本稿は、鳥居徹夫氏の寄稿である。この3月で菅義偉政権が誕生して半年になる。
新型コロナの感染抑制に向け、昨年春に引き続き、年明け早々に緊急事態宣言を再発令した。
平成2年度は当初予算に3次にわたる補正予算で、財政規模も公債発行高も膨れ上がり、菅首相は国民負担の必要性にも言及した。
まずは感染防止や生活支援に注力する姿勢を強調するが、それが一段落すると、さらなる国民負担を求めてくるのではないだろうか。
菅義首相は「財務省の財政緊縮政策に乗っかっている」というよりも、財務省が菅首相をコントロールしようとしている。
菅義偉は、首相就任時に「国民のために働く内閣」を表明したが、このままでは「財務省のために働く内閣」になりかねない。
衆議院議員の任期満了は10月。それまでには総選挙が必ず実施される。自民党の総裁選挙も9月にあり、今年は定期改選なので全党員による投票となる。
いずれにしてもコロナ感染拡大を抑制し、一日も早く通常の生活、経済活動に戻ることである。
中国寄りの調査でWHOは新型コロナの起源を解明できるのか
新型コロナウイルスの発生源や感染拡大の原因を探るWHO(世界保健機関)の調査団が中国・武漢(ウーハン)市での現地調査を終了し、2月9日に中国当局と共同で記者会見を行った。武漢は世界で初めてオーバーシュート(感染爆発)を起こし、ロックダウン(都市封鎖)を経験した都市だ。調査団が武漢に入ったのは1月14日。調査団はクラスターが発生した華南海鮮卸売市場やウイルス漏洩を疑われた武漢ウイルス研究所などを視察し、関係者からも話を聞いた。世界各国はWHOのこの現地調査に注目したが、期待は裏切られた。記者会見で最初の発生についてWHOは武漢以外の見方を示し、武漢ウイルス研究所からのウイルス流出の可能性も否定した。ウイルスの発生源は中国以外で、そこから冷凍食品などに付着して中国国内に持ち込まれたという中国の主張を踏襲するものだった。
令和3年2月、中露両軍の我国周辺における活動と我国/同盟諸国の対応
令和3年2月、我が国周辺における中露両軍の活動と、我が国および同盟諸国の動きに関し、それぞれの公的部門等から発表があった。以下にその項目と内容を紹介する。中露両軍による我国防空識別圏(ADIZ)や領海侵犯事件はなかったが、中国軍傘下の海警局所属艦艇による尖閣諸島領海侵犯は連日のように続いている。今月の注目すべき事案は次の通り;―
① 2月26日発表 岸防衛大臣の記者会見・尖閣諸島防衛に関連した内容② 2月27日発表 令和2年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練/図上演習「レジリエント・シールド2021 (Resilient Shieled 2021/回復力の盾2021)」③ 2月4日発表 原子力潜水艦「オハイオ」、沖縄近海で海兵隊と共同演習
プラズマ・スラスターの実現で、宇宙飛行の時間が大幅に短縮
米国の人気の科学フィクションTV番組「The Expanse (広大な宇宙)」で、太陽系の中を超高速で旅行するのに、光速の数分の一の超高速を出せる架空の推進装置「The Epstein Drive(エプスタイン・ドライブ)」を使うという話が出てくる。夢のような話で現実にはあり得ないが、プリンストン大学の最新の研究によると、理論的には「亜光速推進 (sublight propulsion)」、つまり光速の数分の一の超スピードを得る推進装置は将来実現し得る、と述べている。実現すればこれは「エプスタイン・ドライブ」ではなく、研究者の名前から「エブラヒミ・ドライブ (Ebrahimi Drive)」となるかも知れない。このエンジンは、太陽で起きている「コロナ質量放出 (CME=Coronal Mass Ejection)」の現象を「核融合炉 (Fusion Reactor)」を使って創り、推力を出そうと言うもの。(In The Expanse, spaceships use a fictional sublight propulsion “The Epstein Drive” to travel quickly through the Solar System at several fraction of light speed. We’re not nearly there yet, but we are getting closer with the announcement of a new theoretical sublight propulsion. It won’t be an Epstein drive, but it may come to be as the Ebrahimi Drive an engine inspired by fusion reactors and the power of Solar Coronal Mass Ejections.)
スペースX・スターシップ [SN9]、飛行に成功するも着地に失敗
2月2日(火曜日/現地時間)午後2時25分15秒、スターシップ[SN9]は、スペース Xのテキサス州キャメロン郡ボカチカ発射基地から打上げられた。前回昨年12月のスターシップ[SN8]の打上げと同様、3基のラプター・エンジンで上昇を開始。予定した順序に従って、1分58秒後に1基のエンジンを停止、続いて3分26秒後に2基目のエンジンを停止、上昇を続け4分51秒辺りで3基目をカットオフした。そして高度約10 kmに到達。降下の前に([SN8]で問題となった)ヘッダー・タンクへ着陸用燃料を移し終えた。(0n Tuesday, February 2, Starship [SN9] completed second high-altitude flight test followed by [SN8] from launch site in Cameron County, Texas. Similar to the [SN8], [SN9]was powered through ascent by three Raptor engines, each shutting down in sequence prior to the vehicle reaching approx. 10 km altitude. [SN9] performed a propellant transition to the header tank, which hold landing propellant, before reorienting itself for reentry and a controlled aerodynamic descent. On final stage of the flight, during the landing maneuver, one of the engine did not relight and caused [SN9] to crash landing.)