令和8年4月、我国周辺での中露軍活動と我国/同盟諸国の対応



2026年5月7日(令和8年) 松尾芳郎

令和8年4月、我国および台湾周辺における中露軍の活動はほぼ以前の水準に戻りつつある。これに対し我国および同盟諸国は、警戒を緩めることなく抑止力強化に努めている。

(China’s PLA military drill near Japan and Taiwan territorial space in April get back to normal, Russian’s are no change. The panic of purging on PLA’s management looks like became to ease, which could be behind. Japan and allies are putting defensive act against the hostiles. Following are the details of major issues.) 

防衛省および各幕僚監部、米第7艦隊などが発表した3月における我国周辺の中露両軍の軍事活動および我国と同盟諸国軍の対応は以下の通り。

中露、北鮮軍の動向

  • 4月7日 統合幕僚監部発表 4月7日昼間、ロシア軍情報収集機[Il-20] 1機が日本海上空・北海道から新潟県沖合まで飛来、沿海州方面に立ち去る

4月7日の昼間、ロシア軍情報収集機[Il-20] 1機がシベリアから飛来、北海道から新潟県沖の日本海を飛行、佐渡島北東で変針大陸に向け立ち去った。

図1:(統合幕僚監部)「Il-20」情報収集機は、監視・偵察(surveillance, reconnaissance)を任務とする4発ターボプロップ機、1968年3月初飛行、19機が製造された。[ELINT] (electronic intelligence)および[COMINT] (communication intelligence)用電子機器を搭載する。胴体下の葉巻型円筒は「側方監視レーダー (SLAR=side looking radar)」、胴体側面には大型のカメラ内蔵のドーム、機首頂部には衛星通信アンテナドーム2個が見える。離陸重量は64 ton、乗員13名、航続距離6,200 km。

図2:(統合幕僚監部)[Il-20]情報収集機の航跡。

  • 4月10日、13日、 統合幕僚監部発表 中国海軍ドンデイアオ級情報収艦 (799)が対馬海峡を南下東シナ海から大隈海峡を抜け太平洋へ

4月9日深夜から翌10日にかけて、中国海軍ドンデイアオ級情報収集艦(799)が、日本海から対馬海峡を抜け東シナ海に入り、11日には鹿児島県草垣列島沖から大隈海峡を通過し太平洋に向け航行した。

本艦は3月29日に東シナ海から対馬海峡経由日本海に入った艦である。

図3:(統合幕僚監部)ドンデイアオ級情報収集艦(799)「金星号」、2018年就役の鑑。別名「815型電子偵察船」。同級は改良型を含み9隻ある。満載排水量6,000 ton、長さ130 m、速力20 kts、艦尾にヘリ発着甲板、中央に大型レーダー/1000 km範囲の弾道ミサイル追跡用、艦橋に小型追跡レーダー/対艦巡航ミサイル追跡用、を装備する。

図4:(統合幕僚監部)ドンデイアオ級情報収集艦(799)の航跡

  • 4月20日 統合幕僚監部発表 4月19日昼間、中国海軍ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(133)、ジャンカイII級フリゲート(577)が鹿児島県横当島と奄美大島の間を通過太平洋へ

4月19日の昼頃中国海軍ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(133)、ジャンカイII級フリゲート(577)が奄美大島と横当島の間の海峡を抜け東シナ海から太平洋に向かった。その後4月22日に与那国島―西表島間海峡を通り東シナ海に戻った。詳しくは「4月22日発表」の項目を参照する。

  • 4月21日 AFP=時事報道 4月19日、北朝鮮は複数の短距離弾道ミサイルを発射、クラスター弾の威力を試験

4月19日、北朝鮮は複数の短距離弾道ミサイルを発射、クラスター弾の威力を試験した、と20日の北鮮国営メデイアが報じた。朝鮮中央通信(KCNA)によると試験は金正恩総書記の立会いで行われ、「火星11型」弾頭に収められたクラスター弾および地雷の威力を検証した。ミサイル本体は[KN23]系列と思われる。

発射された弾道ミサイルは5発で、発射地点から136 km離れた日本海沿岸の島に打ち込まれた。金総書記は「試験結果に大きく満足し特定地域の制圧と高精度打撃能力を強化できる」と述べたと言う。

