統のテストを行っている。

10月18日には、関係者の出席のもと名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場で三菱MRJ初号機のロールアウト式典が行われる。ローンチ・カストマーであるANAへの引渡しは2017年第2四半期に予定されている。当初の予定より3年半の遅れとなるが、主たる原因は型式証明取得に関わる手続き上の問題とされている。

2号機の状況;–

現在、胴体と主翼の結合作業が行われている段階、水平尾翼は未だ取付けられていない。胴体、垂直尾翼および主翼の塗装は済んでいる。三菱航空機によると、2号機の組立ては予定通り進んでいると云う。

3号機の状況;—

3号機は、機首、胴体、左右の主翼などの主要構成部分は結合に向けて最終的な準備をしている段階、胴体の結合作業は間もなく開始される。

4号機の状況;–

4号機は、地上試験用の機体で、エンジン、フェアリング、および各動翼を除いた機体全体の構造部分である。今年5月に完成し、夏から試験に供されている。2機目の機体を準備中で、こちらは疲労破壊試験に使う予定。

 

試験飛行

型式証明取得のための試験飛行にはMRJ90型機(92席)を5機充てる予定で、2機は日本国内で2015年6月から、3機は米国モーゼスレイク(Moses Lake, Wash.)で同年秋から、それぞれ飛行を開始する。

座席数の少ないMRJ70(70席クラス)の開発はMRJ90の型式証明取得後に始める。

 

受注状況

未だ営業を開始していないマイアミ拠点のイースタン航空(Eastern Airlines)は、先にファンボロー航空ショウで購入に関する覚書を結んでいたが、9月22日にMRJ90を確定20機・オプション20機の正式契約に変更、調印した。引渡しは2019年からになる。

これで三菱航空機は、日本航空からの32機の購入確定合意を含め、223機の確定受注を達成した。さらにオプションとしてこれまでに各社から184機の注文を得ている。

–以上−

 

本稿作成の参考にした記事は次ぎの通り。

Aviation Week eBulletin Oct. 10, 2014 “Ahead of Roll-Out, MHI assembling third MRJ” by Bradley Perrett

三菱航空機ニュースNo. 44 “イースタン航空とMRJ最大40機の購入で正式契約を締結、北米地域では3社目“