2017-04-04(平成29年) 松尾芳郎
A320neo (neo=new engine option) が就航してから1年を過ぎ、この間にエアラインとエアバスは運航経験を積んできた。就航直後はPW1100G-JMエンジンで問題が生じ、このためカタール航空が受取りを拒否するなど、混乱が生じたが、今ではエアバスとエアライン各社はA320neoの好調な運航実績に満足している。
図1:(Airbus) エアバスA320neoはA319neo、A320neo、A321neoの3機種があり、エンジンはP&W製PW1100G-JMあるいはCFM製Leap-1Aのいずれかを選択できる。今年2月までに90社以上の顧客から5,000機以上の注文を受けている。写真はA321neo P&Wエンジン付き1号機。
A320neo系列機は、乗客140-240人を乗せ、航続距離は6,500 km (3,500 nm)から7,400 km (4,000 nm)もあるので、近距離国際線への投入が多い。
今年3月1日までにエアバスはエアライン20社にA320neoを88機納入している。うちPW1100G-JMエンジン付きを使っているのは11社の49機、CFM製Leap1Aエンジン付きは9社、39機となっている。3月中旬現在でのA320neo全体の飛行時間は57,600 hr以上、サイクル(飛行回数)は37,500サイクルになっている。
A320neoの1日当たり平均飛行時間は9時間、飛行回数は10サイクルに達している。この値は在来型エンジン付きのA320ceo (current engine option) の実績と変わらない。ルフトハンザ航空は、フランクフルト(Frankfurt)からハンブルグ(Hamburg)あるいはミュンヘン(Munich)といった飛行時間45分の最も短い路線を運航している。一方中国南方航空(China Southern Airlines)は飛行時間6 hrに近い長距離路線を飛んでいる。A320neoは142の路線を飛んでいるが、その平均路線距離は800-900 nmである。運航上の問題として既報のPW1100Gエンジン始動時間制限があるが、出発時間信頼性は目標の99.7%に対し実績は99.6%になっている。
A320neoの1年間の実績をまとめると;—
- 燃料消費率は目標値より良好
- PW1100G-JMエンジンには問題が残る
- 2017年中には200機が引渡される
今後数カ月以内に修正すべき技術的問題があるにせよ、エアバス、P&W、CFMにとっての良いニュースは、A320neoの性能が目標を上回っている点だ。エアライン数社は、座席当たり燃費が在来機対比で、極めて短距離路線でも15%向上していることを確認している。長距離路線ではこの燃費向上が16-17%、ルフトハンザでは座席列を2列増やし、標準の180席から200席にしているが、この場合では燃費節減が20%になる。エアバスA320neo系列機計画主席クラウス・ローウエ(Klaus Roewe)氏によると、さらに油圧ポンプの減音改修をしたことで客室騒音が劇的に低下し、今やA320neoは世界で最も静かな旅客機になった、と云う。
今年2月にA320neo就航開始1周年に際し、ツールース(Toulouse)でエアライン会議が行われた。これにはこれから運航を予定する会社を含めエアライン30社とP&W、CFMその他の主要サプライヤーが出席した。会議はエアバスが主催し、先発エアラインのルフトハンザとインデイゴ (IndiGo) が協力する形で行われた。
図2:(Airbus)ルフトハンザはA320neo運航のローンチ・オペレーターである。現在PW1100Gエンジン付き5機を運航中。同社は大型のA321neoを含み101機を発注している。
このツールース会議に続いて、エアバスはエアラインとの間に、P&WとCFMに分けて毎月オンラインセミナー(webinars)を開催することにした。最初のセミナーは3月中旬に54社の参加を得て開催された。54社のうち20社だけが今のところA320neoを受領しているが、残りはこれから受領に際し先輩各社の経験を教訓にするため参加した。
技術的問題を早期に把握するため、エアバスではエアライン5社と協力して、10機に専用の記録装置を取付けている。この装置は、使用中の約12,000パラメーターを記録し、それを120時間ごとに解析すると云うもの。これまでにエアバスはエアライン各社とデータの非公開取決めを締結し、10機から17テラバイト(terabytes)のデータを収録した。
