2019-06-23(令和元年) 元・文部科学大臣秘書官 鳥居徹夫
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国会議事録が一年以上も
公表されないという異常な国会
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第198回通常国会は、「老後生活は年金だけでは2000万円不足」とレポートした金融庁の審議会報告をめぐる政局があったものの、大きな波乱もなく6月26日に閉会し、焦点は7月の参議院選挙となる。令和の御代に入って、はじめての国政選挙である。
国会は、一見穏やかにみえるが、国会議事録が一年以上も公表されないという異常事態が、こともあろうに日本で起きていた。これは明らかに反民主的な言論封殺であるにもかかわらず、どのマスコミも取り上げていない。
それは昨年2018年3月9日の杉田水脈(みお)議員の国会質疑である。
衆議院の内閣委員会の国会質疑が、NGOのヒューマンライツ・ナウによる抗議と国会議事録の削除要求、そしてそれに迎合する立憲民主党など野党により、国会議事録が何と一年以上も公表されなかったのである。
慰安婦は性奴隷であり慰安婦は強制連行されたという主張を、日本の国内のみならず、国連や海外でも宣伝をするヒューマンライツ・ナウなどNGOや、迎合する立憲民主党にとって、杉田水脈議員の質疑が「不都合な真実」であったからである。
もちろん政府としては、正しい事実を対外広報として発信することは当然のことである。
そのNGOのヒューマンライツ・ナウ(HRN)が、国会議事録の削除を求めるという前代未聞の要求を国会に突き付けたのである。
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朝日新聞も記事訂正などで、
「従軍慰安婦、性奴隷」は否定
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杉田水脈議員は、昨年2018年3月9日の衆議院内閣委員会で、次のような指摘を行った
〇 国連の権威を悪用したウソの拡散と、日本の名誉棄損や、日本人へのヘイトスピーチを海外で拡散する組織が存在する。所管する内閣府を問いただすことは国民の代表として当然。
〇「慰安婦というのが性奴隷であった」と、すごく熱心に国連などを通じて世界に捏造をばらまくことをやっている団体が、ヒューマンライツ・ナウという団体
〇 韓国が「日本軍が朝鮮人に残虐な行為をしている」との事実と異なるテロップをつけて放送し、欧米の主要紙に掲載された。
これは中国人兵士が、亡くなった日本人兵士に対して略奪行為を行っている映像でありニセモノであった。政府は毅然とした対応をすべき。
〇 いわゆる「従軍慰安婦問題」に関しては、「朝日新聞の記事訂正」などによって明らかにされ、ヒューマンライツ・ナウが主張する「従軍慰安婦、性奴隷」などは否定されている。
〇 民間団体やNGOが行う海外への発信や諸活動によって、「昔日本は慰安婦という性奴隷を持っていたんだと言われてもおかしくない」という、事実に反するウソを拡散させるもことがあってはならない。
〇 海外広報で外務省は、海外でバラまかれている「従軍慰安婦、性奴隷」などが捏造であることを、英語で世界に発信すべきである。
〇 AV(アダルトビデオ)出演強要や、「JK(女子高生)ビジネス」等に関して、被害防止月間を設けることは、慰安婦問題に関連して発信されており、この政府広報は問題がある。
〇 同様に政府広報においても「防止月間がある」ということが「日本は慰安婦という性奴隷を持っていた」と歪められてはならない。
ましてや「JKビジネスとかAVの出演強要」が、広範に行われているかのような錯覚を国際社会に与えてはならないことは明らかである。
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国会議事録の公表を一年以上も妨害した
NGOと立憲などの野党
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この杉田水脈議員の質疑の1年後、今年2019年4月17日に質疑に立った立憲民主党所属の大河原雅子議員は、杉田議員の個人名を挙げて「一民間団体を名指し・・・」「それが議事録に残れば、民間団体の信用に多大な影響を及ぼすことになり、その不利益は重大」と、国会議事録の削除が当然であるかのような発言を行った。
つまり、慰安婦など史実に基づかないウソを国連や海外に拡散しているヒューマンライツ・ナウのデマゴーグに対し、日本政府や国会議員が史実に基づいた見解を示すことが、「民間団体の不利益は重大」と強弁していたのであった。
これは日本を貶める活動に対し、「日本の名誉にかかわる、事実に基づく主張する議員の発信を封殺せよ」と言っているのと同様である。
