中國海軍の情報収集艦が津軽海峡で領海侵犯


2017-07-03(平成29年) 松尾芳郎

 

防衛省統合幕僚監部の発表(29-07-02)によれば7月2日(日)午前10時40分、中國海軍ドンデイアオ(東調)級情報収集艦1隻が北海道松前町の小島南西の我国領海に侵入、航行するのを発見した。午後零時10分頃同艦は小島の南東で我国の領海から離れ、津軽海峡を東に進み、太平洋に出た。

中國海軍艦艇が日本の領海を侵犯したのは、2016年6月に鹿児島県口永良部島沖合で確認された以来のこと、今回は3回目となる。外務省は中国大使館に対し、関心がある、と申し入れるにとどめ、抗議などは行っていない。

2015年11月には同じ「東調」級情報収集艦が尖閣諸島付近の我が国領海を侵犯している。(詳しくはTokyouExpress 2015-11-26 “中國海軍とロシア海軍の艦艇、南西諸島海域で相次ぎ不審な行動”を参照されたい)

この情報収集艦を発見、追尾したのは海上自衛隊厚木基地第4航空群所属の新型哨戒機「P-1」と函館の第45掃海隊所属の掃海艇「いずしま」である。

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図1:(統合幕僚監部)厚木基地所属の新型哨戒機「P-1」が撮影した中國海軍の情報収集艦「ドンデイアオ(東調)」級6隻のうちの3号艦「天狼星」艦番号854。2015年に就役したばかりの新鋭艦。同系艦6隻は逐次改良されているが、いずれも上海付近の軍港を拠点に、日本近海、東シナ海、南シナ海で活動している。満載排水量は6,600 ton程度、全長130 m、最大速力20 kt、艦橋前に小型レドーム、中央に大、中、2個のパラボラアンテナ、がある。各種電波情報の収集と衛星やミサイルの追跡が主要な任務とされる。兵装は37 mm連装機関砲1基。中国が開発中の弾道ミサイル試験などに使われる。ヘリ1機を搭載できる。

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図2:(統合幕僚監部)情報収集艦「ドンデイアオ(東調)」級6隻中の3号艦「天狼星」艦番号854。海自掃海艇「いずしま」が撮影した写真。

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図3:(統合幕僚監部)情報収集艦「ドンデイアオ(東調)」級の3号艦「天狼星」艦番号854の航跡。

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図4:(海上自衛隊)情報収集艦「ドンデイアオ(東調)」級の3号艦「天狼星」艦番号854を発見、追尾した哨戒機「P-1」。「P-3C」哨戒機の後継として配備が進んでいる。機体は川崎重工、エンジンはIHI製のF7-IHI-10ターボファン推力13,500 lbs (6,120 kg)を4基。レーダーを含むアビオニクス機器はほとんどが国産。戦術データ・リンク関連装置にはリンク16に対応する輸入品を使っている。最大離陸重量80 ton、巡航速度833 km/hr、航続距離8,000 km、兵装は対艦ミサイル、短魚雷、対戦爆弾等9 ton以上を搭載できる。これまでに33機が確定発注済み、うち引渡しは半分程度。

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図5:(海上自衛隊)同じく情報収集艦「ドンデイアオ(東調)」級の3号艦「天狼星」艦番号854を発見、追尾した掃海艇「いずしま」(MSC-687)は、「すがしま」(MSC=Mine Sweeper Coastal 681)級12隻の7番艇として2003年に就役した。写真は「すがしま」。「いずしま」は、大湊地方隊の下函館基地隊所属の第45掃海隊に配属されている。「すがしま」級は満載排水量590 ton、速力14 kt、船体は木製で非磁性になっており、イギリス海軍のサンダウン級機雷掃海艇をモデルにして1996年から作られた。従って対機雷戦用情報処理システム、機雷探知機ソナー、機雷処分具等にはイギリス、フランス製が使われている。兵装は20 mm機関砲1門。

 

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