令和5年2月、我国周辺での中露両軍・北朝鮮の活動と我国/同盟諸国の対応


2023-03-08(令和5年) 松尾芳郎

令和5年2月、我国周辺における中・露・両軍の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し各方面から多くの発表があった。注目すべきニュースは次の通り。

  1. 海自・米海軍、哨戒機による対水上戦、対潜水戦訓練を実施(1月30、31日)
  2. 2023年1月の緊急発進47回、うち対中国機が44回
  3. 中国海軍艦艇、2隻が宮古海峡を通過、太平洋へ進出(2月2日)
  4. 北朝鮮、「火星15」ICBMを発射、日本EEZ内に落下(2月18日)。空自、米空軍B-1爆撃機と日本海で共同演習を実施(2月19日)
  5. 中国海軍艦艇2隻、宮古海峡を通過太平洋に進出(2月18日)
  6. 北朝鮮、短距離弾道ミサイル2発を日本海に向け発射(2月20日)。日米韓海軍艦艇、北朝鮮に対抗、日本海で共同訓練を実施(2月22日)。米第7艦隊、海自・韓国海軍首脳と協力会議を開催(2月22日)
  7. 日米海軍艦艇、南シナ海、アラビア海バーレン、沖縄周辺、日本海、グアム島周辺等で共同訓練実施(2月5~22日)
  8. 令和4年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練(Resilient Shield 2023)を実施(2月17~22日)
  9. 自衛隊、多国籍共同訓練コブラゴールド23に参加(2月9日~3月10日)
  10. 米第7艦隊P-8A哨戒機、台湾海峡を通過(2月27日)

(Military threats by China and North Korea are tensed up in February. Japan and Allies conducted multiple large scaled military drill for retaliation. Following ten were major issues in this month.

  1. Japan and U.S. Naval patrol planes conducted anti-ship and anti-submarine war-games.
  2. Scramble flight in this January were 47 times, including 44 flights against Chinese.
  3. Two Chinese Naval vessels sailed through Miyko-strait to Pacific.
  4. North Korea launched new solid-fueled ICBM Hwasong-15, into water inside Japan’s EEZ. Japan and U.S. Forces held joint air exercise involving strategic bombers in Japan Sea.
  5. Two Chinese naval vessels sail through Miyako-strait again headed for Pacific.
  6. North Korea fired two short-range ballistic missiles into Japan Sea. Allied Navy held joint war drill in Japan Sea as retaliation, and the three nations naval commanders joint to play tabletop military drill.
  7. U.S. and Japanese Navy held joint multi-drill in Bahrain, South China Sea, surrounding Okinawan islands, Japan Sea, and Guam.
  8. Anti-Air and Missile-defense exercise Resilient Shield 2023 held by U.S. and Japan Forces for a week-long.
  9. Japan’s military forces join Multi-National Military Exercise Cobra-Gold 2023, together with U.S. Forces and others.
  10. U.S. Navy P-8A Poseidon transited Taiwan Strait in international airspace.)

以下にそれぞれを紹介する。

  1. 海自・米海軍、哨戒機による対水上戦、対潜水戦訓練を実施(1月30、31日)

沖縄南方の海空域、フィリピン海のエリアで、海自哨戒機「P-1」および「P-3C」は米海軍哨戒機「P-8A」と、相互運用性の向上のため対水上艦戦、対潜水艦戦、および情報交換訓練をした。

図1:(海上自衛隊)那覇基地での海自「P-3C」哨戒機。

図2:(U.S. Navy Photo)米海軍「P-8A ポセイドン(Poseidon)」哨戒機は「P-3C」の後継機。ボーイング737-800旅客機を基に開発された対潜水艦、対水上艦、情報収集、監視、偵察をする多目的哨戒機で、胴体は737-800、主翼は737-900を利用。米海軍に112機、オーストラリア海軍に12機、インド海軍に12機、イギリス空軍に9機、ノルウエー空軍に5機、さらに韓国海軍、ドイツへも納入する。これまでに150機製造。最大離陸重量63 ton、航続距離8,300 km、エンジンはCFM56-7Bターボファン2基。

  • 2023年1月の緊急発進47回、うち対中国機が44回

1月の緊急発進は47回で内44回が中国機に対する緊急発進だった。過去1年間を通し中国機の防空識別圏(ADIZ=Air Defense Identification Zone)侵犯が極めて高い水準にある。

