ロシア艦艇東シナ海に進出、中国軍と合同で上陸演習か


2016-09-09(平成28年) 松尾芳郎

 

統合幕僚監部の発表によるとこの数日ロシア艦艇が相次いで東シナ海に進出している。戦車揚陸艦を含むところから、中国海軍と合同で島嶼上陸演習をするのかもしれない。

 

28-09-01発表;—8月31日(水)午前9時、太平洋から久米島の西北西50 kmの海域を東シナ海に向け北に向け航行するロシア海軍のイゴリ・ベロウソフ級潜水艦救難艦1隻を発見した。発見したのは那覇基地の海上自衛隊第5航空群「P-3C」哨戒機である。

28-09-06発表;—9月5日(月)午後4時ごろ、上対馬北東70 kmの海域を日本海から東シナ機に向け南下するロシア海軍の艦艇5隻を発見した。ロシア艦艇は、ウダロイ1級ミサイル駆逐艦2隻、ロプチャー級戦車揚陸艦1隻、どうブナ級補給艦1隻、イングル級救難曳船1隻である。発見したのは佐世保基地海上自衛隊第8護衛隊所属の護衛艦「しまかぜ」である。

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図1:(統合幕僚監部)8月31日、沖縄本島の西約80 kmにある久米島付近を太平洋から東シナ海に航行するロシア海軍のイゴリ・ベロウソフ級潜水艦救難艦。8月23日ノーボスチ通信が伝えるところによると、最新型潜水艦救難艦イゴリ・ベロウソフは、バルト艦隊から太平洋艦隊に配属が変わり、シンガポール、カムラン湾などを経由、ウラジオストクに向け航行中という。したがって今回の東シナ海航行はウラジオへの回航の途中と思われる。満載排水量5,000 ton、全長は100 m。プロジェクト21300と呼ばれ2015年11月に就役した新造艦。今後4隻の同型艦が建造される予定。海上自衛隊の前に姿を現したのはこれが最初である。

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図2:(統合幕僚監部)9月5日、日本海から対馬海峡を経て東シナ海に入ったロシア海軍のウダロイ1級ミサイル駆逐艦。ウダロイ(Udaloy)級駆逐艦はロシア海軍では1155大型対潜艦と呼ばれ、対潜、対空任務に重点をおいた汎用艦である。前級ソブレメンヌイ級駆逐艦の後継艦。満載排水量8,500トン、最大速力約30 kt、AK-100 100 mm単装砲2門、対空機関砲30 mm CIWS 4基、対空ミサイルSA-N-9 8連装VLS 型8基、対潜ロケット12連装発射機2基などを装備する。ウダロイI級は12隻作られ5隻が退役、太平洋艦隊には4隻が配備中。2013年以降近代化改修が進行中。日米海軍のイージス艦に近い性能を持つ。

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図3:(統合幕僚監部)9月5日撮影。前図を参照のこと。

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図4:(統合幕僚監部)9月5日撮影。1975-1991年に28隻が建造されたロプチャー(Ropucha)I型(775型)揚陸艦の後継艦がロプチャーII型(775M型)、3隻が作られた。基準排水量2,200 ton、満載排水量3,200 ton、速力18 kt。最大積載能力は450 ton、装甲戦闘車輌25両と揚陸兵員225名を輸送できる。

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図5:(統合幕僚監部)9月5日撮影。どうブナ級補給艦は満載排水量11,500 ton。太平洋艦隊第31保障船舶旅団所属の補給艦ペチェンガ(Pechenga)は給油を主任務とする艦である。

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図6:(統合幕僚監部)9月5日撮影。サルベージ曳船1453型イングル級4隻のうちの1隻「アラタウ(Alatau)」、上陸作戦などで座礁した揚陸艦などを救出するために使われる。

 

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