令和4年4月、我国周辺における中露両軍の動向と我国/同盟諸国の対応


2022-5-7 (令和4年) 松尾芳郎

令和4年4月、我国周辺における中露両軍の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し、それぞれの公的部門等から多くの発表があった。以下にその項目と内容を紹介する。注目すべきニュースは次の通り;

  1. 日本周辺海域で米空母と海自艦艇および空自戦闘機が共同演習

4月8日〜17日の間、日本海、東シナ海、を含む日本周辺海空域で共同演習を実施した。米空母が日本海に展開したのは2017年11月以来のこと。

  • ロシア海軍情報供給部、4月14日を最後にニュースを中断

4月14日に黒海艦隊旗艦・巡洋艦「モスクワ」が火災、弾薬が爆発、深刻な被害を生じた、と報じて以来ニュース発信を停止中。

  • 米海軍沿岸戦闘艦「ジャクソン」に新型無人ヘリ「MQ-8C」を配備

第7艦隊所属のLCS「ジャクソン」、新型無人偵察・攻撃ヘリ「MQ-8C」の運用を開始した。

  • 新型護衛艦/フリゲート「もがみ」の引渡式

4月28日午前、新型フリゲート「もがみ」の引渡式が三菱長崎造船所で行われた。

(The military maneuvers by Russo-Chinese forces around Japanese Islands are as usual. Japan and allies move to take a farther counter measure. Following four were noteworthy in April ;-

  1. USS Abraham Lincoln(CVN 72) together with several guided missile destroyers of US and Japanese Navy, conducted warfare exercise in Japan Sea and East China Sea during April 8th through 17th.
  2. The Official Russian Naval Information Supply News (Japanese language) has lasted its news release since April 14th, reported the Missile Cruiser “Moscow” the Flagship of Russ Black Sea Fleet, got heavily damaged.
  3. The littoral combat ship USS Jackson(LCS 6) completed to get the operational capabilities of the Navy’s newest unmanned helicopter, the MQ-8C Fire Scout, April 20th.
  4. Japan Maritime Self Defense Force received the latest model of its frigate “Mogami FFM-1”, full displacement 5,500 ton.

以下に詳細を述べる。

令和4年4月統合幕僚監部発表

  • 4月4日 中国海軍艦艇2隻、日本海から対馬海峡を経由、東シナ海へ

4月3日午前10時、対馬北東320 kmの海域を南下する中国海軍ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦1隻およびジャンカイII級フリゲート1隻を発見した。同艦艇はその後対馬海峡を南西に進み、東シナ海に向かった。

これらは3月28日に五島列島から対馬海峡経由日本海に入ったものと同一。

発見・追尾したのは舞鶴基地第2ミサイル艇隊所属の「はやぶさ」。下関第43掃海隊所属の「うくしま」、佐世保基地佐世保警備隊所属の「あまくさ」および厚木基地第4航空群所属の「P-1」哨戒機である。

図1:(統合幕僚監部)「旅洋III級/052D型 昆明級駆逐艦で、中国版イージス艦。同型艦10隻を配備、追加7隻を艤装中。写真「西寧(Xining) / 117」は2017年就役、北海艦隊に所属。満載排水量7,500 ton、全長156 m、速力29 kts。VLS(垂直ミサイル発射装置)64セルに対空/対艦ミサイルを装備。

図2:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」型は「054A」フリゲート、写真「塩城(Yancheng/546)」は北海艦隊所属で2012年就役。満載排水量4,500 ton、全長137 m、速力27 kt、HQ-16対空ミサイルを32セルVLSに収納。対艦ミサイルは艦中央にYJ-83型を4連装発射機2基に搭載。[045A]型フリゲートは外洋艦隊用で防空能力を強化。同型艦は30隻が就役済み。

  • 4月7日 中国「Y-9」電子戦機が宮古島・石垣島南方の我国ADIZに侵入

3月7日正午ごろ中国軍「Y-9」電子戦機1機が、沖縄県南西諸島南の我国防空識別圏(ADIZ)に侵入したため、空自南西航空方面隊所属の戦闘機が緊急発進、監視を行った。「Y-9」電子戦機がADIZ/領空侵犯したのは今回が初めて。