図3:(統合幕僚監部)今年1月を含む1年間の緊急発進回数を示すグラフ。

図4:(統合幕僚監部)空自KC-767空中給油・輸送機から給油を受けるF-15J戦闘機。KC-767は小牧基地第404輸送隊に4機配備中。その後は米空軍仕様のKC-46Aペガサス(Pegasus)に機種を変更、6機を発注し、内2機を受領済みでこちらは鳥取県美保基地第3航空輸送隊に配備されている。KC-46AはKC-767対比で、胴体が2m、翼幅が60 cm大きい。米空軍は128機発注、うち68機を受領済み。

図5:(統合幕僚監部)緊急発進するF-2戦闘機。F-2は2000年配備開始、2011年までに試作4機を含め98機が生産された。現在の保有機数は88機、うち部隊配備は百里基地第7航空団第3飛行隊、松島基地第4航空団第2飛行隊、および築城基地第8航空団第6飛行隊・第8飛行隊、の4個飛行隊である。多用途戦闘攻撃機(Multi-roll Fighter)としての能力向上を目指し、様々な改修が行われている。

  • 中国海軍艦艇、2隻が宮古海峡を通過、太平洋へ進出(2月2日)

2月2日早朝/深夜、沖縄県久米島北西から南東に進む中国艦ルーヤンII級ミサイル駆逐艦(152)およびジャンカイII級フリゲート(599)を発見、その後2隻は宮古海峡を通過、太平洋に進出した。発見・追尾したのは鹿屋基地第1航空群P-1哨戒機および那覇基地第5航空群P-3C哨戒機。

図6:(統合幕僚監部)52C型(蘭州級)ミサイル駆逐艦、本級は中国版イージス艦の原型。写真は6隻中の4番艦「鄭州(Zhengzhou)・151」。「蘭州級」は満載排水量7,000 ton、HHQ-9A艦隊防空ミサイルを6セル円筒形VLS 8基の収めている。対艦ミサイルはYJ-62射程400 kmを4連装発射機2基に収納している。

図7:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」型は「054A」フリゲート、満載排水量4,000 ton、全長134 m、速力27 kt、HQ-16対空ミサイルを32セルVLSに収納。対艦ミサイルYJ-83型を艦中央にある4連装発射機2基に搭載する。本型は外洋艦隊用で防空能力を強化している。同型艦はすでに30隻が就役済み。

  • 北朝鮮、「火星15」ICBMを発射、日本EEZ内に落下(2月18日)

空自、米空軍B-1爆撃機と日本海で共同演習を実施(2月19日)

日本防衛省および韓国国防省は2月18日夕、北朝鮮が弾道ミサイル1発を東に向け発射したと発表した。北朝鮮政府メデイア・朝鮮中央通信はこのミサイルは「火星15」型と報じた。ミサイルはロフテッド軌道で1時間以上飛行し、北海道西の渡島大島の西200 kmの我国EEZ内に落下した。通常軌道で飛行すれば米国本土が射程に入る。

防衛省は、発射は午後5時21分、落下は同6時27分、飛行時間は66分間、約900 kmを飛翔し最高高度は5,700 kmだったと分析している。射程は弾頭重量により差が出るが、軽量弾頭では14,000 kmを超え米本土全体がその射程に収まる。

北朝鮮が弾道ミサイル発射するのは、2022年3月、2022年11月、に続いて今回3度目となる。2022年11月には新型の「火星17」を発射試験をしている。

図8:(朝鮮中央通信)18日に大陸間弾道ミサイル「火星15」を発射した、と朝鮮中央通信が19日に報じた。

図9:(NHK作成/防衛省発表資料)午後5時22分ごろ首都平壌郊外のスナン空港付近から発射、最高高度約5,700 km、飛行距離約900 km、通常より高角度で打ち上げる“ロフテッド軌道”で発射された。

これに対抗、警告する目的で翌日(2月19日)に、空自千歳基地第2航空団(第201飛行隊・第203飛行隊)所属のF-15J戦闘機3機と、米空軍GSC所属のB-1B ランサー(Lancer)戦略爆撃機2機および三沢基地第35戦闘航空団(35th Fighter Wing)所属のF-16C戦闘機4機が、日本海の空域で各種戦術訓練を行なった。

