ロシア、中国が長距離用、広胴型旅客機共同開発を近く開始(No1)


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[(Illyushin  JSC)プーチン大統領専用の露製広胴型機、IL96-300PU] 10524353e8f8a029749e0b691c2b05ae

[(Illyushin JSC)露製唯一の広胴型旅客機IL96-300]

2014年6月8日(JST.18:30)  John Bosnitch

ロシアと中国が新たに長距離用、広胴型旅客機の共同開発プロジェクトで最終合意に達し、近く基本設計等に着手する。航空宇宙、防衛産業を統括するドミトリー・ロゴージン副首相がこのほど明らかにした。

この分野では、ボーイング、エアバス2社で世界市場を制覇。付け入る隙は皆無に近いと見られるが、同副首相は『中国は人口、13億人の航空マーケットが存在。中国の旅客機製造が幼年期にある』とのべ、計画推進は無謀ではなく成算ありとの見方を示した。 同時に、両国は同時並行で露製大型ヘリ、Mil-26を改良し15㌧の輸送能力を持たせるとという。

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[(Mil Helicopter)輸送能力を15㌧搭載へ引き上げるミルMil-25T]

露中両国が最終合意した新広胴型機がボーイングの次世代省エネ機、B787、B777-X、エアバスA350XWB型機を念頭に置いていることは想像に難くない。こうした機種の潜在需要は燃費向上、騒音軽減で5,000機以上と推定される。黙って指をくわえるだけだと、両国の使用機材は欧米製が完全に押さえ込むことになる。防衛部門だけでは自国の航空宇宙産業が”じり貧”状態に陥りかねない。

実際、ロシアの場合、人的資源、研究組織いずれも、世界トップの米国と肩を並べる実力を秘めている。ボーイング社が冷戦終結直前、モスクワの中心部に『モスクワ・デザインセンター』の開設を決断。現在、間接雇用を含めロシア人研究者、エンジニア1,600人を活用する迄規模を拡大したのがそれを証明する。

B787型機の開発でも露人の頭脳は活躍したという。『優秀な人材輩出の根っこに強力な基礎研究組織の存在を見逃してはならない』(欧米の航空アナリスト)。モスクワ郊外、ジューコフスキー市のTsAGI(流体力学研究所)、CIAM(動力推進装置研究所)の存在。軍民双方で優れた機体を生み出す原動力となったという。

今回最終合意した次世代広胴機共同開発プロジェクトは露側の頭脳と中国側の開発資金負担が補完し合うと見ていいだろう。露貿易産業省のユーリー・シュリューザール副大臣は『70~80億ドル』と推定している。

基本合意文書はさる5月の上海でのプーチン・習近平首脳会談で締結済み。細部をつめる交渉が続いていた訳だ。

–以上−