図3:(統合幕僚監部)4月7日中国軍「Y-9」電子戦機の飛行経路。

図4:(統合幕僚監部)ロシア(現ウクライナ)のアントノフAn-12をライセンス生産した「Y-8」を改良し大型化して「Y-9」輸送機とした。これを電子戦機にした機体が「Y-9X」。5,100馬力FW6JCターボプロップ4基を備え、離陸重量65 ton、航続距離5,200 km、機首下面、前部胴体側面、後部胴体側面にアンテナを装備している。

  • 4月11日 中国海軍情報収集艦が対馬海峡経由で日本海に進出

4月11日正午頃、対馬南西130 kmの海域を北東に進む中国海軍ドンデイアオ級情報収集艦を発見した。同艦は対馬海峡を北上、日本海に向かった。発見・追尾したのは、佐世保基地第3ミサイル艇隊所属「おおたか」、鹿屋基地第1航空群所属の「P-1」哨戒機と厚木基地第4航空群所属の「P-1」哨戒機。

同時期には、米第7艦隊空母「アブラハム・リンカーン」を中心とする日米艦隊が日本海で演習を始めたので、この情報収集のため中国海軍が情報収集艦を派遣したものである。

図5:(統合幕僚監部)ドンデイアオ級情報収集艦(東調級/Dongdiao-class)は「815型情報収集艦」と呼ばれる電子偵察艦。満載排水量6,000 ton、全長130 m、速力20 kts。艦中央に大型追跡レーダーがあり1000 km以内の弾道ミサイルを追跡できる。艦橋上部のアンテナは対艦ミサイル、対水上艦探知用。改良型の815Aを含め9隻が就役中。

  • 4月15日 中国海軍情報収集艦が対馬海峡経由で東シナ海に戻る

日本海で行われた米空母「アブラハム・リンカーン」を含む日米艦隊の合同演習が終わったので「ドンデイアオ」級情報収集艦(794)は任務終了で対馬海峡経由で東シナ海に戻った。

  • 4月20日 ロシア海軍艦艇6隻が東シナ海から対馬海峡経由日本海へ

4月19日午前9時、長崎県男女群島西80 kmの海域を北東に進むロシア海軍ウダロイI級駆逐艦1隻、アルタイ改級補給艦1隻、スリバ級救難曳船1隻、および民間船舶3隻の計6隻を発見した。これら6隻は対馬海峡経由、日本海に入った。このうちウダロイI級駆逐艦は3月24日に対馬海峡を経由、東シナ海に向け航行したものと同一である。

発見・追尾したのは厚木基地第4航空群所属の「P-1」哨戒機と佐世保基地第3ミサイル艇隊所属の「しらたか」。

6:(統合幕僚監部)4月19日ロシア艦隊6隻の対馬海峡通過時の航跡。

図7:(統合幕僚監部)ウダロイI級駆逐艦(548)。大型対潜艦・満載排水量7,500 ton、全長163 m、速度35 kt、強力なソナー、長射程の対潜ミサイル、ヘリコプター2機、SA-N-9型個艦防空ミサイルを装備。8隻が就役中で太平洋艦隊に4隻を配備。

図8:(統合幕僚監部)

図9:(統合幕僚監部)

図10:(統合幕僚監部)

11:(統合幕僚監部)

図12:(統合幕僚監部)

  • 4月20日 中国情報収集艦、奄美大島・横当島間の海峡を経由太平洋へ

4月20日午前9時、奄美大島の北西160 kmの海域を南東に進む中国海軍ドンデイアオ級情報収集艦を発見、その後同艦は奄美大島と横当島の間を通り太平洋に向かった。発見・追尾したのは鹿屋基地第1航空群所属の「P-1」哨戒機および佐世保基地第1海上補給隊所属の「はまな」。

図13:(統合幕僚監部)説明は「4月11日発表」を参照されたい。

  • 4月26日 中国海軍艦艇2隻が太平洋から宮古海峡を通過東シナ海へ

4月26日午前2時、宮古島東北東100 kmの海域を西に進む中国海軍ジャンカイII級フリゲートおよびユージャオ級揚陸艦を発見した。この2隻は宮古海峡を通過、太平洋から東シナ海に向かった。発見・追尾したのは那覇基地第5航空群所属の「P-3C」哨戒機と佐世保基地第1海上補給隊所属の「はまな」。