最近数週間で北朝鮮は、弾道ミサイル、対艦ミサイル、クラスター弾と新しい兵器の試験を続けている。韓国では「このシステムが実戦配備に近づいていると、警戒を強めている。

図5:(ソウルAFP=時事)韓国・ソウルで、北朝鮮のミサイル発射試験を報じるテレビ映像。

  • 4月22日 統合幕僚監部発表 4月22日深夜ロシア海軍フリゲート2隻(333) (343)と補給艦が与那国島―西表島間の海峡を通過東シナ海に

4月22日早朝深夜、ロシア海軍ステレグシチー級フリゲート(333)(343)及びドウブナ級補給艦1隻の計3隻が太平洋から与那国島-西表島間海峡を通り東シナ海に入った。

図6:(統合幕僚監部)ステレグシチー級フリゲートは[20380型]、改良型は[20381型]、沿海用警備艦で2007年から配備。満載排水量2,200 ton、長さ105 m、速力27 kts、ステルス形状で閉囲型マストを装備、電子装備、武器システムが近代化されている。対艦兵器は[3M24ウラン]対艦ミサイル4連装発射筒2基を搭載、艦尾甲板にはKa-27PL哨戒ヘリ1機を搭載。写真(333)は「ソベルシェンヌイ」、2017年7月の就役。太平洋艦隊に5隻が配備中。

図7:(統合幕僚監部)(343)は「レーズキイ」2023年9月の就役。

図8:(統合幕僚監部)ドウブナ級補給艦。ソ連時代にフィンランドで建造された。満載排水量11000 ton、写真は「イルクート」?、同型艦は4隻ある。

ロシア海軍ステレグシチー級フリゲート(333)、(343)及びドウブナ級補給艦の計3隻が東シナ海から対馬海峡を抜け日本海へ入った。これら3隻は2月14日に対馬海峡を経て東シナ海に入り、2月22日に与那国島―西表島間の海峡を経由太平洋に出た後、4月22日に同じ経路を逆に進み東シナ海に入った艦隊である。すなわちこの3隻は2か月の間、太平洋あるいは南シナ海を航行していたことになる。

図9:(統合幕僚監部)2月14日~4月24日の2ヶ月間におけるステレグシチー級フリゲート(333)、(343)、ドウブナ級補給艦の航跡。

  • 4月22日 統合幕僚監部発表 夜明け前、中国海軍ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(133)、ジャンカイII級フリゲート(577)が太平洋から与那国島―西表島間の海峡を抜け東シナ海へ.。いずれも4月19日に横宛島ー奄美大島間を抜け太平洋に出たもの。

4月22日早朝、中国海軍ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(133)、ジャンカイII級フリゲート(577)は太平洋から与那国島―西表島間の海峡を抜け東シナ海に入った。これら艦艇は4月19日に奄美大島―横当島間の海峡を通り太平洋に出たものと同じである。

4月22日、これら2隻を発見、接近して警戒監視をしたのは海自佐世保基地 第5水上戦隊所属の汎用護衛艦「あけぼのDD-108」。「あけぼの」は「むらさめ」型9隻の8番艦で2002年3月就役の鑑。

図10:(統合幕僚監部)「ルーヤンIII級・昆明級/052D型駆逐艦」は、乗員280名、満載排水量7,500 ton、長さ161 m、最大速力32 kts、兵装は70口径130 mm単装砲1門、30 mm CIWS 1基、対空ミサイル用VLS 32セルを2基で、Ka-28/Z-9対潜ヘリコプター1機を搭載。艦橋の4面に平板状の346A型フェーズドアレイ・レーダー・アンテナを装備する。「ルーヤンIII級・昆明級/052D型駆逐艦」は33隻が就役中。次級は「南昌級(055型)になる。写真(133)は「包頭」2021年12月就役。

図11:(統合幕僚監部)ジャンカイII級フリゲートは、054A型/江凱II型(徐州級)、満載排水量4,050 ton 。垂直発射装置VLS  32セルを装備する。 搭載ヘリはZ-9C/Ka-28を1機。同型は40隻が就役済み、10隻が建造中。写真(577)は「黄岡」2015年の就役。

図12:(統合幕僚監部)4月19日〜4月22日のルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(133)とジャンカイII級フリゲート(577)の航跡。