図10:(統合幕僚監部)現在ボーイング傘下にあるロックウエル・インターナショナル(Rockwell International)が製造したB-1Bランサー(Lancer)可変後退翼・超音速・戦略爆撃機。基本形B-1を改良、最高速度をマッハ1.25に抑え低空で敵地侵入を可能にした機体。62機がグローバル・ストライク・コマンド(GSC=Global Strike Command)に配備されている。

  • 中国海軍艦艇2隻、宮古海峡を通過太平洋に進出(2月18日)

既述の2月2日に続いて18日早朝、別の中国艦2隻が、沖縄県久米島西110 kmに出現、沖縄本島と宮古島の間、宮古海峡を通過、太平洋に進出した。2隻はルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(132)とソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦(136)である。発見・追尾したのは舞鶴基地海上補給隊補給艦「ましゅう」と那覇基地第5航空群「P-3C」哨戒機。

図11:(統合幕僚監部)ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦 (132) 「蘇州(suzhou)は、2021年就役で東海艦隊所属。「旅洋III級/052D型」昆明級駆逐艦で、中国版イージス艦である。同型艦10隻を配備、追加7隻を艤装中。満載排水量7,500 ton、全長156 m、速力29 kts。VLS(垂直ミサイル発射装置)64セルに対空/対艦ミサイルを装備。

図12:(統合幕僚監部)ロシア海軍用に19隻が建造され、内4隻を中国に譲渡。中国は長距離対艦ミサイルを装備「空母キラー」として米空母接近を阻止する艦と位置付けている。満載排水量8,000 ton、速力32 kts、130 mm 連装砲2基、30 mm CIWS対空機関砲4基、VLS 32セルに対空ミサイルHHQ-16および対潜ミサイルYU-8を装備。対艦攻撃用に射程150km以上の超音速巡航ミサイルYJ-12の 4連装発射機2基を備えている。同型は「杭州(136)」,「福州(137)」、「泰州(138)」「寧波(139)」の4隻。就役は1999年から2006年でかなり新しい。

  • 北朝鮮、短距離弾道ミサイル2発を日本海に向け発射(2月20日)

日米韓海軍艦艇、北朝鮮に対抗、日本海で共同訓練を実施(2月22日)

米第7艦隊、海自・韓国海軍首脳と協力会議を開催(2月22日)

2月20日夕刻、北朝鮮西岸首都平壌付近から短距離弾道ミサイル2発を発射、いずれも北朝鮮東側の日本海に落下した。1発目の発射時刻は午後5時前、最高高度約100km、約400 km飛翔。2発目は少し遅れて発射、最高高度約50 km、約350 km飛翔。

図13:(防衛省)2月20日夕刻発射された短距離弾道ミサイルの飛行経路と落下地点。

これに対抗する目的で、2月22日に日米韓3ヶ国海軍は日本海で共同訓練を行なった。参加したのは、海自ミサイル駆逐艦「あたご」、米第7艦隊ミサイル駆逐艦「バリー」、韓国海軍ミサイル駆逐艦「セジョン・デワン(世宗大王)」で、弾道ミサイル情報共有訓練を含む各種訓練を行なった。

図14:(防衛省)日米韓3ヶ国海軍の共同訓練の様子。

また同日、横須賀在泊中の米第7艦隊旗艦「ブルー・リッジ(USS Blue Ridge ・LCG-19)」艦上で、米第7艦隊司令官カール・トーマス中将が主催する3ヶ国海軍艦隊司令官会議が行われた。ここで東アジア海空域で発生の恐れのある不測の事態に3ヶ国海軍が強く連携して対処することを確認した。

図15:(7th Fleet Photo)2月22日、第7艦隊旗艦ブルー・リッジ(USS Blue Ridge [LCG-19])艦上で行われた3ヶ国海軍司令官会議での記念写真。右は海上自衛艦隊司令官・斎藤聡(あきら)海将、中央は米第7艦隊司令官カール・トーマス(Karl Thomas)中将、左は韓国海軍艦隊司令官キム・ミョンソー(Kim Myung-soo)中将。

図16:(Military.com)第7艦隊旗艦ブルー・リッジ(USS Blue Ridge [LCG-19])は海軍・海兵隊を統合、上陸作戦を指揮する旗艦/Amphibious Command Ship。1971年就役、1979年から第7艦隊旗艦となる。同型艦マウント・ホイットニー(USS Mount Whitney LCC-20)は2005年から第6艦隊旗艦。満載排水量19,000 ton、速力23 kts、兵装はMk.15 20 mm CIWSを2基。後部甲板にヘリコプター2機が駐機可能。主任務は「C4I」、すなわち指揮・管理・通信・コンピューター・諜報(command, control, communication, computers and intelligence)を司る。

