中国艦艇、宮古海峡を通過し太平洋に進出


2015-07-22(平成27) 松尾芳郎

 

防衛省統合幕僚監部の発表(27-07-18)によれば、海上自衛隊は、7月18日(土)午前10時半から午後4時半にかけて中国海軍艦艇3隻が宮古島北東110 kmの海域を東シナ海から太平洋に向け南東に通過したことを確認した。

発見、追尾したのは海上自衛隊那覇基地第5航空群の哨戒機「P-3C」と呉基地第12護衛隊所属の護衛艦「せんだい」である。

通過した3隻の中国艦艇は;—

(1)   午前10時半にジャンカイII「江凱II」級フリゲート艦1隻

(2)   午後2時にルーヤンII「旅洋II」級ミサイル駆逐艦1隻

(3)   午後4時にフチ級大型補給艦1隻

いずれも就役後数年しか経ていない新鋭艦ばかりで、西太平洋上で演習を行っているものと見られる。

 

今年に入って中国海軍艦艇が沖縄本島—宮古島間を通過、太平洋に進出したのはこれで4回目となる。

2月13日;—ソブレメンヌイII級ミサイル駆逐艦1隻とジャンカイII級フリゲート1隻

5月7日;—「江島(Jiangdao)」級フリゲート艦1隻

6月10-13日;—2万トン級の大型揚陸艦「玉昭」を中心に、「旅洋I」および「旅洋II」型ミサイル駆逐艦など6隻

ジャンカイIIフリゲート549

図1:(統合幕僚監部)「江凱II」型フリゲートの一隻、「常州」艦番号549、2011年就役の新鋭艦、満載排水量約4,000㌧。現在同型艦は20隻が就役中で北海、東海、南海、の各艦隊に配備されている。対空ミサイル短SAM HHQ-16 は米海軍と似た32セルのVLS(前部甲板)に納められている。この他にYJ-83対艦ミサイル4連装発射機2基を備える。後部にはKa-2ヘリ1機を搭載する。

ルーヤンII級駆逐艦150

図2:(統合幕僚監部)「旅洋II」(Luyang II) 型/052C型ミサイル駆逐艦「長春」艦番号150、2013年就役したばかりの新鋭艦。中国版イージスと呼ばれる最新の防空艦で6隻が就役中。満載排水量7,100トン、長さ155.5 m、速力29ノット。外見の特徴は、艦橋4面に取り付けられた348型レーダーの多機能型フェーズド・アレイ・アンテナである。本レーダーは米国のAN/SPY-1レーダーに匹敵すると言われる。これに続く改良型の「旅洋III」型/052D型は、2014年から建造が始まり8隻が作られる。052C型の兵装は;—対空ミサイルHQ-9用6連装発射機(VLS) 8基、HQ-9ミサイルは射程200 km。対艦ミサイルはヘリコプター格納庫のすぐ前にYJ-62ミサイル4連装発射機2基を備える。

フチ級補給艦890

図3:(統合幕僚監部)中国海軍最新の大型補給艦で4隻就役中の1隻で艦番号890(艦名不詳)は2013年就役の新鋭艦。満載排水量23,000トンの大型艦で、燃料10,500トン、真水250トン、弾薬等の貨物680トンを搭載し、優れた外洋行動能力を持つ。前部の補給ポストは給油用、後部はドライカーゴ用ポストである。

せんだい

図4:(海上自衛隊)護衛艦「せんだい」艦番号232。「あぶくま」型護衛艦の4番艦で1991年就役、今回宮古海峡を通過した中国艦艇に比べ、小型で艦齢も高く旧式艦であることは否めない。基準排水量2,000トン、満載排水量2,500トン、最大速力27ノット。呉基地の第12護衛隊所属。兵装は、艦首に62口径76mm単装砲1門、艦後方にハープーンSSM4連装発射機2基と20 mm機関砲CIWS 1基、艦中央に対潜ロケット74式アスロックSUM 8連装発射機1基など。

 

-以上-