この種のモニタリングはA350やA380などでは最初から装置を組込み実施しているが、A320は古い設計なので記録装置を別に用意して行うことになった。2018年に就航するA330neoにも最初から導入する予定だ。
これまでも伝えてきたが、A320neoの就航は、必ずしも順調とは言い難いものがあった。問題の大部分はPW1100G-JMエンジンに関係するもので、現在数種の改修が進みつつあり、2017年中には解決する予定である。他方のCFM Leap1A付きの機体では、全く問題はなく円滑な運航を続けている。
PW1100Gエンジン問題は3つあり;—
- エンジン停止後、冷却不均一のために“ローターが曲がる問題 (rotor-bow issue) ”を避けるため、次の始動時に冷却のため時間を掛ける件は、支障のない範囲で時間を短縮する。
- 高温下で運航するインデイゴ(IndiGo)やゴーエア(Go Air)での問題を解決するため設計変更を行なっている。
- エンジン改修による引渡しの遅れを取り戻すべく努力中である。
図3:(CFM International) CFM Leap1Aエンジンでは、導入はスムースで問題は起きていない。ボーイング737MAXには同系列のLeap1Bが採用済みなので合計受注数は12,000台を超えている。このためかってない規模の増産体制の整備が急がれている。
A320neo組立工場の所在地ツールース空港には、導入初期に見られたエンジン無しの機体は最早ない。しかしカタール航空の塗装をしたエンジン無しの機体はまだ数機が駐機している。カタール航空は受取りを拒んでいて、CFMエンジン付きの大型機A321neoに変更すべくエアバスと交渉中である。カタールは、P&Wエンジンが、内部冷却のため始動時に時間を要する件に関連して受取らないと主張している。一方ルフトハンザは予定通りA320neoを受取り、ローンチ・エアラインとして自社の整備陣と協力して、始動時の問題の解明に取り組んできた。
A320neo就航当初は、2つのエンジンを始動するのに7分も掛かり、ルフトハンザのハブ空港であるフランクフルトでは運航上の混乱を招いた。このため出発時にはタキシイウエイ上ではなくゲートでエンジン始動完了を待つ必要があった。他のエンジンでは、始動に要する時間はCFM56は1-2分、IAE V2500ではせいぜい2.5分である。
すぐさま対策の取組みが始まり、2016年前半には、P&Wは始動時に関係するソフトの改善で20秒を短縮し、その後部品を改良して始動時間を5分40秒にまで縮めた。それから両エンジン停止時に同時に冷却する ”dual-cooling procedure”と呼ぶ方法を導入して始動時に掛かる時間を2分10秒まで短縮してきた。ルフトハンザが受領した5号機(D-AINE)には、コクピットの頭上パネル(overhead panel)に”dual- cooling switch”が取付けられている。パイロットは必要と判断した場合にはこのスイッチで ”dual-cooling” ができる。
図4:(Lufthansa / Aviation Week) A320neo 5号機から取付けられたエンジン始動時に使う“DUAL COOLING”スイッチ。オーバーヘッド・パネルの”ENG”部分の「MAIN START」スイッッチの隣に付けられた。押すと青色で”ON”と表示される。
エアライン各社はこの回収キットを受取り、次回整備の機会に改修ができる。ルフトハンザ、インデイゴ、アスタナ(Astana)の各社では改修を始めている。改修はエアラインの条件で異なり、インデイゴのようにゲート到着から出発までの時間(turnaround time)が30分以下の会社では、エンジン始動時間を短縮したいので改修を急いでいる。この新スイッチはP&W付きA320neoの新造機では標準装備となっている。
現在ルフトハンザでのエンジン始動時間は平均で3分30秒、特に支障はないが、エアバスとP&Wは、燃料ノズルの改修と給油方法の改善でこれを2017年末までに2分30秒に短縮したいとしている。
図5:(Pratt & Whitney) PW1000Gエンジンでは、停止時の冷却不均一で“ローターが曲がる問題”があり、この解決のため改良が続いている。