7. 日米海軍艦艇、南シナ海、アラビア海バーレン、沖縄周辺、日本海、グアム島周辺等で共同訓練実施(2月5~22日)

  • 南シナ海での訓練@2月5日

海自護衛艦「まきなみ」と米沿海域戦闘艦(LCS=littoral combat ship)「チャールストン(USS Charleston LCS-18)」が各種戦術訓練を実施した。

「チャールストンLCS-18」は「インディペンデンス(USS Independence/ LCS-2)」級沿海域戦闘艦で2019年就役、満載排水量3,100 ton、全長127 m、速力40 kts、Mk 110  57 mm単装砲1門と対空用Sea RAM 11連装発射機1基を備える。艦型は三胴船(trimaran)で耐腐食処理アルミ合金製。エンジンは巡航用にMTU製V型20気筒デイーゼル、加速用にGE製LM2500ガスタービンをそれぞれ2基備えている。沿海域戦闘艦は単胴船型の「フリーダム」級(2,700 ton)と合わせ2種あり、合計で38隻建造され内4隻が退役している。

護衛艦「まきなみ(DD-112)」は2000~2006年に建造された「たかなみ(DD-110)」級汎用護衛艦5隻の内の3番艦で大湊基地第3護衛隊群第7護衛隊に所属。満載排水量6,300 ton、全長151 m、速力30 kts。兵装は対空用に20 mm CIWS 2基、Mk.48 VLS 16セルとMk.41 VLS 16セル、また対艦用に90式(SSM-1B)4連装発射筒2基を装備する。

図17:(海上自衛隊)2月5日、南シナ海で共同演習をする「まきなみ(DD-112)」と「チャールストン(LCS-18)」。

  • アラビア海海域で行う米主催海上訓練(IMX/CE23)に参加@2月26日~3月19日

中東地区で米海軍主導で行う最大の「国際海軍演習「IMX(International Maritime Exercise)23」に海自掃海母艦「うらが(MST-463)」6,800 tonと掃海艦「あわじ(MSO-304)」780 tonが参加している。並行して実施される「カットラス・エクスプレス(Cutlass Express)2023」演習と合わせて、50ヶ国以上、35隻の艦艇、7,000名の人員が参加している。海自令和4年度インド・太平洋・中東方面派遣(IMED23)部隊から派遣された2隻はバーレーン王国沖合での「対機雷戦(mine countermeasures)」演習部門に参加。

図18:バーレーンはアラビア海カタールの西に浮かぶ秋田県ほどに島国・王国である。

図19:(海上自衛隊)バーレーン王国(Bahrain)に入港した掃海母艦「うらが(MST-463)」、手前は掃海艦「あわじ(MSO-304」、これから「うらが」に接舷するところ。

  • 沖縄周辺、広島湾から九州西方を含む、海域での訓練(2月27日~3月12日)

九州・沖縄周辺の東シナ海・太平洋の海域で輸送艦。揚陸艦など多数が参加して船舶誘導訓練、捜索救難訓練などを実施している。海自からの参加は、輸送艦「おおすみ」、掃海艇「ひらしま」および「やくしま」。米第7艦隊からは、強襲揚陸艦「アメリカ」、ドック型揚陸艦「アシュランド」、ドック型輸送揚陸艦「グリーンベイ」など、それに付随するエアクッション揚陸艇LCACとヘリコプターが参加中。

  • 日本海で日米共同訓練 (ILEX 23-2)を実施(2月22日)

日本海で海自補給艦「ましゅう・AOE-425」は米第7艦隊ミサイル駆逐艦「バリー(USS Barry DDG 52)」と洋上補給訓練を行なった。

「バリー・DDG 52」は、2016年から第15駆逐艦隊 (Destroyer Squadron 15)に所属し6年間、横須賀を母港に前方展開部隊第7艦隊の一員として“自由で開かれたアジア太平洋を守る”任務についてきた。このほど任務を終え2月16日に横須賀を出港、新たな配属先、ワシントン州エベレットを母港とする第3艦隊麾下の「DESTRON 31」に所属することになる。