図13:(海上自衛隊)護衛艦[あけぼの DD-108]は満載排水量6,200 ton、「むらさめ(DD-101)」級9隻の8番艦。2002年3月竣工、佐世保基地第5水上戦隊に所属、全長151 m、最大速力30 kts、20 mm CIWS対空機関砲2基、Mk.41 VLS 16セルとMk.48 VLS 16セル等を備える。

我国、同盟諸国の対応

  • 4月3日 陸上幕僚監部発表 令和8年1月〜2月、陸自特殊作戦群は米陸軍特殊作戦コマンドと米国内で実動訓練を実施

陸自特殊作戦群は1月=2月の間、米国で米陸軍特殊作戦コマンドと実動訓練を行い、陸自特殊作戦群の技量向上を図った。

米陸軍特殊作戦コマンド「USASOC=US Army Special Operations Command (Airborne)」は、米陸軍の特殊作戦軍を統括する組織。隷下に「第1特殊作戦コマンド・空挺部隊/グリーンベレー(1st Special Forces Command (Airborne))、「心理作戦グループ(Psychological Operations Groups)」、「第95民事活動旅団 (95th Civil Affairs Brigade /Special Operations/Airborne)」、「第528後方支援旅団 (528th Sustainment Brigade (Special Operations / Airborne))、「米陸軍特殊作戦航空コマンド (U.S. Army Special Operations Aviation Command / Airborne)」、「第75レンジャー連隊 (75th Ranger Regiment)」、その他で約34,000名で構成され、基地はノース・カロライナ州フォート・ブラッグ(Fort Brag, North Carolina)にある。

陸自特殊作戦群は、米陸軍特殊作戦コマンド、英陸軍の特殊空挺部隊(SAS)、ドイツ陸軍のKSKなど各国の特殊作戦部隊を参考にして2004年に設立され、習志野駐屯地に本部を置いている。2026年度予算で、「中央即応連隊」と統合して一体運用する「特殊作戦団」に改変することが決まった。隊員は一般公募で、3曹以上、36歳未満、レンジャー素養試験に合格する体力を有し、空挺基本降下課程・特殊作戦課程の履修が必要とされる。発足時は人員約300名だったが現在規模は不明。

4月3日 陸上幕僚監部発表によると、陸自特殊作戦群は、昨年(2025)7月にオーストラリアでオーストラリア陸軍特殊作戦コマンド(SOCOMD)およびカナダ陸軍特殊作戦コマンド(CANSODCOM)と「日豪加3国合同実動訓練」を実施した。

オーストラリア陸軍の「SOCOMD」は、「第2特殊空挺連隊」、「第1・第2コマンド連隊、「特殊航空支援部隊」などを配下に持ち、アフガニスタン戦争で実戦経験を持つ。

  • 4月3日 米第7艦隊発表 4月3日、米海軍[EA-18G]グラウラー電子戦機と海上自衛隊[UP-3D]電子戦訓練支援機が日本海上空で共同訓練

4月3日米第7艦隊は、青森県三沢基地に駐留する第135電子攻撃飛行隊(VAQ-135)所属の[EA-18G]グラウラー電子戦機が、海上自衛隊の岩国基地・第81航空隊・第812飛行隊所属の[UP-3D]多用機と日本海上空で共同訓練を実施した、と発表した。

[EA-18G]は空母搭載用の電子戦機。搭載する電子戦装備システムは、ノースロップ・グラマンが担当している。翼端の広帯域レシーバー[ALQ-218]で敵レーダー電波を探知・胴体下面のALQ-99ジャミング・ポッドで妨害するのが基本任務。

[UP-3D]は艦艇の電子線訓練に使われている多用機。電子装備の内容は不明。

図14:(U.S. Navy)電子戦機「EA-18G」グラウラー(Growler)はボーイング製。[F/A-18F] Block II戦闘攻撃機をベースに電子戦機に改造した。2007年9月から海軍に納入、2021年3月から「F/A-18F Block III」対応の改修機が納入されている。性能諸元は、翼幅13.6 m、長さ18.3 m、高さ4.9 m、離陸重量30 ton、エンジンは[F414-GE-400]ターボファン推力62.3  kN(アフトバーナ不使用)/ 98 kN(アフトバーナ時)。最大速度マッハ1.8(1,900 km/hr)、航続距離1,570 km。乗員2名。米海軍は153機を運用、オーストラリア空軍が12機を使っている。