図14:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」型は「054A」フリゲート、2008年に写真の1番艦「舟山・529」が就役。満載排水量4,500 ton、全長137 m、速力27 kt、HQ-16対空ミサイルを32セルVLSに収めている。対艦ミサイルは艦中央にYJ-83型を4連装発射機2基に搭載。[045A]型フリゲートは外洋艦隊用で防空能力を強化。同型艦は30隻が就役済み。

図15:(統合幕僚監部)ユージャオ(玉昭/Yuzhao)級「071型」揚陸艦はドック型揚陸艦(LPD)で満載排水量25,000 ton。フランス製SEMTデイーゼルエンジン4基を搭載、最大速力23 kts。ウエルドックに大型エアクッション揚陸艇4隻を搭載、装甲車両20両と兵員800名を運ぶ。同型艦は8隻あり、写真はYimengshan/斤蒙山(988)。同型艦1隻がタイ国海軍に近く納入される。

陸上幕僚監部発表

  • 4月14日 令和4年度第1回米空軍基からの降下訓練

中国軍などの島嶼侵攻に対応するため空挺作戦の技量向上を図るべく、第1空挺団は米空軍機から降下演習を習志野演習場等で実施する。期間は4月19日〜同21日。

海上幕僚監部発表

  • 4月15日発表および4月19日発表 日本海、東シナ海、太平洋で「アブラハム・リンカーン」空母打撃群と海自艦隊が共同訓練を実施

日本海・東シナ海でしばしば行われる不穏な中国・北朝鮮の軍事行動を牽制する目的で、米第7艦隊「アブラハム・リンカーン」空母打撃群を中心に、海自ミサイル駆逐艦「こんごう」を含む艦隊が共同演習を実施した。演習は4月8日から同17日の間、日本海、東シナ海および太平洋上の海空域で、対潜水艦戦、対水上艦戦、対空戦、洋上補給など多岐項目にわたって行われた。訓練の一部には陸上自衛隊および航空自衛隊「F-2」戦闘機も参加した。

参加部隊は;―

米第7艦隊から空母航空団(Carrier Air Wing/CVW 9)、空母「アブラハム・リンカーン(USS Abraham Lincoln/CVN 72)」、ミサイル巡洋艦「モービル・ベイ(USS Mobile Bay/ CG 53)」、ミサイル駆逐艦「スプルーアンス(USS Spruance/ DDG 111)」、補給艦「テイピカヌー(USNS Tippecanoe/T-AO-109)」排水量3万1千トン、貨物弾薬補給艦「リチャード・E・バード(Richard E Byrd(T-AKE-4))排水量4万トン。

海自から、ミサイル駆逐艦「こんごう/DDG 173」、護衛艦「いなずま/DD 105」が参加した。「いなずま」は「むらさめ」型6,100 tonの5番艦で2000年に就役。

図16:(7th Fleet News)4月12日に日本海で撮影した写真。空母航空団(Carrier Air Wing/CVW 9)の航空機と空自戦闘機の編隊の下に、中央に空母「アブラハム・リンカーン(USS Abraham Lincoln/CVN 72)」、進行方向・左に海自ミサイル駆逐艦「こんごう/DDG 173」、右に海自駆逐艦「いなずま/DD-105」、後ろ左に米ミサイル駆逐艦「スプルーアンス(USS Spruance/DDG 111)」などが隊列を組み航行している。

4月21日 護衛艦/フリゲート「もがみ」の引渡式・自衛艦旗授与式

4月28日午前、三菱重工長崎造船所で最新型フリゲート「もがみ」の引渡式および自衛艦旗授与式が行われた。

「もがみ(FFM-1)」は、従来の護衛艦とは異なり、小型で多機能で艦種はフリゲートを表すFFと、多機能と機雷を表すMを組合わせ「FFM」とされた。22隻の建造が予定され、現在6隻が建造中である。満載排水量5,500 ton、全長133 m、主機は、加速用としてロールス・ロイス製MT30ガスタービン1基と低速用にMAN社12V28/33D STCデイーゼル・エンジン2基を装備する。ガスタービンとデイーゼルの連接・減速機などの関係機器類は川崎重工製、出力7万馬力、最大速力30 kts。自動化が進んでいるので乗員は従来の同サイズの護衛艦の比べ半分の90名になる。