「ILEX 23-2」とは、Interchangeable Logistics Exercise 23-2(兵站業務互換性向上のための演習の意)の略称で、洋上補給演習で使われる。

図20:(海上自衛隊)ミサイル駆逐艦「バリー/DDG 52」(右)に燃料を補給する補給艦「ましゅう」(左)。

図21:(海上自衛隊)補給艦「ましゅうAOE-425」は2004年就役の大型艦。満載排水量25,000 ton、速力24 kts、補給ステーションは6箇所モノポール型、中央の小型2本がドライカーゴ用、前の2本は主燃料用、後ろ2本は主燃料および航空燃料用。同型艦は 「おうみ」がある。

  • グアム周辺海空域での訓練(2月22日)

海自護衛艦「あさぎり」および練習艦「しまかぜ」は、米海軍空母「ニミッツ(USS Nimitz /CVN-68)」、ミサイル駆逐艦「ウエイン・E・メイヤー」および「デイケイター」と戦術運動訓練等を行なった。

図22:(海上自衛隊)空母「ニミッツ(CVN-68)」満載排水量10万トン、は1975年就役2024年には艦齢50年を迎える。2024年就役予定のジェラルド・フォード級空母2番艦「ジョンFケネデイ(Jhon F Kennedy (CVN-79))と交代、退役する予定。現在は第11空母打撃群(CSG-11)の旗艦を務め、第17空母航空団(CVW-17)を搭載している。本打撃群には第23駆逐艦隊(DESTRON-23)所属のミサイル駆逐艦が随伴している。

図23:(海上自衛隊)護衛艦「しまかぜ・DDG-172」は、現在は練習艦。「はたかぜ・DDG-171」型の2番艦。満載排水量5,900 ton、速力30 kts、両艦とも1986年就役の旧型。艦尾にMk.13 mod.4ミサイル発射機を装備している。令和4年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練(Resilient Shield 2023)を実施(2月17~22日)

8. 令和4年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練(Resilient Shield 2023)を実施(2月17~22日)

2月17日と2月20〜22日の間、陸・海・空の各自衛隊は統合幕僚長山崎幸二陸相の指揮の下、米第7艦隊司令官カール・トーマス海軍中将が指揮する第7艦隊、第5空軍と共同で、北海道千歳基地から沖縄県那覇基地までの全国各地にある数十箇所の基地で、日米統合防空・ミサイル防衛訓練を実施した。この訓練は近年とみに高まる近隣諸国からのミサイル攻撃圧力に対処するため行うもの。具体的には、シュミレーションによる弾道ミサイル攻撃の迎撃、来襲する航空機攻撃に対する防空戦闘、に関わる日米両軍の統合運用、および共同対処の訓練である。

米第7艦隊ニュース(2月23日)は、米日両軍は2月下旬にミサイル攻撃・航空機攻撃から日本列島を護る訓練として大規模な「レジリエント・シールド2023/Resilient Shield 2023」(“跳ね返す盾”の意)演習を実施した、と報じた。

9. 自衛隊、多国籍共同訓練コブラゴールド23に参加(2月9日~3月10日)

タイ国および米国が共催する多国籍共同訓練「コブラ・ゴールド(Cobra Gold) 2023」は、約30ヶ国1万名の将兵が参加する訓練で、今年は42回目。参加国にはインドネシア、マレーシア、韓国、インドなどの他、中国が含まれている。従って我が自衛隊としては、実質的な軍事訓練というより自然災害や軍事侵攻などで緊急事態が発生した場合、この訓練を通じて在外邦人の保護、救出の練度を維持向上させることに主眼を置いて参加している。

参加部隊等は、統合幕僚監部、陸上幕僚監部、自衛艦隊、航空幕僚監部、などで宇宙サイバー防衛関係の部隊などを含む。

図24:(kyodo Feb.28, 2023)タイ国ウタパオ(Utapao)海軍基地で行われた「コブラ・ゴールド23」演習の開会式。

10. 米第7艦隊P-8A哨戒機、台湾海峡を通過(2月27日)

米海軍「P-8Aポセイドン(Poseidon)」哨戒機は、台湾海峡の空域を通過した。これは台湾を含み自由で開かれたインド・太平洋諸国を護る米国の意思表示の一環である。

「P-8Aポセイドン」哨戒機については図2を参照されたい。

―以上―