図15:(海上自衛隊)多様機「UP-3D」は川崎重工製、[P-3C]哨戒機をベースにした機体で、電子戦訓練、電子戦に使用している。3機製造された。速力365 kts、翼幅30.4 m、長さ32.7 m、高さ10.3 m、離陸重量56 ton、[T-56-IHI-14]ターボプロップ4,900 hp を4基搭載。乗員は8名。

  • 4月3日 陸上幕僚監部発表 令和8年度陸上自衛隊の主要訓練・演習の日程

陸上自衛隊の令和8年度(2026)に行う主要訓練・演習の日程が発表された。

  • 4月3日 陸上幕僚監部発表 米陸軍・比陸軍と陸自部隊は4月〜5月にルソン島で実働訓練「Joint Pacific Multinational Readiness Center 2026」を実施

4月6日~5月20日の間、陸上自衛隊は、米太平洋陸軍主催の実働演習[Joint Pacific Multi-national Readiness Center 2026]に参加、新領域を含む環境下での作戦・戦闘の遂行能力の向上を図り、同時に同盟国との連携強化をする。

演習場所は、フィリピン国のタルラック州セラブ演習場、同州キャンプ・オドネル、及びヌエバ・エシハ州フォート・マグサイサイ基地。

参加部隊等は、陸上自衛隊が第12旅団、電子作戦隊、対特殊武器衛生隊など。米陸軍から、第25歩兵師団(オーストラリア陸軍及びニュージランド陸軍部隊が米軍の一部として参加)。フィリピン陸軍から第7歩兵師団、などが参加している。

陸自第12旅団は東部方面隊直轄の旅団で、群馬県相馬原駐屯地を本拠にする空中機動をする陸自唯一の機動旅団である。兵員は約4000名、編成は第2・第13・第30普通科連隊、第12ヘリコプター隊、第12偵察戦闘大隊、第12高射特科隊。第12偵察戦闘大隊は「16式機動戦闘車」で編成され、今回初めてフィリピンに展開、演習に参加した。


図16:(陸上自衛隊)陸自の戦闘車両として初めてフィリピンに展開した「16式機動戦闘車」。車体は三菱重工製で日本製鋼所製105 mmライフル砲を装備する。重量は26 ton、空自「C-2」輸送機で空輸可能。2016年度から2025年度までに255輌が調達された。2022年に行われた後継機の選定で、基本性能が優れるフィンランドの「パトリア(Patria) AMV (Armored Modular Vehicle)が選ばれ、日本製鋼所がライセンス生産する(810輌)ことが決定。

  • 4月6日 海上幕僚監部発表 4月5日、海自外洋練習航海部隊護衛艦「あさひ」はベトナム海軍哨戒艇とダナン沖で共同訓練を実施

令和7年度外洋練習航海部隊は、4月5日、ダナン沖でベトナム海軍と共同訓練を実施した。参加したのは、海自護衛艦「あさひ (DD-119)」とベトナム海軍哨戒艇「HQ-227」である。

図17:(海上幕僚監部)ベトナム海軍哨戒艇「HQ-277」。ウクライナの支援で6隻建造した[TT-400TP]型の1隻。満載排水量455 ton、速力32 kts、兵装は76 mm  AK-176艦載砲1門、30 mm CIWS AK-830 1基などを備える。

図18:(海上自衛隊)海自護衛艦「あさひ(DD-119)」は、満載排水量6,800 ton、長さ150 m、速力30 kts、主な兵装は、20 mm CIWS 2棊、VLS  32セル1基、62口径5 inch砲、多機能レーダー、曳航式パッシブソナー。同級艦は「しらぬい(DD-120)」。

  • 4月14日 統合幕僚監部発表 陸海空自衛隊は4月20日-5月8日の間、米比主催多国間共同訓練「バリカタン26」に参加

「バリカタン26」はアメリカ・フィリピン共催の多国間訓練で、参加国はアメリカ・フィリピン・日本・オーストラリア・カナダ・フランス及びニュージランドの各国。期間は4月20日から5月8日まで。参加人員は、全部で17,000人に達する。

