ロシア海軍、ミサイル駆逐艦と巡航ミサイル原潜が宗谷海峡に


2014-12-29 松尾芳郎

 

防衛省統合幕僚監部によると(2014-12-28)12月27日午後3時頃海自八戸基地第2航空群所属のP-3C哨戒機が、北海道宗谷岬の北西50kmの海域を南東/オホーツク海方向に向けて進むロシア海軍ウダロイ(Udaloy)I級ミサイル駆逐艦1隻とオスカー(Oscar)II級巡航ミサイル原子力潜水艦1隻を発見した。

その後ウダロイI級ミサイル駆逐艦は反転し、宗谷海峡を西に日本海に戻った。原潜はどうしたか不明。

ロシア海軍太平洋艦隊は、本部を日本海に面したウラジオストクに置き、原潜部隊の基地はカムチャッカ半島南東部のペテロパブロスク・カムチャツキ–にある。ウラジオストク基地には潜水艦の大規模な整備施設があるので、ここで整備が終わった原潜が基地に戻る途中だったのかもしれない。そしてウダロイI級駆逐艦はその護衛として宗谷海峡まで付き添い、通過後再びウラジオストクに帰ったとも考えられる。

ウダロイI級ミサイル駆逐艦543

図:(海上自衛隊)ウダロイI級ミサイル駆逐艦は1980-1991年にかけて12隻が就役、現在8隻が配備中。満載排水量8,500㌧の大型艦で短距離対空ミサイル3K95 8連装VLSを8基、対潜ミサイルRPK-5 4連装発射筒2基、さらにRBU-6000対潜ロケット12連装発射機2基、の強力な対潜、対空防御力を持つ。太平洋艦隊には同型艦3隻が配備中。

オスカーII級原潜

図:(海上自衛隊)オスカーII級巡航ミサイル潜水艦はProject 949A Anteyとも呼ばれ、水中排水量19,400㌧、長さ154mの巨大原子力潜水艦。加圧水型原子炉2基で約10万軸馬力の蒸気タービン2基を回す。水中速力は32ノット。爆発力500ktの核弾頭付き巡航ミサイルP-700 Granitを24基、艦橋後方に並ぶ垂直発射筒に搭載できる。太平洋艦隊には6隻が配備され、内3隻が活動中で、2隻がオーバーホール待ち、1隻がスクラップ予定と云われる。原型オスカーI型の1隻“クルクス”がバレンツ海で魚雷の試験中に爆発し(2000-08-12)、沈没事故を起こしている。

ウダロイと原潜

図:(海上自衛隊)

 

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