中国軍機5機相次いで沖縄列島を通過、空自機は緊急発進で対応


2014-12-07 松尾芳郎

 

防衛省統合幕僚監部の発表(12月6日)によると、同日中国軍機「Y-9情報蒐集機」1機、「Y-8早期警戒機」2機および「H-6爆撃機」2機の合計5機が、相次いで沖縄本島と宮古島の間の空域を通過した。これに対し空自戦闘機がスクランブル出動、領空侵犯に備えた。スクランブル機の所属、機種等は不明だが那覇基地第83航空隊所属のF-15戦闘機数機と推定される。

中国軍機は、東シナ海から西太平洋に向けて飛行し、その後反転して東シナ海に戻った。これ等中国軍機は、一昨日明らかになった中国海軍が実施中の太平洋での大規模演習に参加したと思われる。

5日の共同通信によると、中国軍事筋は日本の戦力を検討した最新の報告書の中で「沖縄列島での有事の際、日本側による制空権の保持は困難」と分析している。理由は、日本側は戦闘機の数が少なく作戦維持能力が低いので(反復飽和攻撃により)容易に壊滅できる、としている。

防衛省は、2015年度(平成27年) 予算概算要求で、那覇基地に第9航空団を新設、1個航空隊20機を増強してこれ等増大する脅威に対抗しようとしている。

以下に沖縄本島–宮古島間を往復した5機の航跡と、当日撮影された各機の写真を示す。

12-06中国機行動

図:(統合幕僚監部)12月6日、沖縄本島–宮古島間の空域を通過し西太平洋に向かい、再び復航した中国軍機5機の航跡。 対象機1

図:(統合幕僚監部) 「Y-9情報蒐集機」、陜西(Shaanxi) 航空機が製造中の「Y-9」4発中型輸送機に電子装備を施した情報蒐集機。「Y-9」輸送機は次ぎの写真の「Y-8」を改良し航続距離を伸ばした機体で、初飛行は2010年の新鋭機。最大離陸重量77㌧、航続距離は5,700km。

対象機2

図:(統合幕僚監部) 「Y-8早期警戒機」、ベースの「Y-8」輸送機は、ロシアのアントノフAn-12輸送機を基本にして陜西航空機が1981年以来量産中で170機ほどが作られている。多くの派生型があり写真の「Y-8早期警戒機」もその一つ。さらに改良したAESAレーダー装備のKJ-200型AWACSも2009年国慶節に公開されている。

 対象機③

図:(統合幕僚監部) 「Y-8早期警戒機」は2機飛来した。

 対象機4

図:(統合幕僚監部) 「H-6爆撃機」。ソビエト時代のツポレフTu-16爆撃機を、1960年頃から西安航空機でライセンス生産した機体。1990年代に掛けて150機作られ、現在も120機が現役。最新の「H-6K」は巡航ミサイルを発射できる。最大離陸重量79㌧、航続距離6,000km。

 

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