バリカタン訓練内容は、多国間海上訓練、水陸両用戦訓練、対着上陸射撃訓練、対艦戦闘訓練、総合防空ミサイル防衛訓練など多岐にわたる。これまでは自衛隊はオブザーバーとして参加していたが、今回から陸海空から装備・人員を派遣、各種実働訓練に参加、約1400名を派遣、本格参加する。

海上自衛隊からヘリ空母「いせ(DDH-182)」、護衛艦「いかづち(DD-107)」6,100 ton、輸送艦「しもきた(LST-4002)」13,000 ton、C-130H輸送機、US-2救難飛行艇などが参加している。また2026年3月に佐世保で創設したばかりの「水陸両用戦機雷戦群」(主任務は掃海・水陸両用戦支援)が参加している。

陸上自衛隊から、佐世保基地「水陸機動団」が参加している。「水陸機動団」は2024年に第3水陸機動連隊が新編されて3個連隊、兵員3,000名の編成が完了した。北部方面隊隷下の第1特科団「地対艦ミサイル連隊」(3個連隊がある)が、配備中の「88式地対艦誘導弾」を携行、さらに富士学校、などが参加している。

航空自衛隊からは航空支援集団などが参加している。

共同訓練では、艦艇等による海上機動から、エアクッション艇(LCAC)、水陸両用車輌(AAV-7)、等による着上陸、陸上作戦の遂行までの一連の訓練を実施している。

なお、海自参加の「ヘリ空母「いせ(DDH-182)」、護衛艦「いかづち(DD-107)」6,100 ton、輸送艦「しもきた(LST-4002)」13,000 ton、の3艦は次項に述べる「令和8年度インド太平洋方面派遣(IPD 26)」艦隊の「第1水上部隊」に所属、「バリカタン26」に続いて地域各国を訪問、共同訓練を行う予定。

図19:(海上自衛隊)東シナ海を航行するヘリ空母「いせ(DD-182)」満載排水量19,000 ton、全長197 m、幅33 m、速力30 kts、搭載機はSK-60J/K哨戒ヘリコプター3機、MCH-101輸送ヘリコプター1機など最大11機を搭載できる。レーダーは「FCS-3」多機能型を1基。兵装は20 mm機関砲CIWSを2基、Mk.41 VLS対空ミサイル16セルを装備する。同型艦「ひゅうが(DDH-181)」の2番艦。

図20:8統合幕僚監部)「バリカタン26(肩を並べて)」演習で「肩を並べて」編隊航行をする各国艦隊。

  • 4月14日 海上幕僚監部発表 4月13日〜9月16日の間、海自令和8年度インド太平洋方面派遣[IPD 26] を実施 

「令和8年度インド太平洋方面派遣 (IPD 26-Indo-Pacific Deployment 26)」は、4月13日〜9月16日の間、域内各国を訪問、それぞれの海軍と共同訓練を実施し、相互理解と信頼関係の強化を図り、平和と安定に寄与する。派遣部隊の編成は次の通り。

第1水上部隊:

ヘリ空母「いせ(DDH-182)」、護衛艦「いかづち(DD-107)」6,100 ton、輸送艦「しもきた(LST-4002)」13,000 ton

配下に「第1水上分隊」として護衛艦「いかづち(DD-107)」を当てる。「いかづち」は4月17日に東シナ海から台湾海峡を通過、南シナ海に入り演習に参加した。

第2水上部隊:

空母「かが(DDH-184)」26,000 ton、護衛艦「ふゆづき(DD-118)」6,800 ton、補給艦「ましゅう(AOE-425)」25,000 ton

配下に「第2水上分隊」として護衛艦「ふゆづき(DD-118)」6,800 tonを当てる。

第3水上部隊:

護衛艦「こんごう(DDG-173)」9,500 ton (海自最初のイージス・システム搭載艦)

  • 4月14日 海上幕僚監部発表 4月13日。海自護衛艦「あさひ」はマレーシア海軍と共同訓練 [MALPAN] を実施

4月13日、海自護衛艦「あさひ」は、南シナ海でマレーシア海空軍と、対空戦闘を含む戦術訓練、クロスデッキ、通信訓練などからなる「日本・マレーシア共同訓練[MALPAN]」を実施した。マレーシアからは、海軍から哨戒艦「スランゴール」、多用途ヘリ「AW139」、空軍から軽攻撃機「Hawk Mk 208」が参加した。

