2020-01-12 (令和2年) 松尾芳郎
エビエーション・ウイーク誌の“グラハム・ワーウイック (Graham Warwick)”氏が同誌AsiaDigest上で選んだ2019年における民間航空業界の話題を紹介しよう。エアバスA220の米国内線就航から737MAXの飛行停止、そしてエアバスA380の生産終了など12件。
“ワーウイック”氏はエビエーション・ウイークで、航空宇宙、防衛に関わる重要記事を統括する立場にあり自らも作成し、関係する技術・学術に精通し、主筆とも言うべき存在である。
(Aviation Week’s Graham Warwick has selected the main events in commercial aviation in 2019, from the Airbus A220’s U.S. debut to the Boeing 737 MAX grounding and the end of the Airbus A380. Graham leads the Aviation Week covering the all fields of aviation, aerospace and defense, with unparalleled engineering and technological knowledges. )
- デルタ航空(Delta Airlines)、A220の就航を開始
デルタ航空は、米国内線で初めてエアバス製狭胴型機A220を就航させた(2019年2月)。デルタはA220-100/45機プラスA220-300/50機の合計95機を発注済みで、同型機の最大のカストマーである。A220は8月からはアラバマ州モーバイル(Mobile, Alabama)工場でも製造が始まり、2020年後半から出荷される予定。デルタは2018年10月にA220-100初号機を受領、2019年2月7日からニューヨーク・ラガーデイア(New York-LaGuardia)―ダラス-フォートワース(Dallas-Fort Worth, Texas)線の就航を始めた。
図1:(Airbus) 写真は2018年10月に行われたデルタ航空向けA220-100初号機の引渡式。A220はカナダのボンバルデイアが開発したC Series機をエアバスが取得・製造中で2016年末からエア・バルチック(Air Baltic)で就航を開始した。2019年8月からは米国モーバイル工場でも生産を始めた。系列機には-100と-300があり、それぞれ客室は2クラス標準で100-120席および120-150席、最大離陸重量は63 tonおよび70 ton、全長は35 mおよび38.7 m、翼幅は両者とも同じ35.1 m。受注はA220-100が80機、A220-300が498機、合計578機、引渡し済みははそれぞれ37機と63機となっている。
- エアバス(Airbus)A380の生産終了を決定
エアバスは2月に2階建大型旅客機A380の生産を打ち切ると発表した。これは中東ドバイのエミレーツ(Emirates)航空が確定発注済み中の残り53機のうち14機のみを受け取り、他をキャンセルと決定したことを受けて採られた措置である。これでエアバスは生産を続けるのに十分な受注残を確保できなくなり、2021年末に251機を生産して終了する。
図2:(Airbus) A380は世界最大の旅客機で、ボーイング747が独占していた大型機市場にエアバスが参入すべく2000年末に開発をスタートした。2006年秋にFAA、EASAから証明を取得、同年末からシンガポール航空で就航を開始。広胴型機で総2階建、客室は標準3クラスで525席、最大で853席にもできる。エンジンはGE・P&W合弁のEngine Alliance GP7200またはロールス・ロイス製トレント900を4基装備する。エミレーツ航空が最大の顧客で123機を確定発注、うち113機を受領済み。A380は、全長は72.7 m、翼幅は79.8 m、最大離陸重量は676 ton、航続距離は14,800 km。我が国ではANAは3機を発注、2019年3月から東京―ホノルル線に就航している。
- ボーイング(Boeing)、新広胴型機777Xをロールアウト
ボーイングでは3月13日に新しい777-9型機をロールアウトした。通常行われる華々しい式典はなく、社内関係者が参列してひっそりと行われた。6月に検出されたGE製GE9Xエンジンのコンプレッサーの耐久性問題で初飛行は2020年初めに延期されている。エンジン問題はすでに解決したが、このため777-9の引き渡しは予定から1年遅れの2021年初めになる。
