「出て殖やし 入っては貯める 小沢流」・ 銭ゲバ 小沢一郎の高笑いが聞こえそうだ・


2019-05-08(令和元年) 元 文部科学大臣秘書官  鳥居徹夫

 国民民主党は4月26日未明の両院議員総会で、自由党との合流を了承し、国民民主党の玉木雄一郎と自由党の小沢一郎代表は合意文書に署名した。
 合流後の党名は、国民民主党で代表は引き続き玉木雄一郎が務めることとし、基本理念、政策、規約なども、すべて国民民主党のものを踏襲することとし、自由党は解党した。
 自由党の衆参6人が加わった国民民主党は、5月8日時点で衆院40人、参院24人となる。

  •  「お山の大将」であり続けたい玉木雄一郎 

 
 玉木雄一郎は、党内の求心力もなく国民へのアピール力も魅力もない。国民民主党は、支持率は1%程度に低迷しており、現職議員の離党が止らない。そこで小沢自由党と合流し、党運営を小沢一郎の腕力でもって支えてもらうことによって、「お山の大将」であり続けたいのであろう。
 そもそも小沢一郎は、政局ありきで、政党の生命である政策には興味がないし、玉木雄一郎も基本政策の軸足すらフラフラしている。
 玉木雄一郎は昨年8月末に、自身のツイッターで「高齢者就労に、最低賃金以下でも働けるような労働法制の特例も必要」と発信した。
 年金という別収入のある高齢者を低賃金で働かせることは、年金保険料を取られる若者の賃金を抑えることにつながり、全体としてワーキングプアの増大となり、労働者全体の不利益となる。
 ちなみに最低賃金以下で働かせることは法律違反で50万円以下の罰金である。このことすら理解できない玉木雄一郎は軽薄である。
 また小沢一郎は、民主党代表の時、突如として福田康夫首相(当時)と大連立構想を打ち出し、党内の反発で引っ込めたことがあった。
 この自民・民主両党の大連立構想は、党内議論すらなく、明らかに民主党のマニフェスト違反であった。しかも党大会で決定した運動方針(政権交代を目指す)に反するものであったが、小沢一郎は統制違反で懲罰を受けることはなかった。
 

  • 共産系無所属に「必勝の檄」を届けた玉木雄一郎の無節操 

 
 玉木雄一郎は「弱り目にたたり目」で、自分に魅力も指導力もないことへの焦りが強いのではないか。
 小沢一郎グループがなだれ込んだ国民民主党は、共産党と一線を画すことについても後退している。小沢一郎は、共産党と友好的で野党統一の同志扱いで、4月21日投票の衆議院大阪12区補欠選挙では自由党と共産党が、共産党前議員の宮本岳志を推薦した。当然のこととして国民民主党は推薦しなかった。
 ところが玉木雄一郎は、何と「必勝の檄」を宮本岳志陣営に届けた。共産党公認でなく無所属の扱いであったということなのだろうか。共産党とのハードルが低くなっており、あまりにも無節操ではないか。 
 国民民主党には、民主党~民進党の流れから蓄えた100億円とも言われる党資金がある。
 さらに今年2019年に国庫から支払われる政党交付金は、国民民主党が54億0600万円、自由党が2億7500万円である、国民民主党の財布は、小沢グループにとっても魅力的と言える。
 昨年5月の国民民主党の結成時に、小沢一郎の意図を受けたスリーパセルをもぐりこませていた。小沢直系には、小宮山泰子や牧義夫、そして国民民主の会派には佐藤公治などがいる。
 求心力のない玉木雄一郎は、貧すれば鈍するで、小沢一郎の誘いに飛びついた。
 小沢一派の工作員らは、まずは自由党との合流の前段として国会では同一会派を組み、国民民主党と自由党が合流した新党結成への流れとなった。小沢の毒牙が着々と浸透している。
 次なるステップは、国民民主党と共産党との院内同一会派ではないか。
 

  • 離党者が続出し参院選で惨敗すれば、党資金は残りの議員数の計算 

 
 小沢一郎は、両党が合流した4月26日の記者会見で「私は大した能力がありませんので、玉木代表のもとで命じられたことを一生懸命やりたい」と述べたという。この小沢発言は16年前2003年の「民主・自由合併」を想い出させる。菅直人が代表であった民主党は、小沢一郎が率いる(旧)自由党と合併した。その時も党名は民主党のままで自由党を吸収する形だった。そして小沢一郎は自ら「一兵卒」宣言し、無役として民主党に加わった。 
 ところが、合併ののち菅直人は自らの国民年金未納問題で代表を辞任。その後の岡田克也は、小泉郵政解散で大敗、そして前原誠司はニセメール事件で失脚したことから、小沢待望論が巻き起こり、3年後の2006年に民主党の代表となった。
 それ以前にも、小沢一郎は、自ら作った新生党が新進党に合流した際、また(旧)自由党と民主党が合流した際も、解散時の党財政を小沢一郎自らの政治団体(陸山会)に寄付(横流し)するという錬金術で、党資金を自分たちのグループだけで私物化を図ってきた。今回も、解散した自由党の党資金の行方は、現時点ではわからない。 
 玉木雄一郎は、夏の参議院選挙に向け総合選挙対策本部長の就任を小沢一郎に要請するとの見方もあるが、小沢一郎は拒否するであろう。夏の参議院選挙で惨敗し、離党者が相次いで玉木雄一郎が失脚した時に、その時の幹事長や総合選挙対策本部長も責任を取らされる。
 つまり小沢氏の狙いは、夏の参議院選挙で惨敗し、離党者が相次いで玉木が失脚した時にある。そして「やはり小沢一郎」という小沢待望論を仕掛け、党の代表となり人事とカネの実権を握るためであろう。
 そして解党(または分党)を突如として宣言し、党資金を小沢グループと旧国民民主に所属議員数の比率でもって山分けすることを狙っているからではないか。
 つまり離党者を多く出し、参議院選挙で惨敗した方が、残った議員数が少なくなり、議員一人当たりの党資金の分け前が多くなる。かつて新進党が解党した時は、党の資金はその直後に解党・分党した政党の所属議員数によって分配された。
 政党助成法ができて以降、政党の解散により残金を国庫に返還したのは、渡辺善美の「みんなの党」だけである。
「魚を釣るにはエサが必要だが、釣り上げた魚に餌を与える必要はない」これはまさしく、小沢一郎の銭ゲバぶりを象徴している。(敬称略)