宇宙空間を飛行中の模擬弾頭を地上配備型、迎撃ミサイルが撃破に成功


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[(US MDA)宇宙空間を飛行中の模擬弾頭を撃破したGMD迎撃ミサイルの発射の瞬間]

2014年6月23日(JST.23:50)                                Aaron Terruli

MDA(米国防総省ミサイル防衛局)が地上配備型迎撃ミサイルで、宇宙空間を飛行中の模擬弾頭撃破に成功した。MDAが6月22日、発表した。中部太平洋 マーシャル群島、クジェリン環礁から発射した仮想弾道ミサイルを、カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地の迎撃ミサイルが見事命中、超高空で撃破したという。ジェームス・シリング局長は『意義ある成果だった』と実験に加わった陸海空の要員を賞賛した。

実験が行われたのは6月22日午後2時49分(米東部標準時)。仮想弾道ミサイル発射6分後に、地上配備型迎撃ミサイルが発射された。

同実験に参加したのは、弾道ミサイル発射の瞬間から探知追尾するレーダー基地。具体的には、アラスカ州の大型フェーズド・アレー・レーダー、海上配備のXバンド・移動レーダー基地、海上に展開したアーレイ・バーク級イージス駆逐艦『ホッパー(HOOPER)』のAN/SPY-1レーダー。

米西部コロラド州シュリーバー空軍基地に駐屯する米陸軍、第100ミサイル連隊、遠隔操作で迎撃ミサイル発射を担当した。こうした基地間のデーターリンクにC2BMCシステムを活用。

最新の弾道ミサイル軌道情報と、迎撃ミサイルの弾頭接近誘導データが、リアルタイムで激しく行き交った。迎撃ミサイルは3段式個体ロケット。相手に命中させる事で運動エネルギーで相手を破壊する。

MDAが実戦化を急ぐミサ入り防衛網システム中、音速の十数倍で数百㌔上空の宇宙空間を飛行中の敵核弾頭をピンポイントで捉える最も複雑かつ精確な『ミッドコース迎撃』段階をまかされている。

2001年以降、MDAの実験は今回で65回目の成功だ。ミサイル防衛網を”金食い虫”との批判は一部に絶えないが、実態は着実に成功の階段を上りつつある。ロシアが米国のミサイル防衛網の構築に警戒する所以である。

海上配備のミサイル防衛網は、イージス艦で既に輝かしい戦歴を残す。地上配備型ミサイル防衛網が完全にものになるとき、米国は核装備の”弾道ミサイル奇襲攻撃の悪夢”を解き放ち鬼に金棒となろう。

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[(US MDA,Boeing)地上配備型迎撃ミサイルが宇宙空間で敵弾頭に直接衝突、撃破した瞬間]