ルフトハンザを含むA320neoユーザーは、エアバスに対し、アイドル・パワーが高過ぎると言っている。出発でブレーキを外すと機体は推力を増やさなくても動き出すので、タキシイ中の燃料節約のためアイドル推力を抑えたい、ということだ。しかしエンジン内部の冷却のために多少の推力が必要なので、A320ceoのレベルまでアイドルを落とすのは難しいとしている。
エアバスとP&Wは、エンジンの使用環境が、証明取得時の試験環境と異なることで生じる問題の対応に追われている。特にインドのエアライン、インデイゴ(IndiGo)とゴーエア(Go Air) で第2の問題として出ているのは、エンジンの早期取り下ろしだ。インデイゴの17機とゴーエアの5機から取り下ろされたPW1100Gは今年2月24日までに42台に達している。エアバスでは、ある種の警報(warning) が出たら10時間以内に検査を要求していたのを、3時間以内に改めたことも影響している。
A) ローターが曲がる問題
“ローターが曲がる問題”の影響で生じるNo. 3ベアリング・エアシールの漏れに関わる件で、28台の早期取下ろしの理由になっている。これはベアリング自体には問題はないが、シールからオイルが漏れこれに金属粉が混入し、金属検知センサー(chip-detector) が警報を出す、というトラブルだ。原因はカーボン・エアシールとシール・プレートが接触、摩耗することにより生じたもので、現在設計変更した試作品を試験中である。
P&Wでは、2016年出荷の160台目から新設計のベアリング・コンパートメントの取付けを始めた。同時に冷却不均一のためローターが曲がる問題(rotor-bow issue) の対策として、No. 3とNo. 4の両ベアリングにダンパーを取付ける改修も導入した。これらの改修はエンジン装着のまま実施できるようキット化を進めている。
エアバスは、自社のA320neoを使ってこれらの改修の効果を検証中で、試験は先ずツールースで行い、それから気候条件の厳しい(高温、多湿、高汚染)の環境下にあるインドとUAEのアルアイン(Al-Ain)で実施する予定だ。並行してP&Wも自社の747試験機の搭載、テストを計画している。
B) 燃焼室の焼損問題
もう一つの問題は、PW1100G-JMの燃焼室の部分的焼損で、13台の早期取下ろしの原因になっている。ボアスコープ検査で、一部のパネルの冷却孔が塞がるのが発見されたためで、原因は海岸に近い空港での塩害と推定されているが、定かではない。
燃焼室自体は、以前試験中にハウリング音が生じると云う問題があり、改良型燃料ノズルの採用と強化型燃焼室の導入が今年9月から行われる。
C) ファンブレード剥離問題
ファンブレードの剥離問題も起きている。アルミ合金ブレードと前縁部のチタンとの接合部が剥離し空気流を乱し、出口案内翼(OGV=outlet guide vane)と共振して、一部が脱落すると云う問題だ。これは1月21日にインデイゴのA320neoがムンバイ(Mumbai, India)を離陸する際に発生し、この時は離陸中断となった。ルフトハンザでも、ファンブレード先端部で剥離が見つかり、ブレードを交換している。
エアバスの担当責任者ローウエ(Roewe)氏は“まだ経験数が少ないのでなんとも言えないが、チタン合金と母材の接合不良が原因のようだ。検査を改善することで対処中だ”と語っている。
GTFエンジンの肝心な点、ファン駆動用減速ギヤシステム、が全く正常であることは評価して良い。
(注)ファン駆動ギヤボックスは、減速比3:1で、低圧タービン・コンプレッサー・ローターの回転数12,000-15,000 rpmを、4,000-5,000 rpmに落としてファンを駆動している。これで低圧ローターとファンを共に高い効率で運転することができる。ギヤボックスの伝達能力は3万馬力で、オイル交換以外の整備は不要である。
今後のスケジュール
P&Wは今年(2017)中に350-400台の “PW1100G-JM”エンジンを出荷する予定だ。2016年の生産台数は計画より50台少ない150台にとどまった。これはファンブレードの生産数が少なかったためだが、これが回復の軌道に乗りつつある。さらに、最近日本のIHIでの生産が始まり、加えてランシング(Lansing, Michigan)工場の新ブレード生産ラインが稼働し始めるので、2017年のエンジン生産台数は予定通りに行われる。