図3:(Boeing) ボーイング777Xは、長距離・広胴型・双発の777系列機の最新モデルで [777-9] と呼ばれる。エンジンは新型のGE9X、主翼は新設計の複合材製で翼端を折り畳む方式。客室幅は10 cm広げ5.97 mとし、胴体長さは、777-8 の69.8 m から2.9 m伸ばし76.7 mにしている。主翼、胴体共に787で採用した技術を多く取り入れている。これで777-9は、客席は標準2クラスで426席、航続距離は約14,000 km となった。これまでの777-8は384席・16,000 km。[777-9] の確定受注は309機で、エミレーツ/115機、カタール/60機、エチハッド/25機など、我が国ではANAが20 機発注している。
- 737 MAXの飛行停止
2019年3月、米国FAAを含む各国の航空監督官庁は、それまでの5ヶ月間に発生した2件の墜落事故で346名の犠牲者が出たことを受け、ボーイング737 MAXを飛行停止にした。2件の事故とは、2018年10月29日のインドネシア・ライオンエア(Lion Air) 610便と2019年3月10日のエチオピア航空(Ethiopian Airlines) 302便、である。737 MAXの飛行停止は2020年になった現在も続いている。このためボーイングは2020年1月から737 MAXの生産を中止すると発表した。
図4:(ABCnews.go.com) 2019年3月の飛行停止を受けてボーイングは737MAXの引き渡しを中止し、月産機数を52機から42機に減らした。2019年3月にインドネシア・ガルーダ航空は49機の発注をキャンセル、同年7月にサウジのフライデイール(Fllydeal)は30機の発注をキャンセルした。一方、同年11月のドバイ航空ショーでは、トルコのサンエキスプレス(SunExpress)その他から30機の新規受注を獲得した。現在約400機が全米各地に保管中で、飛行停止の解除を待っている。737 MAXの受注は2011年の150機から始まり合計4,900機を超えている。うち引き渡し済みは387機。ANAは2019年1月に737 MAX 8型を確定20機、オプション10機を発注している。
- エンブラエル(Embraer)製最大の狭胴型機 E2 が型式証明取得
ブラジルのエンブラエル社が作る最大の狭胴型旅客機 [E195-E2] は、2019年4月16日にブラジルANAC、ヨーロッパEASA、米国FAAの各航空当局から型式証明を取得した。そして9月にブラジルのアズール航空(Azul Airlines) に146席型の初号機を引き渡した。
[E-195-E2]はエンブラエルE-Jetの後継機で、E-2シリーズ(E-175 E-2、E-190 E-2)の中で最も大きい。3機種はいずれも横4列座席の狭胴型機で、胴体長さが異なり、主翼もそれぞれ違っている。E-195 E-2のエンジンはP&W製ギヤード・ターボファンPW1919G・推力23,000 lbsを2基装備、新型アビオニクス、フライバイワイヤ操縦システムを備える。
図5:(Embraer) [E-195 E-2]の主翼は、細長くアスペクト比 は11.5 :1 、直径2 mの新エンジン取付部までやや上向き角度にした “ガル・ウイング ” 形状、 翼幅は35.1 m、フラップは抵抗・重量の少ない1段式(single slotted flap)。胴体が延長されているので尾翼は小さくなっている。全長は41.5 m、最大離陸重量は61.5 ton、航続距離は4,800 km。客室は、標準2クラスで120席、競合するエアバスA220-100とA220-300の中間になる。確定受注機数は145機、最大の顧客は前述のアズール(Azul)航空の51機、この他にやや小型のE-190 E-2で44機の受注がある。 原型のE-190を60機使用している米国のLCC「ジェットブルー(JetBlue)」社が、更新用として[ E-195 E-2]ではなくエアバスA220-300を60機発注した(2018年5月)のは、エンブラエルに取り大きな痛手となった。
- エアバスが超長距離型狭胴型機 A321XLR の開発を決定
エアバスは2019年6月のパリ・エアショーの初日に、超長距離型の狭胴型機A321XLRを開発すると発表した。2023年から引き渡しを開始する。12月には米国のユナイテッド航空(United Airlines) が使用中のボーイング757の更新用として50機を発注、2024年から受領開始の予定。これで大西洋路線を拡充する。
