露海軍、地中海展開の機動部隊に"ステルス潜水艦"投入へ


2014年2月20日      ジョン・ボスニッチ(ベオグラード)

露海軍が地中海に展開中の機動部隊に”ステルス潜水艦”投入する。海軍司令官のビクトル・チルコフ提督が2月20日明らかにしたとノーボスチ通信が伝えた。時期は黒海艦隊が同型艦を受領する2015年になる見通し。米海軍の対潜水艦捜索網でも探知不可能に近い。内部で”ブラックホール・イン・ザ・オーシャン”と呼び対策に苦慮しているらしい。海軍司令官の発言は再び、混迷を深めるシリア情勢にプーチン政権がアサド体制支援のメッセージを内外へ印象ずける戦略も含まれるだろう。

チルコフ提督が言及した”ステルス潜水艦”(3.950㌧)は露海軍の通常型潜水艦『Kilo級』の性能向上型とNATO海軍が評価している。『プロジェクト636』の呼称で知られ第3世代のディーゼル電気推進方式。最大潜航深度は約300㍍で潜航時の静粛性は米海軍も舌を巻く。非公式情報では米海軍のソナーをもってしても探知可能な範囲は1/3~1/4に縮小したという。防御の為の時間的余裕が減殺される。まさに”ステルス潜水艦”の面目躍如だ。

サンクトペテルブルグの潜水艦設計局ルービンが開発。『バルシャビヤンカ』の艦名で外国からの発注が増えている。

プーチン政権は地中海に恒常的な機動部隊派遣を昨年決定した。同地域がロシアの死活的国家利害と絡むからである。現在12隻の艦船が配備され、”虎の子”のミサイル巡洋艦『ピョートル・ベリーキー』、空母『アドミラル・クズネツォフ』も含む強力艦隊。特にシリアの地中海側には唯一の常駐海軍基地、タルタスがある。アサド政権へのバックアップに地中海の機動部隊存在は欠かせない。

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[(Admiralty shipyards)ロシアの”ステルス潜水艦”バルシャビヤンカ]

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[(MoD,RF)ロシア海軍司令官ビクトル・チルコフ提督]