運航システム、通信システム、指揮統制システム、武器システム等は、標準化されたネットワークに組込まれる。情報処理システムOYQ-1は「いずも」

型ヘリ空母以降と同じ、戦術データ・リンクはNATO採用のリンク22に対応している。艦橋上部の複合アンテナ部にはOPY-2多機能レーダー、OAX-3光学複合センサーなどが組込まれる。

対空兵装はSeaRAM近接防空ミサイル1基、対水上艦用には62口径127 mm速射砲1門および17式艦対艦誘導弾(SSM-2)4連装発射筒2基、を搭載する。さらにミサイル垂直発射装置VLS Mk.41 を16セルを後日搭載し、長射程の新艦対空ミサイル(A-SAM)や新艦対艦ミサイルを装備する。

対潜戦用として、対潜センサーOQQ-25水上艦用ソナー・システムおよび3連装短魚雷発射管を装備する。

対機雷戦用に対機雷戦ソナーOQQ-11、機雷排除用に、自律型多目的水上無人艇(USV)と自律型水中航走式機雷探知機(UUV/OZZ-5)を搭載運用する。

  • 自律型多目的水上無人艇(USV):全長11 m、排水量11 ton、FRP製、速力23 kts、ジャパン・マリン・ユナイテッド(JMU)が製造し、原型は2021年11月に舞鶴湾で試験走行すみ。
  • 自律型水中航走式機雷探知機(UUV/OZZ-5):三菱重工製で、搭載する低周波合成開口ソナー(LF-SAS)にフランスのタレス(Thales)社が開発した高周波合成開口ソナー(HF-SAS)「SAMDIS」を組込み、日本電気製の低周波合成開口ソナーと合わせて性能向上を図る。2024年に実用化する。(TokyoExpress 2021-07-03「令和3年6月、我が国周辺における中露両軍に活動と我国/同盟諸国の対応」に紹介済み)

図17:(海上幕僚監部)4月28日三菱重工長崎造船所で引渡式・自衛艦旗授与式を終了、岸壁を離れる「もがみ(FFM-1)」。1ヶ月前に「くまの(FFM-2)」が就役したので現在は2隻になる。後部にSH-60K哨戒ヘリ1機を搭載する。

第7艦隊ニュース

  • 4月26日発表 ミサイル駆逐艦が台湾海峡を通過

第7艦隊ミサイル駆逐艦「サンプソン(USS Sampson/DDG 102)」が4月26日南シナ海から台湾海峡を北上、東シナ海に入った。

  • 4月27日発表 沿海域戦闘艦「ジャクソン」に次世代艦載自律型無人ヘリコプター「MQ-8C」を配備

第7艦隊に輪番制で配備されている沿海域戦闘艦(littoral combat ship)「ジャクソン(USS Jackson/LCS 6)」に次世代艦載自律型無人ヘリコプター「MQ-8Cファイア・スカウト(Fire Scout)」が着艦した。場所はフィリピン海。

「ジャクソン/LCS 6」は、「インデペンデンス級(Independence-class)」沿海域戦闘艦の1隻で、トリマラン(trimaran)形式の3胴型船で小回りが効き巡航で44 ktsの高速が出せる。現在13隻が就役中。満載排水量3,400 ton、全長127 m、機関はGE LM2500 ガスタービン2基

図18:(US Navy News)沿海域で戦闘するため兵装は強力で、BAE Systems製 Mk. 110 57 mm速射砲1門、Raytheon製SeaRAM CIWS対空ミサイル!基、30 mm Mk.44 Bushmaster II機関砲2基、対地・対艦攻撃用にノルウエイ・コングスバーグ製巡航ミサイルRGM-184Aを8基を装備している。MH-60シーホーク・ヘリ1機とMQ-8Cファイア・スカウトを搭載する。