杉田水脈議員が質疑を行った昨年2018年3月9日は、立憲民主党などの野党が審議拒否していた。つまり立憲民主党の議員は、その場にいなかった。
しかも一年以上も経過した今年2019年4月7日の時点では、国会議事録も立憲民主党の抵抗もあり、公表されていなかった。
この杉田水脈議員への個人攻撃の質疑の議事録は、すぐに公表されたが、杉田水脈議員の議事録は一年以上も公表されず、立憲民主党の議員の議事録とほぼ同時期に公表された。
したがって立憲民主党の議員による4月7日の国会質疑は、事実誤認や勘違いもみられるなど無理解そのものであった。
この日は、審議拒否により立憲民主党の議員は国会審議を欠席しており、議事録もない段階で先入観や憶測で、杉田議員が言っていないことを言ったかのように強弁していたのであった。
その立憲民主党の議員の質疑は、あたかもヒューマンライツ・ナウの抗議文をもとに組み立てているようにも見えた。
そもそもNGOとして国から認可認定を受けた団体の行為について議論するのは、国会の役割である。
ましてやヒューマンライツ・ナウなどNGOが、虚偽のデマゴーグを国連や海外の拡散されていることに対し、外務省に正しい海外広報の充実を求めることは、日本の国会議員として当然の責務である。
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事実誤認によるレッテル張りの
ヒューマンライツ・ナウと立憲民主党議員
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この約1月半後の2019年5月29日の内閣委員会では、杉田水脈議員が質疑に立ち、立憲民主党の議員による卑劣な個人攻撃に敢然と反論した。
杉田水脈議員は、何ら根拠に基づかずレッテル張りを行ったのではなく「根拠がありまして質問をしております」と述べ、ヒューマンライツ・ナウや立憲民主党議員の誹謗中傷に対し、個別かつ具体的に反論を行った。
とくにヒューマンライツ・ナウやWAM(アクティブ・ミュージアム女たちの戦争と平和資料館)のデマゴーグに対し、「慰安婦は性奴隷ではない、強制連行もないという日本政府の公式見解は、何の証拠にも基づかないどころか、調査せずとも公表されている事実」として、反論した。
杉田水脈議員は「プロパガンダとは、特定の主義思想に対する宣伝を指す用語であり、批判的な単語でも差別的な単語でもない」「日本政府の見解に反し、慰安婦は性奴隷であった慰安婦は強制連行されたという主張を日本の国内のみならず、海外でも宣伝をする一部NGOらの行為をプロパガンダである、と表現することは私(杉田)の自由」と述べ、言論封殺を図るヒューマンライツ・ナウや立憲民主党の姿勢を批判した。
さらに杉田水脈議員は「レッテルを行ったというご指摘を頂きましたが、言ってもいないのに言論封殺を行ったとのレッテルを張られ、そのレッテルにより国連までも利用して憲法上保障されている国会議員としての言論の封殺を試みられたのは私(杉田)の方」と反撃した。
杉田水脈議員は5月9日の質疑で、改めて「NGOの国際的な発言のありかたをコントロールするような要請はしていない」と事実関係を明らかにするとともに、 NGOらの発信を「弾圧したことも、沈黙させようとしたこともない」と述べた。
また立憲民主党の議員は、杉田議員に対し「国会の場を使ってのプロパガンダは許されない」と攻撃したが、杉田議員に対し卑劣な個人攻撃を国会の場で展開したのが、その立憲民主党の議員であった。
さらに「慰安婦は性奴隷ではない、強制連行もないという日本政府の公式見解を宣伝する私(杉田水脈)の行為を、プロパガンダだと表現していただいても大いに結構」「NGOらの表現の自由は、当然のこととして保障はされている」と強調した。
この立憲民主党の議員は、今年2019年4月7日の質疑で、杉田議員が国会で「NGOの国際的な発言のありかたをコントロールするよう要請した」と攻撃したが、4月末になって公表された議事録には、そのような発言はなかった。(ヒューマンライツ・ナウの抗議分には「発言していた」と記載されていた)
先に述べたように、立憲民主党が審議拒否した昨年2018年3月9日の内閣委員会での杉田水脈議員の質疑は、ヒューマンライツ・ナウや立憲民主党の反民主的な国会対応で、国会議事録の公表を一年以上も妨害していたのである。
杉田水脈議員は「あくまで日本政府の見解や事実とは異なる情報が国際的に宣伝されていることに対し、政府は政府見解と事実を正しく広報するべきだ」と国会で述べていたのである。
ちなみに外務省設置法には、その任務として「国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図ること」(第3条)、そして「日本国民の海外における法律上又は経済上の利益その他の利益の保護及び増進」(第4条8)が明記され、日本国の名誉を守り日本人に対するヘイトに対しても効果的な広報活動がされなくてはならないのである。