「MALPAN』訓練に先立って4月10日から13日にかけて、護衛艦「あさひ」はマレーシアの領土・ボルネオ島/東マレーシア北部の「コタキナバル(Kota Kinabalu」」港を訪問、親善活動を行なった。

図21:(Wikipedia)東マレーシアのコタキナバルの位置。

図22:(Royal Malasian Navy)マレーシア海軍哨戒艦「スランゴール(KD-Selengor) F-176」(手前)と並走する海自護衛艦「あさひ (DD-119)」。「あさひ」については図18を参照。

哨戒艦「スランゴール(KD-Selengor) F-176」は、ドイツ海軍向けにBlohm + Voss社が開発した「MEKO / A-100」別名「クダ級哨戒艦(Kedah class offshore patrol vessel)」で6隻建造されたうちの1隻である。基準排水量1,650 ton、長さ90 m、速力24 kts、兵装は口径76 mm速射砲1門、Super Lynx 300ヘリコプター1機を搭載する。

  • 4月15日 海上幕僚監部発表 4月21日〜29日の間海自水中処分隊はグアム等周辺海域で米海軍と日米掃海特別訓練を実施

4月21日〜29日の間、海自「水陸両用戦機雷戦」群所属の「水中処分隊」隊員はグアム島周辺で米海軍と共同で機雷処分訓練を実施した。グアム島周辺での総会訓練はこれで3回目となる。

海自「水陸両用戦機雷戦」群は、2026年3月に長崎県佐世保に新設された「機雷掃海と水陸両用戦支援」を任務とする組織。7個「機雷戦隊」で構成され、佐世保には「第3機雷戦隊」が設置され、掃海艇「ひらしま(MSC-601)」級3隻と「佐世保水中処分隊」で構成されている。

  • 4月17日 統合幕僚監部発表 2025(令和7年)度緊急発進状況

2025年度(令和7年度)( 2025年4月-2026年3月)の緊急発進は595回、対中国機が61 %、対ロシア機が36 %だった。特異事項は12月に中国空母が沖縄本島東方の太平洋上に展開、大規模演習を行った事。この際中国J-15戦闘機が監視に当たっていた空自F-15戦闘機にレーダー照射を断続的に行った。また、同月に中国軍爆撃機[H-6K] 2機とロシア軍爆撃機[Tu-95MS] 2機が、宮古海峡を通過太平洋に出、四国沖まで飛来した事、が挙げられる。

詳しくは「TokyoExpress 2026-1-12 令和7年12月、佐賀国周辺での中露群活動と我国/同盟諸国の対応」に既述済み。

図23:(統合幕僚監部)2025年度における中露軍機の活動状況/航跡を示した図。

  • 4月17日 読売,on line 報道 海自護衛艦「いかづち(DD-107)」が台湾海峡通過、東シナ海へ

台湾有事を巡る高市首相の発言(2025年11月)以降初めて海自艦が台湾海峡を通過した。通過したのは「いかづち(DD-107)」である。国際法上の「航行の自由」を重視する立場に変わり無いことを示す狙いがある。

海自艦の台湾海峡通過は2024年9月、2025年2月及び6月に続いて4回目になる。「いかづち(DD-107)」は海峡通過後、南シナ海で行われる前述の米比主催の多国間共同訓練「バリカタン26」に参加している。

図24:(海上自衛隊)「いかづち(DD-107)」は、「むらさめ」級9隻の7番艦.で2001年に3月に竣工、横須賀基地第1水上戦隊に配属。詳しくは既述の護衛艦「あけぼの(DD-108)」説明を参照する。

  • 4月26日 Northrop Grumman社報道 マッハ5級ミサイルを滑空段階で撃墜する迎撃ミサイル[GPI]を日米で共同開発

米国大手の軍需企業「ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)」は、2026年4月15日、極超音速ミサイルの脅威に対抗するための迎撃システム「滑空段階迎撃ミサイル(GPI=Glide Phase Interceptor)」の開発を急いでいると発表した。2028年までに「予備設計審査(PDR=Preliminary Design Review)」完了を目指している。

