米空軍、空自向け無人偵察機「RQ-4グローバル・ホーク」製造に必要な部品等を発注


2017-10-14(平成29年) 松尾芳郎

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図1:(US Air Force) 「RQ-4グローバル・ホーク」、ブロック30は2011年から、ブロック40は2015年から配備中。現在米空軍で36機を使用中。航空自衛隊では三沢基地に平成31年度末から3機配備を予定している。

 

米空軍は、このほどノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)社に対し、日本向けのグローバル・ホーク製作に必要な部品のうち、1億3,000万ドル分を発注した。発注した部品は、航空自衛隊が購入予定の「RQ-4 グローバル・ホーク(Global Hawk) 30 (I) 」3機分に関わるもので、製造に必要な長時間を要する部品、地上操縦装置2基分、性能向上型センサー類、予備部品、及び地上支援設備、等が含まれている。

ノースロップ・グラマン社は、直ちにサンデイゴ(San Diego, California)工場で製作に着手、2018年7月27日までに完成させる。

我国は、米国政府に対し外国への武器輸出を管理するFMS (foreign military sale)システムを通じ、2015年11月に3機のグローバル・ホーク無人機を含む関連部品、設備等を取得すべく申し入れ済みである。

平成29年度防衛予算概算要求では1機の購入費173億円及び関連経費22億円が計上されている。さらに以前の平成27、28年度予算で3機分の機体構成品と地上装置等の取得予算を計上済みである。

米空軍は、今年(2017) 5月から10月に掛けてグアムのアンダーセン空軍基地(Andersen AFB)から東京近郊の横田基地に5機のグローバル・ホークを105名の要員と共に順次展開、訓練飛行を開始している。移駐の理由はグアム等周辺の夏季の高温や台風により生じるミッションの変更を避けるための措置と云う。これら日米両軍の動きは、いずれも北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射や核弾頭爆発実験で、緊張が高まっている情勢に対処したものと見られる。

RQ-4 グローバル・ホークは、1万メートル以上の高空を30時間以上の長時間を飛び続け、一回の飛行で昼夜を問わず10万平方kmの空域を飛行できる無人偵察機。そして情報収集、監視、偵察、(ISR=intelligence, surveillance and reconnaissance)の機能を備えている。この広範なISR収集機能で、戦時平時を問わず戦闘部隊に必要な情報を提供できる。また、映像情報(IMINT= imagery intelligence)機能、信号情報(SIGINT=signals intelligence)機能、及び移動目標追跡センサー(MTI=moving target indicator)などの情報を、同時に近い形(near-real-time)で友軍に提供できる。

「グローバル・ホーク」システムは、RQ-4無人機と地上設備で構成されている。すなわち、RQ-4無人機に各種センサー類と通信装備を搭載し、それに地上設備としてパイロットに相当する「発進・回収部分(LRE=Launch and Recovery Element)」と指揮、命令を司るミッション・コントロール部分「(MCE=Mission Control Element)」がある。

RQ-4無人機の映像情報蒐集機能(IMINT=imagery intelligence)は、搭載する合成開口レーダー (SAR=synthetic aperture radar)と電子・光学&赤外線センサー (EO/IR =electro-optical/infrared) の情報を統合して得ている。さらに広帯域の信号情報 (SIGINT=signal intelligence)センサーからの情報を加え、複数情報蒐集機能(multi-INT)を持たせている。

最新型のRQ-4B Block 40では、SARがAESA型レーダーに変わり移動目標表示(GMTI) 機能が向上している。

RQ-4無人機の搭載するSAR及びEO/IRセンサー類と、地上部分のLRE及びMCEは、いずれもレイセオン(Raytheon)社が開発、生産を担当している。

エンジンはロールスロイス AE3007H(米空軍仕様F137-RR-100)ターボファン推力7,600 lbs (3,500 kg)を装備する。またペイロード約1,400 kgを搭載できる。胴体はアルミ合金製だが、主翼とV字型尾翼は複合材製。

グローバルホーク

図2:(US Air Force) RQ-4グローバル・ホークBlock 30及び40の概要。翼幅はボーイング737型旅客機とほぼ同じ。

 

RQ-4 グローバル・ホークの概要は;—

製造会社:ノースロップ・グラマン、レイセオン、L3コミュニケーションズ、

翼幅  :39.8 m

全長  :14.5 m

高さ  ;4.7 m

重量  :6.8 ton

最大離陸重量:14.6 fton

速度  :310 kt

航続距離:12,300 nm

滞空時間:34時間以上

上昇限度:18,000 m (6万フィート)

操縦要員:3名(LREパイロット、MCEパイロット、センサー・オペレータ)

 

終わりに

RQ-4グローバル・ホーク無人偵察機3機の導入について、当初総額510億円と見積もっていたのが630億円に膨らむことになったのを受けて、最近マスコミの一部や共産党などが導入見直しを求めている。理由として価格高騰以外に、取得した情報を同時ではなく、「同時に近い形」でしか友軍に送信できない、搭載レーダーが最新のAESA方式でない、などを挙げている。

しかし平成29年度防衛予算概算要求にあるように「グローバル・ホーク導入は各種事態に対処するための情報機能の強化の一環」であり、P-3C哨戒機、SH-60K哨戒ヘリ、E-767早期警戒管制機、などの改良、機齢延長などの諸項目を補完する一つである。蛇足になるがこの導入は先の民主党政権時代に立案され、それを第二次安倍内閣が継承、前倒し整備中の項目であることを思い起こすべきだ。

 

—以上—

 

本稿作成の参考にした主な記事は次の通り。

Defense Industry Daily Oct 10, 2017 “Global Hawk contract awarded for Japan”

Jan’s 360 10 April 2017 “US Air Force to deploy 5 Global Hawk UAV to Japan” by Gabriel Domingues

A blog about United States Air Force “United States Air Force” November 15, 2014 “RQ-4 Global Hawk”

防衛省報道資料お知らせ平成28年12月21日“滞空型無人機(グローバルホーク)の三沢基地配備(平成31年度以降)について”

防衛省東北防衛局“グローバル・ホークに関する一問一答”

US Air Force “RQ-4 Global Hawk”

Military.com “RQ-4 Global Hawk”