「MQ-8C」ファイア・スカウトは、次世代の艦載自律型無人ヘリコプターでノースロップ・グラマン社製。米海軍には同社が開発した無人ヘリ「MQ-8B」が納入されていたが、これに搭載されていたアビオニクス、等システムを高性能化して「ベル407」ヘリコプターに搭載し無人化したのが「MQ-8C」。搭載レーダーはAN/ZPY-8 AESAレーダーとなる。「ベル407」は単発、4翅ローター、パイロット1名を含み6人乗りの民間用ヘリコプターで離陸重量は3 ton程度、これまでに1,000機以上が作られた。

「MQ-8C」は2019年6月に初期運用能力(IOC)の認定を取得した最新型機。艦載用の大型有人ヘリ「MH-60S/Rシー・ホーク」とチームを組み、行動する。

「MQ-8C」は、前型のMQ-8Bに比べ、速度性能、対空時間、ペイロードなどが大きく向上している。対空性能は10時間以上、航続距離は1,800 km以上、リアルタイムで水平線の彼方、視程外の目標探知が可能である。さらにAPKWS(Advanced Precision Kill Weapon System)誘導ロケット弾7発を搭載運用可能となる。APKWSロケット弾は射程5 km、既存の無誘導ロケットHydra 70にレーザー誘導装置を組合わせ重量3分の1、コスト3分の1のロケット弾。

図19:(US navy/Northrop Grumman)沿海域戦闘艦「ミルウオーキー/LCS 5」の飛行甲板から発艦する「MQ-8C」ファイア・スカウト無人ヘリ。

  • ロシア海軍情報供給部、4月14日を最後にニュースを中断

4月14日に黒海艦隊旗艦・巡洋艦「モスクワ」が火災、弾薬が爆発、深刻な被害を生じた、と報じて以来ニュース発信を停止中。

4月14日の記事は次の通り。

黒海艦隊の巡洋艦「モスクワ」は、火災の発生を原因とする弾薬の爆発の結果、深刻な損傷を受け、乗組員は避難した。
ロシア国防省は発表した。
ミサイル巡洋艦モスクワにおける火災の結果、弾薬が爆発しました。
艦は深刻な損傷を受けました。
乗組員は完全に避難しました」
国防省は、火災の原因は明らかにされていると述べた。

図20:(ロシア海軍情報供給部)「モスクワ」は黒海艦隊旗艦で、プロジェクト1164「アトラーント」の1番艦、主要装備はP-1000「バルカーン」ミサイル16基を搭載し、空母攻撃能力を誇示していた。

「モスクワ」の喪失はロシア海軍にとり大きな痛手だったようで、これがロシア海軍情報供給部のニュース配信停止に繋がったものと思われる。

図21:(Social Media/CNN) 4月14日に沈没したロシア海軍黒海艦隊旗艦「モスクワ」の沈没寸前の様子。

ロシア国営タス通信によると、少なくとも1名死亡、27名が行方不明になっている。他の乗員396名は救出され、クリミア半島セバストポリに移送された。

「モスクワ」は黒海で作戦行動中にウクライナ軍の対艦ミサイル「ネプチューン」2発の攻撃を受け被弾し、火災発生、弾薬庫が爆発して沈没したとCNN、BBCが伝えている。

BBCによると、ロシア国防省は14日夜「モスクワ」が沈没したと発表した。「モスクワ」は「1164型ミサイル巡洋艦」と呼ばれ、1990年までに同型艦4隻が建造された。排水量12,500 ton、全長186 m、最大速力32 kts。兵装はAK-130 130 mm連装速射砲1基、S-300F SAM 8連装VLS 8基、P-1000 SSM連装発射機8基、などを備え、対艦攻撃のみならず防空ミサイル・システムも充実している。同型艦3番艦「ワリヤーク」は太平洋艦隊旗艦だが、現在ウクライナ侵攻支援のため東地中海でNATO軍警戒の任務についている。

図22:(Wikipedia) RK-360MCネプチューン沿岸防衛システムは4連装発射筒装備のランチャーから発射される。MS-400 ターボファンを装備する巡航ミサイルで、ウクライナのKharkiv State Aviation Plantの設計製造、2021年から配備開始されている。射程300 km、長さは5.05 m、直径60 cm、重量870 kg、うち炸薬量150 kgである。

―以上―