露軍偵察機はオバマ大統領訪日時、日本周辺で牙を剥くか?


2014年4月21日(JST.11:00)                    小河正義

露軍偵察機がオバマ米大統領訪日時、果たして日本列島周辺に姿を現すのか?日米の防衛関係者は固唾を呑んでその動静に細心の注意を払っている。露軍がウクライナ領クリミア半島を武力制圧 後、バラック・オバマーウラジミール・プーチンの関係は 最悪となっている。二人は”そり”が合わないと言われてきたが、外交専門家は『ホワイトハウスの外交指南役の中枢に反ロシアのスビグニュー・ブレジンスキー氏がいる以上当然だろう』。

オバマ政権一期目時代、隣国の友邦カナダ訪問中、ロシア爆撃機トゥポレフTu-95『ベア』が大西洋岸に接近。カナダ空軍の要撃戦闘機、CF-18『ホーネット』が緊急発進する騒ぎとなった。米露間にまだ対話チャンネルが存在していた。地元のマスコミはタイミングを計った露軍の無分別な行動に論調を荒げたことは言うまでもない。日本列島周辺では3月26日以降、4月19日迄、ほぼ連日の様に徘徊する露軍機に対し、航空自衛隊機はスクランブルで追いまくられた。小野寺五典・ 防衛相は『冷戦時にも例を見ない事態』と露軍に自省を促した。

露軍機の日本周辺での異常な動きがオバマ訪日時も継続されると『安倍総理が我慢して続けてきたプーチン大統領との親善友好関係にも水を差すだろう。米露関係の行方にも少なからず影響を与える』と見るクレムリン・ウォッチャーは多い。

航空自衛隊は自衛隊機のスクランブルについて領空侵犯や特異な事例は国民へ知らせる姿勢を堅持している。4月20日以後のスクランブルの発表は小休止状態だ。防衛省が先頃公表した前年度の緊急発進の総集編ではスクランブルの件数は810件を突破、24ぶりの800回の大台。露軍機を対象にした件数は359件、一日平均0.98件。

意地悪な見方だと、最近の動静から露軍機が日本周辺での偵察活動を、この時とばかり実行し、日米同盟に”揺さぶり”をかけることも十分推測される。あるいは、オバマ大統領が訪日中は、いたずらに日米双方の国民が不安にかられぬよう、防衛省統合幕僚監部が、公表に配慮する可能性もありうるだろう。いずれにしろ、オバマ大統領の次の訪問国、韓国への露軍の動きがその答えをくれる。