2017-08-12(平成29年) 松尾芳郎
防衛省統合幕僚監部の発表によれば(29-08-09)、同日、中国空軍のY-8電子戦機1機が沖縄本島と宮古島間の都海峡上空を太平洋から東支那海に向け通過した。沖縄第9航空団所属の戦闘機が緊急発進して領空侵犯に備えた。
図1:(統合幕僚監部) ロシアの貨物輸送機An-12Bを基本に中国ではY-8輸送機を開発した。Y-8輸送機は1981年から生産が始まり100機弱が作られた。これをベースに早期警戒機、洋上哨戒機、電子戦機などの派生型が実用化された。その一つが「高新1号」と呼ばれるY-8CB電子戦情報収集機である。今回出現したのは、Y-8CBにはない垂直尾翼頂部のアンテナと前部胴体側面に大きなフェアリングを備えているので、改良型の「高新3号」Y-8G電子戦機だったと思われる。エンジンはWJ-6ターボプロップ4,250 hp x 4基、航続距離5,600 km。
図2:(統合幕僚監部)Y-8G ? 電子戦機は、台湾の南から我が南西諸島の西表島、石垣島及び宮古島の南方を沿うようにして北東に向け飛行し、宮古島東方で進路を北東に変え、沖縄本島と宮古島の間の海峡を抜け東支那海に入った。これら空域周辺に設置されている我国レーダー網の能力を偵察するための飛行だったと考えられる。
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