-領空侵犯はなし。偵察活動の背景分析中ー
2013-10-03 小河正義
図:(統合幕僚監部)10月3日ロシア対潜哨戒機Il-38型機2機が日本領空に接近した航跡。
図:(統合幕僚監部)飛来したロシア対潜哨戒機イリューシンIl-38、 2機のうちの1機。Il-38型機は1967年から量産が始まり、これまでに176機が生産された。インドに5機が輸出された他はロシア海軍が保有している。全長39.6m、翼幅37.4m、全備重量63.5㌧、Al-20Mターボプロップ4,250軸馬力を4基装備。
防衛省統合幕僚監部は10月3日、露対潜哨戒機の編隊が日本海上空を北上し、防空識別圏に接近した為、戦闘機をスクランブル(緊急発進)させたと発表した。幸い、領空侵犯は無かった。 防衛省によると10月午前、日本海西部の竹島付近に複数の国籍不明機が接近するのを複数の防空レーダーがキャッチした。防空識別圏を越え、領空に接近する恐れがあり待機中のF-15迎撃戦闘機2機が小松基地から緊急発進した。該当機は自衛隊パイロットが露海軍対潜哨戒機、イリューシンIL-38『メイ』2機編隊と確認。露機は日本海上空を島根県沖合から列島沿いに北海道南西方面付近まで北上後、沿海州方面に去ったという。日本領空の侵犯は無かった。イリューシンIL-38『メイ』は旧ソ連時代、イリューシンIL-18ターボプロップ4発輸送機を母体に海軍の対潜哨戒機として開発。米海軍や海上自衛隊等が装備するロッキードP3C『オライオン』のライバル機として張り合った。現在も露海軍の主力対潜哨戒機の任務をまかされている。この日の日本列島接近飛行の意図について海上自衛隊は詳細を分析中だ。 同幕僚監部は10月1日、沖縄県南西諸島周辺の空域に中国国家海洋局所属の偵察機、Y-12双発ターボプロップ機の単独接近を確認し、那覇基地からF-15戦闘機2機が緊急発進で警戒監視に当たった事を公表した。領空侵犯は無かった。