2017-01-29(平成29年) 松尾芳郎
防衛省統合幕僚監部の発表(29-01-24)によると、1月24日火曜日、ロシア軍のTu-95長距離爆撃機3機が北海道の日本海沿岸に沿い飛行した。一旦姿を消して、再び2機で姿を現し、今度は朝鮮半島から対馬海峡の九州北岸を通過、続いて東支那海を南下、沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を通り太平洋に進出、その後日本列島の南東岸沿いに北上し、北海道東部の択捉島—国後島の間を抜け北海道を周回してシベリア方面に立ち去った。
いずれも我国の防空識別圏内を飛行したが、領空侵犯はなかった。航空自衛隊では各基地から戦闘機を緊急発進させ警戒に当たった。
昨年1月26日にも2機編隊のTu-95が同様なコースを飛行、我国を一周した。
我国メデイアはこのニュースを殆ど黙殺したが、続いている日露平和条約交渉や、折からのトランプ米新大統領の対露接近発言に配慮したものか、理解に苦しむ。
日露間には我国の北方4島返還要求の問題がある。識者は、この飛行を要求拒否の意思を示す威嚇行動だと受け止めている。
図1:(統合幕僚監部)洋上を飛ぶ2機のTU-95戦略爆撃機。ツポレフTu-95ベア(Bear)は1956年に配備が始まった戦略爆撃機だが今でもロシア空軍の重要な一翼を担う。1984年から新型のTu-95MSに更新、63機が配備されている。Tu-95MSは各種長射程巡航ミサイルを16基、15トンまで搭載可能で、これを使えば我国全域を何時でも攻撃できる。軸馬力14,800hpのクズネツオフ(Kuznetsov) NK-12MAターボプロップを4基、最大離陸重量185㌧、最高速度925km/hr、航続距離は6,400km。海軍用に哨戒機型Tu-142がある。
図2:(統合幕僚監部)最初の3機編隊は樺太上空から北海道の日本海側を南下、我国の防空識別圏から離脱した。
図3:(統合幕僚監部)先の3機のうち2機が再び現れ、対馬海峡を南下、東支那海経由、宮古海峡から太平洋に出、日本列島に沿って北上、択捉—国後間を通り北海道を周回して、シベリア方面に立ち去った。
—以上—