(注)PW1000Gのファンブレードは、一部を除きアルミ合金が主体で、摩耗対策として前縁にチタン合金を貼り合わせて作る。詳しくはTokyoExpress 2016-12-27 “PW1000Gギアード・ターボファン、遅れを取戻し生産が軌道に“を参照されたい。
A320neo系列機計画主席のローウエ氏は次のように話している;—『今年はP&W及びCFMエンジン付き合計で約200機のA320neoを顧客に引き渡す予定である。これは前年対比で3倍の機数になる。前年に生じたP&Wエンジンの問題点は全て年末までに解決し、完全な顧客サービスを通して必ずや顧客に満足して貰えるものと信じる。』
図6:(World Airline News) 我国ではANAが唯一のP&W付きA320neoオペレーターである。ANAは近距離国際線を含めて使うべく、A320neoを7機、A321neoを26機、合計33機発注している。
ローウエ氏は続けて「エアバスとP&WはGTFエンジンの初期問題の解決に努力中だが、一方GEとフランスのサフラン(Safran)の合弁会社CFMが作るLeap-1Aエンジンについては品質、生産全てについて全く問題がない。CFMはA320neoと並行してボーイング737 MAXプログラムにも参加中だが、極めてうまく対処している。とは云うもののP&W、CFM両エンジンとも従来の新エンジンの立上げ時には得られなかった水準で導入されているのは立派だ」と強調している。
CFMの専務アレン・ぺクソン(Allen Paxson)氏は「全体として極めて素晴らしく推移している。最初のCFM Leap-1Aエンジン付きA320neoは2016年8月にペガサス(Pegasus)航空で就航したが、初日に6回の飛行、次の日には11回の飛行を行った。これまでに9機が就航し、国際線も開始されたがずっと故障なしで推移している。」と語っている。
3月までのところ、トルコのLCCであるペガサスは、最大のLeap-1Aエンジンのオペレーターで1日1機当たり平均10回の飛行を行っている。第2位のLeap-1A使用者はエアアジア(AirAsia)で5機を使っている。
図7:(Airbus)インデイゴはPW1100Gエンジン付きA320neoを17機運行中だが、エンジン交換の多さに悩まされている。
ペガサス航空の財務担当役員サーハン・ウルガ(Serhan Ulga)氏は「運航は極めて順調、特に燃費は短距離路線でも15%節減目標を達成している、その後2.5時間の路線に投入しているが、節減は更に向上し18%に達すると見ている。」と言っている。
ペガサスはこれまでA320ceoを使っていた路線にA320neoを投入する予定だが、neoは離陸重量が大きいので、キルギスタンのビスケク(Bishkek, Kyrgyzstan)とカザフスタンのアルマテイ(Almaty, Kazakhstan)の2路線にも使う予定である。更に同社はneoの長距離性能を活かして、インド、パキスタン、アフリカのサハラ砂漠諸国への路線開設も検討している。PW1100G付きneo採用のチリのLATAM航空も、首都サンチャゴ(Santiago)から高地にあるコロンビアのボゴタ(Bogota, Colombia)への路線を開始した、これは従来のA320ceoでは航続距離不足で出来なかった路線である。
CFMのペクソン氏は燃費改善について「断片的な話でなく現ceoに比べ17-19%の改善ができそうだ」と語っている。
ペガサスのエンジン関連の定時出発率は99.7%に達し、ほぼ満足できる水準にあるが、細かい問題も散見される。これまでに30件の故障が見付かっているが、その半分はエア・バルブのソレノイドに関連したものである。すでに対策が決まり間も無く改善される。
図8:(Airbus) トルコのLCC、ペガサス航空はCFM Leap-1Aエンジン付きの最大のオペレーターである。75機を発注、9機を運航中である。
このようにCFM Leap-1Aエンジンの導入は極めてスムースに推移しているが、これからは需要に応える増産体制の整備が課題となる。Leap-1Bを装備するボーイング737MAXの分を合わせると2017年中に500台以上の生産が必要になる。そして2018年には1,100台、2019年には1,900台以上、そして2020年からは年産2,000台程度に平準化される見通しだ。これに加えて、2017年には同社が作るCFM56系列エンジンの増産も必要で、1,400台以上の製造が見込まれる。
