航空自衛隊次期主力輸送機で機体構造強度不足


ー地上での加圧試験中に後部貨物扉損壊ー

 

2014ー1ー18     小河正義

航空自衛隊の次期主力輸送機として開発中の川崎重工Cー2、双発ターボファンジェット機で機体構造強度の欠陥が明らかになった。防衛省は地上試験中の機体で、設計強度限界以上に加圧する地上試験の過程で、機体の後部貨物扉の損壊の事実発生を公表した。同機の開発は開発過程のトラブル続きで実用化がすでに3年遅延、今回の欠陥問題で更に先延ばしされよう。

問題の試験は1月7日、防衛省技術研究本部が、機体を製造している岐阜県各務原市の川崎重工工場で実施していた。機体の構造強度が飛行中の安全に耐えるか、設計で想定した限界の1・5倍に加圧して胴体部分で行なった。ところが1・2倍に加圧した段階で後部の貨物扉が損壊のうえ地上に落下。接合部分等にも損傷が生じた。機体構造強度が設計の想定より弱体である事が明白になった。

航空機は機体構造、主翼について実用機として供する前に設計荷重以上で加圧し、強度を確認する。今回、Cー2型機は最重要なテストで”落第点”を取った事になる。今後、原因を究明し、早急な対応策が求められる。今回のトラブルで航空自衛隊が目指す現有の双発ジェット輸送機、川崎重工C−1型機からの機種転換スケジュールに狂いが生じるのは間違いない。

Cー2型機は航空機の国産化路線の目玉の一つ。海上自衛隊向けの次世代対潜哨戒兼偵察機、P−1と同時並行で開発に着手。Pー1型機は実用化テストがほぼ終了し実戦化が間近い。しかしCー2型機はこれ迄技術上のトラブル相次いでいた。

Cー2型機は全長:43.9㍍、全幅:44.4㍍、全高:14.2㍍とC−1型機より一回り大きい。搭載エンジンは米GE製のターボ・エンジン。

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[(川崎重工)航空自衛隊次期主力輸送機、C−2]

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[(川崎重工)航空自衛隊の現在の主力輸送機、C−1]

4.0.1 JP

 

[(川崎重工)航空自衛隊岐阜基地と隣接する川崎重工各務原工場]

 

以上