このように杉田水脈議員は「レッテルも貼っていないし、誹謗中傷も行っていない、攻撃を行っているわけでもない」のである。
杉田水脈議員は、「国会の場で事実を列挙されることや、議事録が公開されることに何か不都合でもあるのでしょうか」と、NGOや立憲民主党らの言論封殺に対し、真っ向から立ち向かっている。
つまり「事実誤認によるレッテル張りをしている」のは、ヒューマンライツ・ナウや立憲民主党であった。
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国会議員への言論封殺は、
まさしくファッショ的暴挙
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立憲民主党の議員は、昨年2018年3月9日の杉田議員の質疑に対し、①NPO法人ヒューマンライツ・ナウから議事録の削除を求める抗議があった、②国会議員の免責特権を悪用したもので「到底許されるものではない」、と非難した。
これに対し杉田水脈議員は「国内外における事実ではないプロパガンダによって、過去と未来の日本国と日本人の名誉と人権が貶められることは国益を損ねること以外の何者でもないと深く憂慮しており、事実に基づいた正しい認識を普及していくことは日本の国会議員として当然の責務」と指摘した。
一部のNGOなどは、やたらと国連の権威を悪用し、自ら国連や海外に発信している事案について、国会で質疑を行うことすらも「人権分野における国連決議に反している」と強弁するが、これらは国連の名を使ったデマゴーグであり、タチの悪い言論封殺である。
この国連決議は、加盟国に「脅し、報復措置を予防し、かつ行わないことを求めている」のであって、国会議員の質疑を封殺することなどは論外である。
ましてや国連決議は、表現の自由、言論の自由、反論の自由を否定するものではない。
ヒューマンライツ・ナウにとどまらず、立憲民主党の一部議員はツイッターなどでウソを海外に拡散している。
さらには「真実の種」をまこうとしている人たちや国会議員に対し、差別主義者、レイシスト、極右、歴史修正主義、ヘイトなどの悪罵を浴びせるヒューマンライツ・ナウや立憲民主党の議員の言動こそ、国連の人権決議の精神に反することである。
民間のまっとうなNGOの側も、国連に訴えている。
ところがヒューマンライツ・ナウなどNGOは国会議事録の削除を求め、立憲民主党の議員は、それに追随している。
国連や海外に「sex slave(性奴隷)はウソ」と真実を訴えている国民や民間のまっとうなNGOは、「ウソをただし本当のことを海外や国連に発信」している。
ヒューマンライツ・ナウなどのNGOや立憲民主党の議員による「脅し」や「報復措置」があってはならないのである。
国連の人権委員会こそ、これらNGOや立憲民主党の議員の言論封殺に対する是正措置を、日本政府に勧告すべきではないか。
いわゆる慰安婦について政府は、従来から一貫して「政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」と答弁しており、それは閣議決定もされている。
NGOなど一定の公的要素を持つ団体の行為を取り上げた昨年3月の国会議事録の削除を要求し、一年後の今年4月の内閣委員会で「(杉田議員の国会質疑を)到底許されないと非難」するヒューマンライツ・ナウと立憲民主党は、自分たちにとって不都合な言論活動を封殺することが当然と思っているのではないだろうか。
一部のNGOや立憲民主党は、「自分たちに反論するな」とか「都合の悪い質疑をするな」とか「国会で自由な議論をするな」と言っているのと同じで、まさしく批判拒否的全体主義的体質そのものではないか。
つまり議事録の削除を求めることこそ、国会議員の自由な言論に対する言論の封殺でありファッショ的暴挙なのである。
杉田水脈議員は2019年5月29日の質疑で、次のように指摘した。
「国会において民間団体を名指しして質疑を行ったことが(立憲民主党の議員が)到底許されない行為だと言いましたが、立憲民主党をはじめ、野党の先生方も特定の学園などを名指しして何度も質問を行っておりました。これも到底許されない行為なのでしょうか」
「国会において認可認定を受けるなど一定の公的要素を持つ団体の行為を議論することが議事録の削除を求められ、質疑の一年後に、到底許されないと非難される対象になるのであれば、国会において自由な議論をすることはできなくなる」
ちなみに5月29日の杉田水脈議員の正鵠をついた国会質疑に対して、ヒューマンライツ・ナウからは、(6月24日現在)抗議文どころか見解すら出されていない。
ー以上ー