北朝鮮、日本海へ向け短距離弾道ミサイル、2発を発射


2014年6月29日(JST.20:50)                     小河正義

北朝鮮が、日本海へ向け短距離弾道ミサイル、2発を発射した。小野寺五典防衛相も6月29日午前、2回の緊急記者会見で事実を確認した。同ミサイルは旧ソ連が開発した『スカッド(SCUD)』と見ている。射程は500㌔と推定される。落下地点は日本海中部の海上。ミサイル発射に関する事前の航行警報(NOTAM)などは例によって一切、発出していない。日本政府は、外交ルートを通じ、北朝鮮に対し厳重に抗議した。7月3日、開催予定の拉致問題などの日朝政府間協議は変更が無い。

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[(USAF、LOCKHEED MARTIN)宇宙空間で弾道ミサイル発射を瞬時に捉える、米空軍の最新型早期弾道ミサイル警戒衛星”SBIRS”]

小野寺防衛相によると発射時間は、6月29日、午前5時頃。発射場所は北朝鮮東岸の元山(ウォンサン)付近だと言う。発射したミサイルの数は複数と言葉を濁したが、『米国の弾道ミサイル早期警戒網は2発だった割り出している』(在京国際軍事筋)と言う。米空軍が運用中の宇宙空間から弾道ミサイル発射を警戒、監視する早期警戒衛星は赤外線追尾で、発射直後の噴射炎の特性分析で、ミサイルの種別を識別できると言われる。『SBIRS』と呼ばれ、6個の静止衛星でネットワークを組むが、運用中の2基の能力は予想以上とワシントンの軍事情報専門家は打ち明ける。

同時に、イージス艦のSPYレーダー、Xバンド利用の陸上配備長距離レーダーの情報を統合すれば、北朝鮮の弾道ミサイルの航跡は確実に捕捉できる。安倍内閣の集団自衛権の閣議決定が成立すれば、日米の弾道ミサイル警戒網は更に磨きがかかるだろう。

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[(海上自衛隊)イージス護衛艦の弾道ミサイル発射探知、追尾、迎撃ミサイル誘導を司るSPYレーダーのクローズアップ]

北朝鮮の弾道ミサイル発射情報を受けて、安倍首相は防衛省に対し、船舶、航空機の航行の安全確保を期し更なる情報の収集分析を指示した。北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射は今年に入って今回が3回目。

発射方向が、日本海で日本を標的にしたとの推測もあるが、射程距離から、むしろ同ミサイル発射は、中国人民解放軍、瀋陽の弾道ミサイル部隊への一種の警告と見る向きがある。習近平国家主席が、”敵視”する韓国を来月訪問する事に、金正恩第一書記は心穏やかではないという。