図6:(Airbus S.A.S. 2019-computer rendering by FIXION-photo by dreamstime.com-MMS-2019) A321XLRの完成予想図。[A321XLR] はA320neo/A321neo系列機で、航続距離を伸ばし( 8,700 km) 乗客数を増やすことで座席当たりの燃費を在来型機(737 NGなど)に比べ30 %改善して経済性を高めた。A321neoと同じエンジンを装備し、構造・システムなどは90 %が共通で、同じパイロットが操縦できる。2019年11月末で、A320neo系列機の確定受注は115社から7,200機以上、内引渡し済みは約1,100機。この内A321XLRは、発表後6ヶ月で確定と購入覚書で450機を受注している。
- 三菱航空機、MRJの名称をスペースジェット(SpaceJet)に変更
三菱航空機は開発中の狭胴型機 MRJの名称をスペースジェットに変更、開発中だったMRJ70をスペースジェット[M100] と改称、設計も変更した。[M100 ]は、胴体長さを34.5 m (113.2 ft)に伸ばし、客室は3クラス標準で76席とし、翼幅を僅か縮め27.8 m、離陸重量を39 ton (86,000 lbs) と改め、航続距離は3,540 kmとなった。これで、米国内のリージョナル機に関わるエアライン対乗員組合の合意規制“スコープ・クローズ(scope-clause)”に合致する機体となった。
(注)現在“スコープ・クローズ”に合致し米国内で使わている狭胴型ジェット機は、カナダ・ボンバルデイアCRJ700とブラジル・エンブラエルE-175の2機種のみ、いずれも燃費の多いGE製CF34系列エンジンを使用。CRJ700はすでに330機で生産終了、エンブラエルE-170 /E-175は800機を受注し内約500機が米国内で飛行中、現在の受注残は180機になっている。この結果、[M100]が、唯一米国内のリージョナル機市場向けに新たに生産されることなる。
(注)図7の写真はワーウイック氏記事の冒頭を飾った[M90]で、関心の高さが伺える。
図7:(三菱航空機)三菱スペースジェット[M90] は1〜4号機を使い型式証明取得の試験飛行中で、2019年4月までに2,600時間の飛行試験を実施済み。これに2020年1月7日に完成した最新型の10号機 (FTA10) [M90] が加わり残りの試験項目を消化、2020年中頃にJCAB、FAAの型式証明取得を目指している。5, 6, 7号機はいずれも [M90] 型で設計変更に伴う改修作業中。ANAへの[M90] 初号機の引渡しは2020年中頃の予定。そして8号機および9号機は [MRJ70] 改め [M100]として組立中で、こちらは2023年の就航を目指している。受注状況は、確定は大型の [M90]・88席級が173機、小型の [M100] ・76席級が50機で合計223機、そしてオプションと購入権は両機種合わせて184機となっている。
- 名門デハビランド・カナダ (De Havilland Canada) が再生
2019年6月に、かつての航空機メーカー “デハビランド (De Havilland Aircraft) ”の名前がカナダで復活した。これはカナダのロングビュー航空機 (Longview Aircraft) がボンバルデイア(Bombardier) 社からダッシュ8 (Dash 8) プログラムを[デハビランド]の称号を含め、3億ドルで買収したためだ。ロングビューは、これを新設の子会社「デハビランド・カナダ (De Havilland Aircraft of Canada)」に引き継ぎ、リージョナル・ターボプロップ機[ Dash 8 Q400 ]の生産を継続する。
(注)デハビランド航空機は英国で創立され、第二次大戦後には最初のジェト旅客機コメットを作ったことで知られる。その子会社“デハビランド・カナダ”は[DHC=De Havilland Canada]として1928年に設立、練習機モス(Moth)の生産から始まり、途中からカナダ国有企業となり、DHC-1からDHC-7など独自の機体を次々に世に送り出した。1986年に民営化され、一旦はボーイングに売却されたが、1992年にモントリオールのボンバルデイア(Bombardier Aerospace)の傘下に入る。2018年11月になると、ロングビュー・エビエーション・キャピタル(Longview Aviation Capital)が、ボンバルデイアからプログラムを買収。そして2019年6月にロングビューの子会社「デハビランド・エアクラフト・オブ・カナダ」が発足、[ DHC Dash 8 Q 400 ]型の生産を続けることになった。本社はトロント(Toronto, Ontario, Canada)で、従業員は1,200 名。
