露海軍、新型原潜2隻を就役。"静粛化"で欧米の探知能力に新たな脅威。


2014年7月26日(JST.19:30)                                 John Bosnitch

露海軍がSLBM原潜など新型原潜2種類を就役させた。静粛化技術の進歩で、欧米海軍の探知能力に新たな脅威となる。露海軍記念日を待たず実戦配備についた事は、ウクライナ情勢緊迫後の欧米の対露攻勢への回答だろう。

露の有力メディア、ノーボスチ通信によると、就役した2種類の新型原潜は、ボーレイ級SLBM原潜『アレクサンドル・ネフスキー』(排水量14,720㌧)と攻撃型原潜ヤーセン級『セベロドビンスク』(排水量8,600㌧)。いずれも建造1番艦。

『アレクサンドル・ネフスキー』は新型SLBM『ブラーバ(BULAVA)』、を16~18基搭載する。同ミサイルは固体燃料推進の三段ロケット。射程距離8,000㌔以上でオホーツク海やバレンツ海から潜航したまま直接米本土を報復攻撃が可能という。2011年8月のテストでは、9,300㌔を33分間で飛翔した。同ミサイルの弾頭は100~150ktの核兵器を装着。1基当たり6~10個を搭載する。CEP(平均誤差半径)も米・トライデント・ミサイルに迫りつつある。

一方、『セベロドビンスク』は巡航ミサイルを搭載、最大可能深度600㍍の潜航能力と、船体の静粛化で欧米の攻撃原潜に取って手強い相手。ライバル艦は米海軍の『シーウルフ』級、『バージニア』級とされる。ヤーセン級の攻撃型原潜は魚雷に加え、対水上艦ミサイル『オニックス(ONYX)』と陸上の目標攻撃用の巡航ミサイル『カリブル(KALIBR)』で攻撃能力を強化した。

いずれもプーチン政権の軍装備近代化路線に沿い2020年迄に各8隻を建造予定。中国海軍の海洋覇権制覇の動きで原潜の増強が進行中で、露海軍の本格的復活で、西側海軍戦力の立て直しが待ったなしだ。

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[(SEVMASH JSC)上下共にSLBM原潜”アレクサンドル・ネフスキー”]

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[(SEVMASH)最大潜航深度600㍍を誇る攻撃型原潜”セベロドビンスク”]