CFMのペクソン氏は「増産体制の準備は数年前から投資を行なっており、我々はなすべきことを実行する自信を持っている」と話している。続けて「新エンジンには、(日本では“3Dプリンテイング”と呼ぶ) “アデテイブ・マニュファクチャリング(additive manufacturing)で作る燃料ノズル、日本カーボン社が開発したセラミック・マトリックス複合材(CMC=ceramic matrix composite)製のタービン部品、およびレジン・トランスファー・モールド(resin transfer mold)製法のファンブレードとケーシング、の新技術を適用、採算性を高めている。」
また「新技術の採用とともに、在来の標準的な部品の製造法である鋳造、鍛造、機械加工の改善も行っている。エンジンの部品は5,000種もあり、製法に改良の余地のあるものがまだ残っている。これらを丹念に解決し、増産に向け努力する。このような取り組みで、2016年にはCFM56を1,690台出荷できた。」と述べている。
図9:(Airbus) 今年3月1日現在のA320neoの運航会社と就航機数の一覧。
エアバスA320neoに搭載されているPW1100G-JMとCFM Leap-1Aの両エンジンには我国のメーカーが生産、開発に大きく関わっている。これについて簡単に触れておこう。
「航空機国際共同開発基金」の報告によると、PW1100G-JM開発に「日本航空機エンジン協会」がIAE V2500エンジンの場合と同じ23%のシェアで、「開発費分担、売上高配分、共同開発方式(RSP=Risk & Revenue Sheering Partner)」として参画している。PW1100G-JMでの担当部位は次の通り。
ファン:IHI担当、Alcoa開発の新アルミ合金ブレード素材にチタンを貼付した軽量、高効率の薄型ブレードの加工、仕上げ
ファンケース:IHI担当、炭素繊維複合材製の軽量ケースの製造
ファン・エクジット・ガイドベーン:川崎重工担当、複合材製
低圧コンプレッサー:川崎重工担当、高速回転する3段LPC(低圧コンプレッサー)なので、ブレード・デイスク一体型IBR (integrated bladed rotor) 構造
低圧ローター・シャフト:IHI担当、従来のLPタービンより高速回転に適合するシャフト
燃焼器:三菱重工担当、燃焼の安定性を重視したRQL (rich-burn quick-quench lean-burn)方式、内部の混合気状態を最適化し低NOX化と燃焼器長さを短くしている
CFM Leap-1Aでの日本企業の関与は高圧タービン関連部品の素材供給である。この耐熱素材は“セラミック・マトリックス・コンポジット”( CMC= ceramic matrix composites)と呼ばれ、セラミック・マトリックスにシリコン・カーバイド(SiC)などの耐火性繊維を混入した複合材で、低密度、高硬度、耐食性に優れる。我国の日本カーボン(株)が開発した“SiC”は ”ニカロン(Nicalon)”と呼ぶ直径20μの長尺繊維で ある。日本カーボンは、GE、サフラン、と共同で東京に「NGSアドバンスド・ファイバーズ(NGS Advanced Fibers)」社を設立、“ニカロン”の量産を開始している。CFMでは、ニカロンを使ってタービン・シュラウドに使うCMC素材を製造している。
—以上—
本稿作成の参考にした主な記事は次の通り。
Aviation Week Network Mar 24, 2017 “Airlines Praise Airbus A320neo Performance, but Engine Issues Remain” by Jens Flottau and Guy Norris
TokyoExpress 2016-05-10 “A320neoのエンジン問題と解決策。P&Wれダック社長語る“
TokyoExpress 2016-05-30 “P&W、エンジン大増産へ/エアバスに改良型エンジンを納入“
TokyoExpress 2016-12-27 “PW1000G ギアード・ターボファン、遅れを取り戻し、生産が軌道に“
「航空機国際共同開発基金」“A320neo型機用エンジンPW1100G-JMの開発について”
TokyoExpress 2014-04-09 “超合金に替わるセラミック・マトリックス複合材(CMC)”