本稿は、豊島典雄氏の寄稿である。マスコミでは派閥の動向が報じられる。政治改革で、中選挙区制の廃止、小選挙区制の導入となり、原理的には、選挙資金も選挙運動も党が責任を持って集めたり進めたりする「党営選挙」になるのだから、派閥の存在は必要ないはずだ。しかし、派閥は無くならない。“派閥均衡人事”の言葉が示すように、各派閥の勢力に比例して大臣などのポストが割り振られてきた。また、政治家としての出世も、派閥抜きでは語れない。かつての派閥抗争の迫力は消え失せたが、派閥は今でも天下取りを狙う者には、力強い基盤なのだ。