図8:(De Havilland Aircraft of Canada ) [DHC Dash 8]は通称[Dash 8]、リージョナル航空用ターボプロップ機として1984年から使われている。最初は-100型 / 40席から始まり、1999年からは68-90席級の-400型となった。1997年からは客室に、騒音を打ち消すタイプの騒音軽減装置 “ Active Noise Control Systems” を装備し ” Q “シリーズとなっている。
高翼で尾翼は”T”字型、エンジンはプラット&ホイットニー(Pratt & Whitney)カナダ製PW150A型・軸馬力5000 shpターボプロップが2基、1984年9月から就航している。DHC Dash 8 Q400はこれまでに受注約650機、引渡し済み約590機。製造は今まで通りダウンスビュー(Downsview, Toronto, Ontario)で行われている。11月のドバイ航空ショーではパルマ・ホールデイング(Palma Holding)から20機の購入覚書を受領した。最大のユーザーは英国のリージョナル航空 [Flybe] 社で53機を使っている。我が国では、JAL系列のJapan Air Commuter社とRyukyu Air Commuter社がそれぞれ4機ずつ合計8機を使用中。またANA Wingsが24機を発注している。[DHC Dash 8]は、全長32.8 m、翼幅28.4 m、航続距離2,000 km、巡航速度667 km/hr、最大離陸重量30 ton。
- 大手余暇航空会社トーマス・クック(Thomas Cook)の破綻
10月9日、英国最大規模の余暇航空会社トーマス・クック航空が破綻し、予約客165,000人に賠償金を支払うことになった。英国では企業が支払う最大の賠償金額となる。
(注)トーマス・クック航空は英国マンチェスター(Manchester)にあり2007年に創業、マンチェスター空港とロンドン・ガトウイック(Gatwick)空港などから北米を含む全世界向けにチャーター便、定期便を飛ばしていた。2019年9月23日に経営破綻、運航を停止し清算に入った。
図9:(Thomas Cook Airlines )トーマス・クック航空のエアバスA321-200。同社はA321-200型機を27機とA330-200型機を7機、合計34機運航していた。
10.イタリアの航空機メーカー“テクナム (Tecnam)” 社が小型旅客機を初出荷
イタリアのテクナム社開発の11人乗りピストン機[P2012 Traveller]は、100機受注しているが、2019年9月に最初の2機をケープ・エア(Cape Air)に引き渡した。
(注)テクナム航空機は1986年にイタリアの航空機設計技師ルイギ・パスカル(Luigi Pascale)氏兄弟が設立した軽飛行機のメーカー。最初は大手メーカーに部品供給をしていたが、軽飛行機を作るようになり、2008年に売り出した2人乗りテクナムP92 イーグレット(Eaglet)、双発4人乗りのP2006、などで成功し、これまでに5,000機以上を製造・販売している。エンジンはいずれもRotax 912S ピストンエンジンで出力は100馬力。従業員は250名、創業者は他界したが現在は甥が後を継いでいる。工場はネープルス(Naples)空港に隣接したカソリア(Casoria)とカプア(Capua)の2箇所、2015年には米国向けのサービスセンターをフロリダ州セブリング(Sebring, Florida)に開設した。
(注)ケープ・エアは全米有数のリージョナル航空、従業員約500名、マサチューセッツ州ハイニス(Hynnis, Massachusetts)が本社、現在セスナ402を88機、セスナ・キャラバン水上機を2機、ノーマン・アイランダーを4機保有している。2019年9月に最新のテクナムP2012トラベラー]を受領、使い始めた。
図10:(Tecnam )EASAおよびFAAの型式証明取得済みのテクナム[ P2012 トラベラー (Tecnam P2012 Traveller) ]は、パイロットを含む11人乗りで375hpのライカミング(Lycoming)TEO-540-C1Aエンジン2基を装備する。固定脚で整備が簡単、ケープ・エアはローンチ・カストマー、100機を発注済み。[P2012]は、長さ11.8 m、翼幅14 m、離陸重量3.6 ton、巡航速度190 kts、航続距離約1,600 km。価格は2.9億円。
