2014-06-08 元・国務大臣秘書官 鳥居徹夫
■□女性都議を民主党から排除しようとする長妻昭のいやがらせ
2014年4月16日に、民主党東京都連(当時、現民進党、以下同様)に一通の内容証明郵便が届いた。
郷原信郎弁護士からである。東京都連の松原仁会長、長妻昭会長代理、小川敏夫副会長、長島昭久幹事長が、急きょ集まり対応を協議した。
郷原弁護士は、長崎地検在任中に公共工事の受注企業への奉加帳方式(自治体選挙の際の、発注元への献金要求)は違法として「自民党長崎県連事件」を立件した。
長妻昭議員が総支部長をつとめる民主党第7区(中野区、渋谷区)総支部は、民主党東京都連に「渋谷区支部の解散手続き」を要請し、東京都連も一旦は了承した。
ところが郷原弁護士からの内容証明郵便は、「民主党本部への上申停止の措置請求」であり、「法的措置も辞さない」という内容である。
結局、東京都連として「民主党本部への上申について、現時点では停止」「丁寧な対応」をとることとし、2014年6月12日に長島昭久幹事長自らが、はじめて渋谷区支部に出向いた。
当然のこととして渋谷区支部側は、東京都連の長島幹事長に「党を混乱させ、支援者を裏切り、有権者を失望させたとして、長妻は反省と謝罪すべき」と強調した。
つまり民主党東京都連の幹部は、これまで事実関係すらも正確に把握していなかったのである。
2013年6月の都議会議員選挙で、長妻昭氏が総支部長である第7区総支部は、渋谷区選挙区(定数2)に、現職で民主党渋谷区支部長の大津ひろ子都議を公認しなかった。
渋谷区支部から公認申請した大津ひろ子都議会議員の公認手続きを、タナざらしにした。
それどころか第7区総支部は、渋谷区支部から申請していない渋谷区議会議員を東京都連に申請し民主党公認とした。
現職議員が、公認されないケースは、高齢とか不祥事を起こしたというケースを除いて、民主党では初めてである。
長妻昭の妨害、いやがらせもあり、都議選で大津ひろ子都議は、公認・推薦・支持は得られなかった。しかし、民主党東京都連では「党籍証明」の扱いとなり、民主党議員や党員が大津都議を支援することも容認することとなった。
結果は、現職の大津都議が非公認で勝利し、長妻昭が推した民主党公認の新人は惨敗した。
自民党でも、非公認の候補者が公認候補者を破って当選したケースも多い。
ところが自民党では、ほとんどの場合、その議員を追加公認する。もちろん当選した議員の後援会の了承を求めるという手続きは必要であるし、そのための環境づくりに自民党も努力するのである。
しかし長妻昭は、逆に大津ひろ子都議を民主党から排除しようと工作し続けたのである。
その都議選後、大津都議は、民主党の党員であり渋谷区支部長でありながらも、党員に案内をしている都連の国政報告会や行事などの案内が、第7区総支部から来なくなった。
■□公序良俗や社会通念に反することは、「政党内の自治」を逸脱する
大津都議を民主党から排除したい長妻昭氏は、大津都議が支部長である民主党渋谷区支部の解散を図ろうとした。
そして2014年4月14日の東京都連の常任幹事会において「渋谷区支部の解散を求める民主党本部の上申」を決定した。
その手続きに入る段階になったところに、著名な郷原弁護士から民主党都連に「民主党本部への上申停止の措置請求」が出されたのである。
民主党東京都連の「民主党本部への上申決定」は、いわゆる「政党内の自治」を逸脱するものと言うのである。いかに「政党内の自治」であっても、公序良俗、社会通念に反するとか、虚偽にもとづくものであってはならないのである。
そもそも、政党支部の解散を政党本部が選管に申し立てできるケースは、支部長が死亡とか、離党、除名の場合である。ライバルを党から追放するための道具としたのが長妻昭である。
