中国海軍、西太平洋で今年最大の演習を開始


2014-12-05 松尾芳郎

 

防衛省統合幕僚監部の発表(12月4日)によれば、4日午後5時頃、海上自衛隊佐世保基地第13護衛隊所属の護衛艦「あさゆき」及び鹿屋基地第1航空群所属のP-3C哨戒機が、屋久島西約140kmの海域を東シナ海から太平洋に向け東進し、大隅海峡を通過する中国艦隊を発見した。艦隊は、ルージョウ級ミサイル駆逐艦1隻、ルフ級駆逐艦1隻、ジャンカイII級フリゲート艦2隻、およびフチ級補給艦1隻の合計5隻。

時を同じくして中国国防省は、中国海軍は西太平洋海域に艦隊を派遣し、今年最大となる大規模な演習を実施すると発表した。これによると中国海軍の北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊の3軍から主要艦が演習に参加する。これで遠洋海域での作戦遂行能力や指揮管理能力の向上を図る、という。

このことから、今回大隅海峡を通過した艦隊はこの演習参加部隊の一部と思われる。昨今日中友好のムード演出が始まっているが、軍事的緊張は緩むどころかこのように高まる一方、なかなかどうして中国の行動には油断はできない。

以下は4日に海上自衛隊が撮影した写真で、大隅海峡を通過し西太平洋に向かう中国艦隊の各艦。

ルージョウ駆逐艦116

図:(統合幕僚監部)「旅洲」(Luzhou)型ミサイル駆逐艦”石家荘”艦番号116。旅洋I型、II型に続く防空駆逐艦である。満載排水量約7,000㌧でロシア製対空ミサイルSA-N-20射程150kmを8連装回転式VLS 6基に搭載する。2隻が就役しており、いずれも北海艦隊に所属。

ルフ級駆逐艦112

図:(統合幕僚監部)「Lufu」型駆逐艦”ハルビン”艦番号112。満載排水量約4,700㌧、個艦防空用にクロタルHQ-7短SAM8連装発射機1基と対艦ミサイルYJ-834連装発射機4基を搭載。2隻ありいずれも北海艦隊所属。

ジャンカイII級フリゲート538

図:(統合幕僚監部)度々紹介する「江凱II」型フリゲートの一隻、”煙台”艦番号538、満載排水量約4,000㌧。現在同型艦は20隻が就役中で北海、東海、南海、の各艦隊に配属されている。対空ミサイル短SAM HHQ-16 は米海軍と似た32セルVLSに納められている。この他にYJ-83対艦ミサイル4連装発射機2基を備える。

ジャンカイII級フリゲート546

図:(統合幕僚監部)同じく「江凱II」型フリゲートの一隻、”塩城”艦番号546。

フチ級補給艦889

図:(統合幕僚監部)補給艦「福地」型の1隻“大湖”艦番号889。「福地」型は最新の大型補給艦で満載排水量23,400㌧。近代的な補給能力を備え、これで中国海軍の外洋行動能力は大きく向上した。同型艦は5隻就役済みで、本艦は2013年6月に完成したばかり、北海艦隊に所属している。

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