「GPI」は音速の5倍以上で軌道変更しながら来襲する敵弾道ミサイルを迎撃する防衛システムで、複雑な軌道をとる滑空段階で迎撃する。ノースロップ・グラマンが提案した設計コンセプトに基づいて日米共同開発が進められており、日本側の部品開発は三菱重工が担当し、「弾頭/キルビークル(Kill Vehicle)」の「操舵装置」、「ロケット・モーター」、「シーカー・ウインドウ(seeker window)」、「3段部分の姿勢制御装置」、「2段部分のロケット・モーター」を担当している。

ノースロプ・グラマンによると、開発チームは現在、極低温環境でのシミュレーション、段間分離機構(Interstage Separation System)、などの試験を行っている段階という。また、ミサイル駆逐艦(イージス艦)が搭載している武器管制システム「イージス・ウエポン・システム(AWS-Aegis Weapon System)」とのモデル統合を進めているので完成すればイージス艦からの迎撃発射が可能になる。

図25:(Northrop Grumman) ノースロップグラマンが三菱重工と協力、開発中の「滑空段階迎撃ミサイル(GPI=Glide Phase Interceptor)」の想像図。

  • 4月20日 第7艦隊発表 オーストラリア、カナダ、アメリカ3カ国海軍は南シナ海で共同演習

4月12日〜18日の間、南シナ海で、オーストラリア海軍、カナダ海軍、米海軍は自由で平和なインド・太平洋を実現すべく共同演習を行った。参加したのは、オーストラリア海軍フリゲート「ツーウンバ(HMAS Toowoomba /FFH-156)」、カナダ空軍「スーパー・ピューマ」ヘリコプター、カナダ海軍フリゲート「シャーロット・タウン(JMCS Charlottetown/FFH-339)、および米海軍ドック型揚陸艦「アッシュランド(LSD-48)」およびアッシュランドに乗艦している「アッシュランド機動部隊」の海兵隊員が参加した。

演習は、編隊戦闘航行訓練、ヘリコプター・クロスデッキ訓練、兵員の各艦移動訓練、などが行われた。

図26:(U.S. Navy 7th Fleet) カナダ海軍フリゲート「シャーロット・タウン(JMCS Charlottetown/FFH-339)に着艦するカナダ空軍「Super Pumaヘリコプター」。

  • 4月20日 海上幕僚監部発表 4月16日〜17日、海自護衛艦「あさひ」は米第7艦隊旗艦・揚陸指揮艦「ブルー・リッジ」と南シナ海で共同訓練、第7艦隊ニュース:USS Blue Ridgeが西太平洋で同盟国海軍と訓練

4月16日、17日の両日、海自令和7年度概要練習航海部隊に所属する護衛艦「あさひ(DD-119)」は南シナ海海空域で、米海軍の揚陸指揮艦兼第7艦隊旗艦「ブルーリッジ(USS Blue Ridge / LCC-19)」と戦術航行、通信訓練、クロスデッキ訓練を行った。

「ブルーリッジ(LCC-19)」は、3月8日に母港横須賀を出港し、沖縄、シンガポールのチャンギ(Changi)、フィリピンのマニラ(Manila)、タイのローム・チャバング(Laem Chabang)、を歴訪、パトロールのを行い、最後に護衛艦「あさひ(DD-119)と訓練を行い、総距離6,600海里を航行して横須賀に27日に帰着した。

「USS Blue Ridge / LCC-19」は、1970年11月就役、排水量19,600 ton、長さ193 m、の揚陸指揮艦(amphibious command ship)である。第7艦隊旗艦(Flag Ship)を務める。第7艦隊の指揮、管理、通信、コンピューター・システム、情報(C4I)、で艦隊指揮官とスタッフを支援する機能を備えている。「ブルーリッジ」は米海軍最古参の艦であるが2039年まで現役を務める予定である。兵装は、対空用Phalanx CIWS 2基などを備える。

図27:(海上幕僚監部)4月16・17日、南シナ海で共同訓練を終え、第7艦隊揚陸指揮艦「ブルーリッジ( LCC-19)」を見送る海自護衛艦「あさひ(DD-!!)」の乗員達。

  • 4月21日 海上幕僚監部発表 4月27日〜28日、日米海軍の哨戒機[P-1]と[P-8A]は鹿屋航空基地および九州南方海空域で共同訓練を実施

4月27、28日の両日、海自哨戒機「P-1」は米海軍哨戒機「P-8A」と鹿屋航空基地と九州南方の太平洋上で戦技向上と相互運用の強化のため、対潜水艦訓練などを実施した。

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