11. エアバス製巨人貨物機 “ベルーガXL (Beluga XL)” 、型式証明を取得
エアバス製ベルーガXLは700時間を超える試験飛行の末に、11月13日ヨーロッパEASAから型式証明を取得した。2020年初めから供用を開始する。同機は、エアバスが、ヨーロッパ各地に展開する11箇所の工場の間の大型部品輸送のために作った特別貨物機である。基本はA330-200 広胴型機で、これまでのベルーガSTより長さが7 m伸び、胴体幅が1 m広がり、貨物室容積が30 %大きくなった。これで一度にA350 XWB機の主翼2機分を運ぶことができる(ベルーガSTでは1機分)。
エアバスはA350 XWB生産のため、ベルーガSTを5機使ってきたが、不足するので大型のベルーガXLの開発を決定(2015年9月)、6機を生産、順次ベルーガSTと交代する。ベルーガSTは、2017年には合計で8,000時間以上稼働している。ベルーガXLは、1号機の完成に続いて2号機が完成2019年4月に初飛行済み、現在3号機の組立が始まっている。
図11:(Airbus )エアバス・ベルーガXL ( Airbus Beluga XL)1号機は、2018年7月に初飛行、2019年11月13日にEASAの型式証明を受領した。ベルーガXLは、A330最終組み立てラインで組立てられた胴体下部を、別工場に運び、そこで上部胴体の取付と機種部分の位置を下げる作業をする。ベルーガSTと比べ [ベルーガXL] は、胴体が6.9 m長く63.1 mになり、胴体幅も1.7 mに広がり胴体直径は8.8 m、非与圧の貨物室には50.5 tonの貨物を搭載できる。エンジンはRR Trent 700を2基装備。巡航速度は高度35,000 ftでマッハ0.69、航続距離は4,000 kmである。コクピットは、A300-600およびA310と同じ6個のCRTデイスプレイで構成、パイロット2名とロードマスター1名が乗務する。
12. ボーイング、737 MAX 10型機をロールアウト
11月21日、ボーイングは737 MAX 10型機のロールアウト式典をレントン(Renton)工場で関係者の出席のもと静かに行った。MAX10はMAX系列機のなかの最大の機体で2020年に初飛行をする。MAX 10はエアバスが売れ行きを伸ばすA321neoに対抗するため、737 MAX 9に比べ胴体を1.6 m伸ばし43.8 mとし、客室は標準2クラスで188 – 204席、最大で230席にしている。翼幅は35.9 m、エンジンはCFM LEAP-1B、いずれも他の MAX系列機と同じである。また他のMAX機と同様、翼端にはスプリット型ウイングレット、客室は787と同じ”ボーイング・スカイ・インテリア(Sky Interior)仕様、コクピットにはロックウエル・コリンズ製の15 inchデイスプレイ4個、を装備している。ランデイングギアは、既存のランデイングギア・ウエルに収納可能だが、脚出し時に最大24 cm伸びる「短縮可能なリンケージ設計」(shrink-link mechanical linkage)になっている。
図12:(Boeing ) 前述したが、ボーイング737 MAX 10はエアバスA321neoに対抗するため2017年6月に開発が決まった。これで、ユナイテッド航空は発注済みの737 MAX 9 /161機のうち100機を737 MAX 10発注に切り替えた。2019年11月末でMAX 10の受注は531機に達している。最大離陸重量は約90 ton、航続距離は6,100 km。LEAP-1Bエンジンは、推力29,000 lbs、ファン直径は176 cm。
競合するエアバスA321neoは、標準2クラスで206席、最大240席、航続距離は7,400 km、エンジンはCFM LEAP-1A /ファン直径198 cmまたはPW1100G / ファン直径206 cm。これまでに3,250機以上を受注、引渡し済みは290 機となっている。
―以上―
本稿作成の参考にした主な記事は次の通り。
Aviation Week Network Asia Digest Jan. 3rd, 2020 “Looking Back at 2019: Commercial Aviation” by Graham Warwick
各メーカーのホームページ