長妻昭の好き嫌いだけで、大津ひろ子都議を民主党から排除し、渋谷区支部の解散を上申するという工作は、長妻氏による党の私物化にほかならない。
これは、言うまでもなく、公序良俗や社会通念に反し、その立法趣旨にも反する。
しかも長妻氏は、大津都議や渋谷区支部に説明も協議も行う意志のないままである。
長妻氏が国会議員の議席を得てから、中野区では、現職の樋口裕子都議は刺客を立てられ落選した。そして4年後の都議選に、樋口氏は民主党公認を申請したが、長妻昭らは無視した。
さらには、渋谷区支部からなされた大津都議の公認申請を、意図的にタナざらしにした。そして刺客を立てたが返り討ちにあった。
このように女性都議を排除する長妻王朝のやり方は、まさに北朝鮮そのものであり、支持者はもとより、都民・区民の心は離れていくばかりである。
何やら長妻王朝は、側近の張成沢(チャン・ソンテク)を粛清した金正恩(キム・ジョンウン)総書記を彷彿させる。
■□非公認で当選の女性都議に、長妻氏のイジメ
2012年の総選挙で、大惨敗した民主党は政権を失った。大勝した自民党が、政権を奪還したのである。そして2013年6月の東京都議会議員選挙と、その直後7月の参議院選挙も、いずれも民主党は惨敗した。
都議選の結果は、民主党非公認の現職の大津ひろ子都議が4選を果たし、長妻氏や東京都連が推した民主党公認候補は惨敗を喫した。逆上した長妻昭らは、大津支部長を民主党から排除に向け東京都連への働きかけが本格化した。
当選した大津ひろ子都議は、民主党から公認されなかったが、民主党渋谷区支部の現職の支部長である。
2013年12月に、民主党の東京都連は「渋谷区支部の現支部長(大津ひろ子都議)が資格要件を欠いている」とし、「解散手続きに入るように当該支部と協議すること」などを提示した。
しかし、民主党組織規則(第18条-2)は、「行政区支部の代表者は、党籍を有する地方議員が務める」となっており、「現支部長が資格要件を欠いている状況」との指摘は当たらない。
東京都連が「当該支部との協議」を求めた理由は、「現支部長の資格要件」であり、それ以外にはないのである。
そこで渋谷区支部は、「長妻総支部長に渋谷区支部に来ていただき、直接説明と協議」を行う要請を、口頭で1回、文書で5回行ったが、その返事すらなされていない。
なぜなら、長妻側に正当性が全くなく、説明が不可能だからである。
そのため第7区総支部(長妻昭総支部長)は2013年3月に、長妻愚連隊の渋谷区議4名からの提案という形で「渋谷区支部の解散」を、東京都連に上申することを決定した。
これらは、当然のこととして長妻氏や民主党への不信となって返ってきている。
2014年3月6日に東京都議会の本会議で、その大津ひろ子都議が代表質問に立った。一人会派の枠であり、セクハラヤジが話題となった塩村問題の以前である。
質問が終わると民主党席から拍手が起こった。
自民党席から「民主党は公認しなかったのだろ」「民主党に戻るなよ」とのヤジが飛び、舛添知事もアッケにとられる異様な活況であった。(敬称略)
【追記】(2019.9.8)
大津ひろ子都議は、長妻らの陰湿ないじめにも関わらず、民主党を離党することはなかった。
当然のこととして東京都第7区総支部(長妻昭総支部長)に、党員継続の申請手続きをしていたが棚ざらしにされた。そのため岡田克也総支部(三重県3区総支部)で党員継続の手続きを行った。つまり所属支部を変更したのであった。
2017年の都議選で大津ひろ子都議は、民進党籍がありながらも無所属で都民ファーストと公明党の推薦となり5回目の当選を果たした。そして民進党の公認候補者は惨敗した。
都議選の直後に都民ファーストに追加公認されるまで、大津ひろ子都議は民主党・民進党の党員であったのである。