中国軍機、連続4回も石垣、宮古南岸をかすめ宮古海峡を通過、東支那海へ


2017-08-13(平成29年) 松尾芳郎

2017-08-15 改定

 

防衛省統合幕僚監部の発表(29-08-12、同-13、同14)によれば、沖縄県南西諸島近辺で中国軍機の活動が平成29年8月9日から異常に活発化している。すなわち;—

 

8月9日(水)

Y-8 電子戦機1機が宮古、石垣島南東に沿う形で太平洋上から宮古海峡に入り、西に変針し東支那海に向け飛行。(TokyoExpress 2017-08-12 “中国軍機、Y-8電子戦機が沖縄本島・宮古島間を通過“を参照)

8月12日(土)

H-6爆撃機2機とY-8電子戦機1機が、8月9日と同じ航路を飛行。

8月13日(日)

Y-8電子戦機2機が8月9日と同じ航路を飛行。

8月14日(月)

Y-8電子戦機1機が8月9日と同じ航路を飛行。本機は機体番号[30018]出たの3回とは異なるが、機種は他の3日間と同じ改良型の「高新3号」Y-8Gと思われる。

9日、12日、13日の3日間に飛来したY-8電子戦機には、いずれも「高新3号」Y-8G型の機体番号[30515]機が含まれている。

これに対し、航空自衛隊は沖縄基地第9航空団所属の戦闘機をその都度緊急発進させ、中国機に接近、写真撮影をするとともに領空侵犯を防いだ。以下に4日間に来襲した中国機として、空自機が12日に撮影した写真と航跡図を示す。

 

3日間の中国機の動向について、我国マスコミは一部が小さく報じたのみで、他は無視したまま。中国軍の活動は脅威と思っていないのか、ユニクロの中国支店数が日本のそれを抜いた、動物園のパンダがすくすく成長、などの記事で、両国間の緊張緩和へ世論誘導を試みている。

安全保障関連では、目下北朝鮮の弾道ミサイル (ICBM) 問題で持ちきりだ。これは、防衛省の言うように日本海に展開する海自イージス艦のSM-3と予想通過地点への空自PAC-3の両ミサイルの配備でなんとか対処できる。しかし中国のH-6爆撃機が搭載する巡航ミサイルは6基(射程2,000 km)、仮に今年1月9日のように6機が飛来、我国へ攻撃を仕掛けた場合、合計36発の巡航ミサイルが一斉に飛来する。しかしSM-3やPAC-3ではほぼ対処不可能。そこで頼りになるのは、新開発の低層域防空ミサイル、陸自「03式中距離誘導弾(改)」、略称「中SAM改」(詳しくはTokyoExpress 2016-10-07 “03式中距離地対空誘導弾(改)、配備がスタート”を参照)である。しかし「中SAM改」の配備は今年(H29年度)始まったばかり、それも1個中隊だけ。1個中隊は「中SAM 改」6基搭載のランチャー4両で編成、4個中隊で1個高射群を構成する。8個高射群に装備する予定だが、今のペースでは完了までに30年以上かかる。

 

08-12 H-6爆撃機

図1:(統合幕僚監部)8月12日撮影。H-6爆撃機 は1969年から配備が始まり派生型を含み現在120機ほどを運用中。原型はロシアのツポレフTu-16で、西安航空機で国産化。当初は核爆弾(20 kt級)用だったが、弾道ミサイル(ICBM)の実用化で効用が薄れ、現在は長距離巡航ミサイルDF-10Aの空中発射型KD-20を6基搭載にして使用中。乗員3名、全長35m、翼幅34.4m、最大離陸重量76ton、エンジンはロシア製D30KP-2を国産化したWS-18 を2基装備する。巡航速度790km/hr、戦闘行動半径3,500 km、兵装搭載量は9トン。コクピットを含む電子装備もTu-16から大幅に改良、性能を一新している。2011年以降最初の部隊が第8航空師団に配備されてから順次増強され、しばしば西太平洋に進出し、日本、グアムを目標にした長距離巡航ミサイルの攻撃訓練を行っている。2016-9-26と同11-25、及び2017-07-16に宮古海峡を通過している。H-6が搭載する巡航ミサイルは射程2,000 km、米国のトマホークに匹敵するもので、我国領空に接近せずに公海上どこからでも目標を攻撃できる。

08-12 Y-8電子戦機

図2:(統合幕僚監部)8月12日撮影、Y-8 電子戦機。詳しくはTokyoExpress 2017-08-12 “中国軍機、Y-8電子戦機が沖縄本島・宮古島間を通過“を参照されたい。

o8-12中国機航跡

図3:(統合幕僚監部)3日間の中国期航跡は全く同じであった。

 

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