米次世代SLBM原潜の建造計画全容固まる。2029~2041年にかけ12隻調達。


2014年8月24日(JST.16:20)                            Aaron Terruli              米海軍・次世代SLBM(SSBN-X)の建造計画の全容が固まった、GAO(米議会調査局)がこのほど議会に提出した報告書で明らかになった。2029~2041年にかけ、12隻を取得、現在の『オハイオ級』と交代する。次世代間は排水量が18,000㌧以上とされ、SLBMの1席当たりの搭載数は16基。弾頭も核兵器1発に留める。米露間のSTART (第2次戦略兵器制限条約)で装備数の上限がこれまでより厳格化される結果だ。 米核戦力の3本柱(トライアド)の一角として、SLBM原潜『オハイオ級』(排水量、18,7000㌧)は大西洋、太平洋の深海で24時間厳戒態勢についている。極端な艦隊の静粛性、ステルス性能で露攻撃型原潜に居場所を突き止められた事は無いと言われる。搭載するロッキード・マーチンのSLBM『トライデント』DⅡ5の目標命中精度(Circular Error Probability)は90~120㍍。射程11,100㌔以上と合わせ米軍の最終核報復手段となっている。 即応性をチェックする毎年実施の試射はすべて成功で信頼性は抜群だ。 現在のSLBM原潜は就役から時間が経過、途中で艦隊の劣化診断等をへて当初の予定を32年を大きく上回る42年間の現役運用がきまった。 しかし、こうした延命措置でも寿命の進行は食い止められず、2029~2042年にかけて『オハイオ級』の退役に合わせた後継艦の建造が待ったなしとなっている。遅くとも2019年、次世代SLBM原潜の建造がタイムリミットだという。 ペンタゴン、米海軍は2015年会計年度予算要求で次世代SLBM原潜建造計画推進で12億1,930万㌦を要求しているという。 次世代SLBM原潜は『オハイオ級』に比べ船体が長く流線型でステルス性能が改善されている。排水量は18,000㌧以上らしい。SLBM発射筒は艦橋後方に16基備える。『オハイオ級』に比べ8基減となる。弾頭部もこれ迄の複数から単一に切り替わるという。 しかし、CEPの改良等、目標の破壊力に劣化は無いだろう。 露海軍は、米海軍に先行して次世代SLBM原潜『ボーレイ級』の建造に着手、実戦配備段階に入った。固体燃料推進三段ロケット『ブラーバ』を各艦に20基装備するという。プーチン政権の核戦力近代化が予想外に積極果敢で、米側も落ち々してはいられないだろう。 ohio_726 [(GENERAL DYNAMICS,ELECTRIC BOAT)米海軍核戦力の主柱SLBM原潜”オハイオ級”] imgp433 [(Sevmash)米国に先行して実戦配備を急ぐ次世代露SLBM原潜”ボーレイ級”]