2016-06-29(平成28年) 松尾芳郎
防衛省統合幕僚監部によれば6月27日と同28日にロシア海軍の対潜哨戒機IL-38型機2機ずつが本州三陸海岸沖の空域に接近、情報収集を行った。いずれの場合も空自戦闘機が発進、警戒に当たり、領空侵犯を防いだ。統幕監部が28-06-27と同−28日に発表した。
IL-38型機が日本近海に出現したのは、今回が2回目である。前回は、2010年12月7日やはり2機が日本海側能登半島沖に飛来し、折から実施中の日米両海軍の合同演習を妨害した。
6月27日飛来した2機;—
図1:(統合幕僚監部)27日に飛来した2機の対潜哨戒機IL-38型機のうちの1機、機番は27。イリューシン(Ilyushin) IL-38型対潜哨戒機は、イリューシンIL-18型ターボプロップ輸送機を基本に、胴体を4 m伸ばし対潜哨戒機にした機体で、1961年から2010年に掛けて輸出を含め58機が作られた。今回飛来したのはその最新型「IL-38N」で、インド海軍用は「IL-38SD」と呼ばれる。「IL-38N」は、空中は半径90 km、水上は同じく320 km以内にいる32個の目標を同時に捕捉、追跡できる。5機がロシア太平洋艦隊に配備されている。乗員7-8名、長さ40.2 m、翼幅27.4 m、最大離陸重量64 ton、エンジンはプログレス(Progress) AI-20Mターボプロップ4,200 hpを4基。機体は前部胴体のみが与圧構造、尾部には対潜磁気探知用MADが見える。機首の下部には探査用レーダードーム、機首下部の小さな膨らみは新しい「前方赤外線探知装置(FLIR=Forward looking infrared)、機首上部には「電子諜報(ELINT=Electronic intelligence)」システムのアンテナが大きな構造物に収められている。胴体の主翼取付部の前後に兵装庫があり、前部にはソノブイ、後部には対艦ミサイル射程110 km及び空対空ミサイルを装備する。最高速度650 km/h、航続距離9,500 km。
図2:(統合幕僚監部)27日に飛来した2機の対潜哨戒機の航跡。
6月28日飛来した2機;—
図3:(統合幕僚監部)6月28日飛来した2機のうちの1機、機番は24。詳しくは図1の説明を参照。
図4:(統合幕僚監部)28日に飛来した2機の対潜哨戒機の航跡。
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