アシアナ航空機、片肺エンジンで運航制限無視の洋上飛行継続。FAAが同航空の安全格付けをダウン・グレード?


2014年5月5日(JST.22:00)                  Aaron Terruli

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図:アシアナ航空のボーイング767-300型機、現在同型機7機を運行中で写真は”Star Alliance”のマークを付けた機体。ETOPS規定を無視して飛行を続けたのはこの内の1機である。

アシアナ航空のB767-300型機が、洋上飛行中、エンジンが片肺飛行に遭遇した際の国際ルールを無視したまま、目的空港に飛行を継続していたことが判明した。航空専門メディアがこのほど報じた。事態を重視したアシアナ航空は運航乗務員の30日の飛行停止処分をきめたほか、航空当局が罰金を課したという。FAA(米連邦航空局)は昨年7月のサンフランシスコ空港で起きたB777-200型機の事故以降、同航空の安全格付けに厳しい対応で臨んでおり、『今回のケースでダウン・グレードはさけられない』(ベテラン国際線機長)情勢。

航空専門メディアが報じたところでは、双発ジェット旅客機の安全飛行の原則を踏みにじったのは仁川(インチョン)国際空港発、サイパン空港行き603便(乗客・乗員数は不明)。同便は4月19日、午前9時14分(韓国標準時)離陸。その後、九州西方の東シナ海を南下。高度、約1万㍍(35,000フィート)で水平飛行していた。突然、双発エンジンの1基が故障。片肺飛行に陥ったが、機長はそのまま飛行を継続し、サイパン空港に無事着陸。その際、機体や乗客に異常は認められなっかという。

しかし、双発ジェット旅客機が洋上の長距離飛行でエンジン1基が停止した場合、最寄りの代替空港に緊急着陸を行うルールが決まっている。FAAとJAA(欧州飛行安全庁)が合意し、ICAO(国際民間航空機関)が国際ルールとして世界の航空会社に厳守を求めている。『ETOPS(双発機による長距離進出飛行)』と呼ばれる運航規程だ。B767-200型機が適用第一号機種となり、その後、他機種にも拡大。B777型機ではごく一部を除き大半の国際線ルートで運航が可能になった。

アシアナ航空航空のB767-300型機は今回のケースで、福岡空港に、急遽、目的空港を変更し緊急着陸の手段をとる必要がある。エンジンの片方が停止に追い込まれたまま、何故に飛行を飛行計画通り継続したのかは現時点では明らかではない。安全飛行無視も甚だしい行為で、双発ジェット旅客機の飛行経験が長い機長は『想像できない判断』と驚いている。

韓国では、4月16日、カーフェリー『セウォル』(6,825㌧)が沈没。行方不明者も含め犠牲者は302人に上り、韓国中が打ち拉がれている。追い打ちをかけるように5月2日にはソウル地下鉄で列車同士の追突事故が発生。乗客、運転士等240人近くが負傷した。

『セオゥル』では、事故原因が人災で、監督官庁との癒着等、次々とスキャダンルが吹き出し、朴政権の足下を揺差ぶっている。

アシアナ航空は昨年7月6日、サンフランシスコ国際空港で仁川国際空港発のB777-200ER(乗客・乗員307人搭乗)が着陸に失敗。機体が大破炎上し3人が死亡、180人が負傷した。米国のNTSB(国家運輸安全委員会)の原因究明でパイロット・ミスがあぶり出された。

同航空は社内の安全対策を抜本的に見直す過程にある。そこへ今回の安全無視の飛行があきらかになったわけだ。韓国は交通機関など社会インフラの総点検を含む官民あげての対応に着手する必要がある。

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